忍者ブログ

コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

らぐびより

※ラグビー組短編集です

・小さな変化(ブレイブルーパス+あるスタッフさん)
今日は朝から何かが違う気がする。
トレーニングシューズは少しキツい気がするし、練習中の動きもなんか微妙なズレを感じる。
「別に変なもの食べたりした記憶無いんだけどなぁ」
「じゃあ試しに一度全部確認してみません?」
スタッフさんにそう言われて、俺は試しに全身のデータを取り直してみる事になった。
まずは身長と体重が変化してないかを確認してみたときだった。
「身長伸びてません?」
オフ終了直後のデータと比べたところ、身長が3センチ・体重も4キロ弱増えていた。
誤差と呼ぶには大きいが身体が大きくなったと喜ぶには微妙な変化だ。
「……そう言えば、擬人化さんって名前の変更のたびに見た目変わるんですよね?」
「今日から【東芝ブレイブルーパス武蔵】だから、武蔵の3音分伸びたって事?」
「たぶん……」
喜んでいいのか分からない微妙な変化の前で、俺たちは今日も顔を見合わせていた。

・宇都宮デイズ(ヒート)
栃木に引っ越して少し経った。
ゆいの杜ラグビーパークの柿落としは無事に終わり、近所なら地図なしで歩けるぐらいには慣れてきた。
(でもまだ、慣れてないものは多いんだよなあ……)
微妙に落ち込みながら駅のベンチに座り込む。
ライトレールで宇都宮の中心部に向かうつもりだったのに、間違えて郊外の方に来てしまった自分に思わず呆れてしまう。
やれやれという心地で反対方向行きのホームに移ろうとした時、ふと、見慣れた選手の顔が視界に入ってきた。
こんなところにも、うちのチームのポスターが貼られている。
まだ新米宇都宮市民の俺だけれど、こうしてちょっとづつ認知度は上がっているんだろう。
そうだったら良いな、と思いながら俺はポスターの選手たちに微笑むのだった。

・秋花火(ブラックラムズ)
今年も花火をグラウンドから眺めていた。
(すっかり秋花火が定着したな)
昔は秋の花火など聞いた事が無かったが、此の辺りの花火大会も殆どが秋に行われるようになってしまった。
是もまた時代の変化なので有ろう、けれども花火は美しいままだ。
出来る事ならば此の先も皆んなで集って美しい花火を眺められる様な世界であって欲しいと、つくづく思う。
昨今は世情も物騒であるし、何時ぞやの様に病気が流行ったら皆で集まるのも大変だ。
(来年は皆を呼んで此処で眺めるのも良いかもな)

拍手

PR

八幡さん、スロバキアへ行く

「……また遠くまで来ましたよね、私も」
列車から一歩降りたとたんに吹き付ける冷たい秋風と、目的地の駅に響く耳馴染みのない異国の言葉に思わずそんな独り言が漏れる。
ここはスロバキア第二の都市・コシツェ、東欧随一の文化都市であると同時にスロバキア最大の鉄の街でもある。
目的は観光、ではない。当然仕事である。
USスチール買収から1年が過ぎ、みるみるうちに経営状態が改善したなかで切り出された話がきっかけだった。

―2か月前、アメリカ
『そう言えば八幡さんってコシツェと会ってないですよね?』
仕事の休憩中、モンバレーが思い出したようにそう切り出した。
『コシツェ……確かスロバキアの子会社でしょう?』
『ええ。20年以上前に苦労して買収したのはいいものの、うちがボロボロだったせいでしばらく放置してたものですから。一度顔見に行ってあげてくれませんか』
モンバレーがどこか申し訳なさそうにそう頼んでくる。
実際社長もコシツェへの投資に興味はあるようだし、一度見に行ってもいいのかもしれない。

「で、来たはいいけどめちゃくちゃ遠いと……」
やれやれと言う心地になりつつ、ひとり駅を出て街を行く。
来る前の下調べによればこの街は観光資源も随分充実しているらしいので、予定より早めに着いたとしても暇つぶしには事欠かない。
どうせ本人と会って話すのは午後からだ。その前に最愛の人への土産物でも探しに行こう。


------
八幡さんのお話。
日本製鉄のスロバキアへの投資で思いついたネタでした。

拍手

新しい部屋で

新居はまだまだ段ボールの山となっていて、その一部をどうにかして片付けるだけで半日経っていた。
「とりあえずテレビ見るスペースは出来たな」
鈴鹿から宇都宮への引越しを終えたは良いものの、新居の片付けは遅々として進まずいまだ段ボールで埋まっている。
なのにこんな日に限って見たい試合があるのだ。
「っと、もう7時だ!」
テレビを回せば紅白のユニを着た代表選手達が国家を歌っている。
選手たち一人ひとりを舐めるように映すテレビをじっと見つめていると、見覚えのある選手が1人。
「まさかうちで普段プロップやってるのに代表はフッカーで呼ばれるとは思わなかったよねえ……」
自分のところの選手が日本代表に招集される経験はある。
けれどこんな形での召集は初体験で、いつも見守ってる彼が経験があるとは言え違うポジションでちゃんとやれるのか?という親心めいた気持ちがどうしても湧いてしまうのだ。
彼にとっては初めての大舞台。その場所で己を十全に出し切ってくれることだけが、俺の願い。


------
ヒートさんの話

拍手

窓の向こうに風の音

書類仕事がひと段落ついたせいか、窓の外の強風が妙に気にかかる。
台風がこの辺りまで上陸してくるのも随分久しぶりだし、千葉に上陸した台風でつい6年前のあの台風のことを思い出してしまう。

(あの時はまだ東京がいてくれたんだよな)

姉のような妹のような、俺のそばにずっといてくれた奴のことを思い出す。
設備がやられて動けなくなってた俺のところに食料や物資を持って面倒見に来てくれた。
そんな存在はもうここにいない。
「君津さん、大丈夫ですか?」
職員が気遣うように声をかけてくる。
お盆だってのに夜勤に入ってくれた真面目な奴だ、余計な心配をさせたくない。
「少し考え事してただけだから」
「なら良いんですけど」
神様の端くれのくせに、この台風があの時のようにひどくならないことを願うしか出来ない。
そんな無力な俺を気遣ってくれるのが嬉しくもあり、ちょっと申し訳なくもある。
「早く過ぎて欲しいですね、台風」「ほんとにな」


----
君津と台風。
作中言及エピはこれ

拍手

今日もあの人は帰ってこない

「分かりました、お気をつけて帰ってきてくださいね」
そう言って電話を切ると、後ろに立っていたのは小倉さんだった。
「八幡か?」
「ええ、台風で飛行機飛べなくなったんで夜行バスで帰ってくるみたいですよ」
「東京から小倉だろ?ってことははかた号か……着いた頃にはケツが4つに割れてんな」
「そうなんですか?」
私がそう答えると小倉さんは私の顔を見て「なんか嬉しそうだな」と呟く。
「……しばらく顔見てませんからね」
USスチールとの合併の話が持ち上がってから、八幡さんは随分と多忙な日々を送っていた。
北九州に帰ってきても仕事せずに休養に勤めていたから尚更顔を合わせる機会が少なく、久しぶりに帰ってくるのをどこか心待ちにしていた気は確かにしている。
「……あんなののどこがいいんだか」
小倉さんの言い分は分からないでもない。
あの人は根っこのところではこの会社と釜石さんしか見てないから、たぶん私個人のことはそこまで気にしてないのだろうと思うことは何度かあった。
「それでも、あの人は私の王子様のままなんですよ」
どうしようもない人だけど、その輝きがまだ脳裏に残されてたままでいる。
「戸畑、お前はあんなのにゃもったいないくらい良い女だ」
「ありがとうございます」
「だから、いざとなったら俺という個人はお前の味方になってやる」
それは小倉さんから私は向けられた純粋な行為であり、その言葉の熱はこんな肌寒い日は心地よく響いてきた。


------
戸畑ちゃんと小倉さん

拍手

バーコード

カウンター

忍者アナライズ