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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

チーム色々、歌もいろいろ

「先輩のチームソング、渋すぎない?」
鍋をつつきながらそんな話がふいに出てきた。
「いいじゃん、覚えやすいし歌いやすいでしょ?」
「まさかあんな昭和の野球の応援歌見たいのが来るとは思わなくて吹いたもん」
「モチーフが六甲おろしだからねえ」
大阪でお馴染みの野球の応援歌をモチーフにしたのは公言していたはずだ。
……ただ、思っていたよりも変なウケ方しちゃってる気がする。
「知らない人が聞いたらアレ野球の応援歌に思われそう」
「いいんだよ。それに、東京音頭よりは応援歌っぽいじゃん」
「神宮球場への突然の風評被害!」
秩父宮でたまに漏れ聞こえてくる東京音頭を聞きながら、アレのどこで盛り上がるんだろうな?といつも疑問を感じていたものだ。
サンゴリアスもその気持ちはちょっとわかるようで表情に僅かな共感が滲む。
「ブラックラムズのあのラップの奴とかスタジアムで歌うのぜったい無理でしょ」
「まあ、確かにあれは合唱には向いてないよね」
「ライナーズのあの曲もさ、聞く曲としては良いけどねえ?」
「つまり先輩は声出し応援解禁が前提でああいう曲にしたわけ?」
後輩が訝しむようにそう聞いてくる。
言われてみればまあそうだよな、とちょっと思う。
覚えやすく歌いやすい歌を目指したのはそういう気持ちがあったような気がするのだ。
「そうかも。やっぱいずれはみんなで応援歌を歌いながらビールを飲むスタジアムにしたいんだと思う」
俺がそう答えると脳裏にスタジアムの景色が思い浮かぶ。
皆でビールを片手に応援歌を歌い、その響きを背に選手たちが走り出す姿。
「声出し解禁が待ち遠しいな」
「そうだね」

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ブレイブルーパスとサンゴリアス。

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シーズン前の普通の日々

*短編集です

*それが好きというものだ(ワイルドナイツ+サンゴリアス)
『しれっと書いてるけどお前、俺のファンクラブ入会勧めて良いの?』
作業しながらの通話の中でサンゴリアスが俺にそう聞いてきた。
「どれの話?」
『12月の強化試合のチケット案内のとこ』
「あー……そういやそんなの書いたね」
言われてみればという気持ちでしかないがサンゴリアスにはそれがよほど気になったんだろう。
「でもわざわざ強化試合に身に来るんだし、有望なファン候補でしょ」
『そこで俺の名前出してくるのかって』
「いいじゃない、ファンの総数が増えればお互い得だしね」
サンゴリアスが呆れ気味に「お前がいいならいいけどさ」とつぶやいた。
「まあ公式戦の時にうちのファン向けの席確保しといてくれれば十分だよ」
『それは担当者にも言っとく』

*好きな街の好きな景色(ブレイブルーパス)
いつも合宿で訪れる鹿児島の朝が好きだ。
練習前にちょっと早起きして、眠気覚ましも兼ねて朝の街をぶらぶらと歩く。
異国情緒すら感じる鹿児島弁の響きも、東京より暖かい風も、その一つ一つを飴を舐めるように味わう。
街を抜ければ錦江湾が見えてくる。
「……何度見てもすごいな」
朝日にきらめく海の向こうには桜島がドンとそびえたっている。
今朝は噴火していないがそれでも海に浮かぶ活火山は雄大だ。
「今日も頑張ろ」

*ハリネズミとマスコットガチ勢(ライナーズ+レッドハリケーンズ)
レッドハリケーンズからぬいぐるみの試作品を見て欲しい、と言われた。
「なんで俺?」
「第三者の意見が欲しかってん」
そう言って黄色と茶色のハリネズミをもちもちと触ってみるが正直俺にはよぉわからん。
マスコットに熱意を注ぐタイプでもないし、可愛いとは思うけど他に思う事はない。
「まあ、可愛いんと違う?今まで使ってたハリーくん?あの子の弟っぽいし」
「他人の空似って事になってんねんけど」「そか」
もちもちとマスコットを撫でてみる。
うちのラビナーのぬいぐるみとか出したら売れるんやろか?ライナマンはぬいぐるみ向いてなさそうやなあ……。
「こういうのはブラックラムズのほうが熱意あるからあいつに聞いたらええんやない?」
「東京まで行くのがめんどい」
「それもそか」

*東花園にえんじ色(ライナーズ)
地元メディアが俺を応援するクラウドファンディングを始めるらしい。
何でも駅をうちのチームカラーで染めるための資金集めらしい。
「こういうことしてくれる人ってホンマ貴重よなあ」
俺も自腹切って課金しようかと思ったけど普通に金欠で出来ないのが残念だが、仕方ない。
「……とりあえずレッドハリケーンズとスティーラーズとサヤにクラファン出資のメールかな」
これでも自分の駅が自分の色になる日が楽しみなのだ。

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ハロウィンに食べたいかぼちゃのほうとう

スティーラーズが通販で全身黒タイツを買ってきた。
「なにそれ」
「ハロウィンの仮装ですよ、ほら毎年選手が仮装する写真ネットにあげとるやないですか」
「もうそんな季節なのねえ……去年のムキムキ赤ちゃんとかすごかったわよね」
「此花さんは何でかハロウィンとかクリスマス明るいですよね」
「あれはお隣がUSJだからよ」
そんな話をしていたら、ハロウィンっぽいものを食べたくなった。
ハロウィンと言えばジャック・オー・ランタン、つまりかぼちゃ。かぼちゃと言えばー……
(かぼちゃのほうとうかしらね)
いきなり和に転がってしまったけどこのところ夜はめっきり寒くなってきたのでちょうどいい。
うん、かぼちゃのほうとうにしよう。

****

ハロウィン当日。
スティーラーズが全身黒タイツに猫耳をつけて帰ってきた。
ふさふさの尻尾もついてるし耳にはオレンジのリボンもついているのだが、絶妙にかわいくない。
「……なんかキャッツみたいね」
「あれ黒猫出てましたっけ?」
そんな事を言いながら台所で手を洗い、プロテインを準備しながら私を見た。
大きくてムキムキの猫コスプレおじさんと思うとあんまりかわいげはないが、ビジュアルとしてはまあまあ面白い。
(あとで加古川に写真送っておきましょうか)
「姐さんもう鍋ええんとちゃいますのん?」
プロテインを一気飲みしてシェーカーをすすぎ始めたスティーラーズに言われてコンロを見ると、鍋が沸騰しかけていた。
ばっとコンロの火を落として煮え具合を見るともう余熱で大丈夫そうだ。
「食卓拭いといて」
「はーい」
副菜は作り置きの秋野菜のマリネ、あとは季節限定のビールが一本あればいい。
全部並べればもう十分な夕食である。
「ハロウィン言うか秋って感じですねえ」
「でも元をたどればハロウィンは収穫祭なんだし、ちょうどいいんじゃない?」
「そうですねえ、ほないただきます」
「いただきます」
なおほうとうを啜る黒猫のスティーラーズの絵面が面白くて、こっそり写真を加古川に送ったらものすごくもめたのはまた別の話である。


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神戸ネキとスティーラーズ。
ハロウィンのコスプレはスティーラーズの公式インスタで見れます。

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パウンドケーキでお祝いを

合同練習の隙間に国体の様子を確認していたら、スティーラーズにキレられた。
「人との合同練習中によーそんな浮ついた表情しよるなー?例の彼女か?うん?怒らへんから正直に言うてみ?」
マジでガチギレ5秒前なその表情に「それマジで怒られる奴じゃん」とぼやいたら、強制的にスマホを取り上げられた。
「ちょ、俺のスマホ!」
「……栃木国体の中継か、女子のラグビーって事はやっぱお前の彼女の件やないか」
呆れ気味にため息を漏らすとスティーラーズは勝手にスマホの電源を切ってスタッフに投げ渡した。
「練習終わるまで預かっとくから練習に集中しぃや」
―その日の夕方―
合同練習が終わり、ようやくスマホを返してもらうとパールズからLINEが来ていた。
『優勝したよ!三重県がラグビーで二冠!』
一緒に記念写真も送られてきて思わず変な声が出そうになりながら『おめでとう!』と返事を打つ。
「その顔は優勝したんか」
「うん、帰りにお祝いのケーキとか用意したいんだけどお勧めある?」
「そんなすぐに帰って来れへんやろ、どうせなら手作りでもしたらええんやないか?」
「俺お菓子作りとか自信ないんだけど」
「パウンドケーキはどないや、惚れた相手の手作りほど嬉しいもんはないで?」
スティーラーズの言い分には納得させられるものがあり、結局押し切られるようにパウンドケーキを焼くことになったのであった。

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金曜日、きょうは休みだったので一日料理を試してみることにした。
スティーラーズに紹介されたレシピサイトの記述を元にパウンドケーキを作ってみると、思いのほかうまく出来た気がする。
「確かパールズが戻るのは土曜日だっけ」
妙に紅茶に詳しいスティーラーズに勧められたお茶と一緒に色んなパウンドケーキを作ってちょっとづつ出してあげたら喜んでくれるだろうか。
「……うん、たくさん作ろ」




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ヒートとパールズとスティーラーズ。
ラグビー三重県勢アベック優勝おめでとうございます!

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これは「好き」のはなし

*直江津が住金に来た直後ぐらいのお話

直江津はうちに統合される前から感情や欲求が希薄で、いつも淡々とした印象がある。
何が好きとかこうしたいって言う発言がほぼゼロみたいなタイプだったのでちょっと特殊なタイプでもある。
なので時々直江津が楽しそうにしてるのを見ると俺もその対象に目を向けて見たりする。
すると自分の作った製品が使われているのを日がな一日眺めたり、チタンに処理をして美しい色を作ることに妙な情熱を燃やしていたり。
要するに仕事が好きなのだなあという感想しか抱けなかったりするのである。
「直江津って仕事が好きなんだねえ」
「……好き?」
そう言って理解しがたいと言いたげに俺を見る。
「俺にはそういう風に見えるって話」
「そもそも仕事に対して感情が付随してたのか」
「え、まさか俺たちには感情ないと思ってたの?」
「だって必要ないだろう」
直江津がしれっとそう答えたので、俺たちの間には随分齟齬があったことに気づく。
というか俺や八幡さんとかにも感情がなかったらもっとコミュニケーションは円滑だったと思うんだけどな~~~~~~~!!!!!!!(俺の心の叫び)
でも確かに製鉄所の神様として祀られてる俺たちには本来感情は不要だ、というのは分かる。
神様なら神様らしく黙って人間の営みを見守ってあげればいいのに、感情や欲求を持って周囲の職員や関係者と日々わいわいやっている訳だ。
「少なくとも俺や此花にはあるはずだよ、感情」
「そうだったのか」
意外そうに直江津が呟いた。
「そうじゃなきゃ俺は海南を愛したりしないもの」
俺のその言葉に直江津はそれもそうかという風に頷く。
好きとか愛するとかが不必要だとするなら、製鉄所を動かすのに必要な物って何だろう?
脳裏に浮かんだ疑問に対してある冷たい答えが出る。
「そもそも俺たち自身が不要な物なのかもしれないね」
製鉄所を生み出したのは人間だ。
その人間たちは分担して健全に操業・管理ができるはずで、俺たちが手助けせずとも円滑に機械を動かしてその役割を全うできるはずなのだ。
「不要なのに在るのか」
「根本的にはね。でも俺たちがいることで職員は余裕を持てるでしょ」
「……不必要と余裕は紙一重か。その余裕のために感情があり、感情があるために好きや愛があるのか」
「たぶんね」
「俺には感情という余裕がないのか」
「余裕は余裕だよ、無いことが悪なわけじゃない」
直江津は感情や欲求が希薄で、いつも淡々とした印象がある。
けれどそれもまた直江津という個を構成する一部なのだ。

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和歌山と直江津。

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