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コーギーとお昼寝

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美しき君たちの日々

*ラグビー関係の小ネタ集です

・さよならの代わりに(サンゴリアス+ブレイブルーパス)
「……カッキーは面白プロップキャラを最後まで貫き通していったなぁ」
「そりゃーカッキーはそうでしょ、むしろらしいと思ったけどね」
突然の引退宣言、本人の歌うさよならの代わりに、そして歌い終えてからラグビーボールを置くパフォーマンス。
あれほど面白い引退式典、きっとそうそうないだろう。
「らしいと言えばらしいけどな、送り出す余裕も無くいなくなられるよりはずっといい」
先輩の脳裏には多分、急逝した元選手の影があるのだろう。
ああやって満足した顔でラグビーボールを置いて次に行けるのはきっと幸せなのだろう。
そんな事を、ぼんやり考える。

・残酷な僕のテーゼ(スピアーズ)
誰が呼んだかえどりく神話、それを一番信じていたのは俺だったのだと今更思い知る。
『試合終了ー!スティーラーズ、スピアーズのホーム連勝記録を止めたーァ!』
ホームゲームでワイルドナイツにだって勝った。きっと外国の強豪でもホームなら勝てる、なんて思っていた。
なのに今、俺のホーム連勝記録は終わってしまったのだ。
ぶわっと涙がこぼれてくる。無性に悲してしょうがない。
負け試合はいつだって悔しいけれど、こんなに泣くほど悔しいのは久しぶりだった。
俺の大好きなこの場所、俺の名前を冠した特別なスタジアム。ここで負けることがこんなにも悔しいなんて、知りたくなかった。

・ラストダンスは誰と(レッドハリケーンズ+グリーンロケッツ)
「ようこそ、俺たちの街へ」
新大阪駅の改札でそう声をかけた俺にグリーンロケッツが驚きに目を見開く。
いつもは迎えを頼まれてもなんばや長居の駅なのに、こうして新大阪まで迎えに行くことはほぼない。
「……ここまで迎え来てくれるの、初めてじゃない?」
「たまにはな。荷物持ったろか?」
「今日は大丈夫」
ゴロゴロと荷物を転がしながら街並みの一つ一つをぼんやり眺めるグリーンロケッツに、ある言葉が口をつく。
「名前が変わったかて、見える世界は何も変わらんよ」
NECグリーンロケッツ東葛として見る最後の大阪の景色にセンチメンタルになる心情を俺はよく知っている。
親会社の再編のあおりで自分が消えるかもと思った時の自分に似ているのだ。
「Dロックスと同じこと言うんだねえ」
「あいつの名前出さんといてくれる?お土産あげへんで」
「お土産より勝ち点欲しいなあ」「あげませーん」
そうやって笑い合えばグリーンロケッツは楽しそうに笑う。
新しい自分になるその前に、最高の試合をすることが俺に出来る最高のお見送りなのだ。

・美しきこの街の日々(ヒート)
初夏の夜空に花火が打ちあがる。
「今シーズンお疲れ様!」「次は宇都宮で逢いましょう」
鈴鹿で行う最後のホームゲームを彩る花火に、ファンの人々が思い思いの言葉を口にする。
そんな言葉の節々からこの街で過ごした60年の思い出が走馬灯となって駆け抜ける。
この街の事は好きだった、けれど俺が大きくなるためにはこの街を離れなくちゃいけないのだ。
すうっ、と息を吸い込むと思い切り言葉を叫ぶ。

「これからもホンダヒートを応援してね―!」

俺という存在を愛してくれる人のために、三重でも栃木でも俺は戦うのだ。

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さよならだけが人生だ

うちのGMが退任することになった。
選手や監督の退任は嫌というほど経験してきたが、40年来そばにいてくれた人が自分の手元を去るというのはいっそう寂しいものである。

「この盃を受けてくれ
どうぞなみなみ注がしておくれ
花に嵐の例えもあるぞ
さよならだけが人生だ」

ぽつりと口をついたのは有名な詩だった。
窓には散り始めた桜の花びらが張り付いており、北国の春も通り過ぎていこうとしている。
「さよならだけが人生ならば人生なんか要りません、とも言うけどな」
そう口にしたのは製鉄所さんだった。
「なんでここに?」「GMさんの手続き手伝いにな」
GMは書類上製鉄所の所属になるので、頼めない訳でもないがよくもまあ町の端っこのほうまで来てくれたものだ。
「シーウェイブス、別れってのはいつも寂しいよなあ」
「慣れたりしないんですか?」
「わしは全然慣れんな」
「……150年生きててもそんなもんなんですねえ」
「でも、挨拶も無しにいなくなる方がもっと寂しい」
その言葉の意味を数秒かけて飲み込むと「ええ」と小さく返事をする。
「まあまだシーズン終わるまでひと月ぐらいあるか」
「ええ、せめてあの人にいいとこ見せてから見送りますよ」
さよならという悲しみだけが人生だとしても、有無を言わさず人生は続いていく。
そうして生きていくうちにまた桜のように美しい出会いは、またこの街にやってくる。



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シーウェイブスと釜石おじじ
桜庭GM退任の一報を受けて思いついたネタでした。

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なんでもない話

ただ声が聞きたかったんです、と僕が言うとシーウェイブスさんが笑う。
「お前さん、彼女みたいだな」
「……迷惑でしたか?」
「いや、そろそろ夕飯食おうかなあってタイミングだったから別に」
「今日の夕飯は何ですか?」
「サクラマスの塩焼き、わかめの酢の物とヒョウの煮た奴、ノビルの味噌汁と白ご飯」
「ヒョウ?」
「スベリヒユって野草を乾かした奴だな、山形の方で食べるらしい」
シーウェイブスさんの作る料理は時々不思議なものがある。
山野草の料理などさっぱり分からないので、いつか食べさせて欲しいと思うばかりだ。
「そっちの夕飯は?」
「いま兄さんがカレー作ってくれてます」
「カレーも良いな。さて、こっちも冷める前に食べたいんだが……」
「あ、電話繋ぎっぱなしでお願いします」
「ならそうさせて貰うかな」
電話越しに頂きますという声とともに、咀嚼音が聞こえてくる。
モノを食う音は生きてる人の音だなあと妙な感傷を抱きながらしばらく黙って聞き入ってしまう。
「レヴズ?」
「あ、すいません。咀嚼音ASMR聞き入ってました」
「なんかあるよなそう言うの。好きなのか?」
シーウェイブスさんは時折咀嚼音をさせながら、ちょこちょこと話を振ってくる。
僕は僕なりに思いつく話をしているとふいに沈黙がよぎる。
電話の向こうで味噌汁をすする音がする。
「……僕、今こう言う関係になれてよかったなって急に思いました」
「うん?」
「震災の前までは全然接点なかったのに、今はこうして急に理由なく電話かけても許されるんだなあって」
「そうだな。あの時に失ったもんは多いが、お前さんとの縁は手に入った訳か」
シーウェイブスさんがかたん、と何かを置いてから口を開く。
「でも、あの時に試合しようって言ってくれて本当に嬉しかったぞ」
僕はしばらくその言葉を噛み締めてから「はい」と答えた。
台所の方から兄さんの足音がする。
「すいません、もうカレー出来たみたいです」
「そうか、長々喋りすぎたな。じゃあ、また」
「またそのうち」
そう言って電話を切ると、兄さんが「ご飯だぞー」とドア越しに僕を呼ぶのだった。


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レヴズとシーウェイブス

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どこまでも遠く青い

今日は午前中で仕事が終わったので、昼食後の腹ごなしも兼ねて海へ行こうと思った。
いつもの海が見える岸壁は冬の終わりの青い空と海が果てしなく伸びている。
「おう、シーウェイブスか」
同じように岸壁にいたのはシーウェイブスだ。
「ああ、こんにちわ」
「お前さんも海を見に来たんか?」
「……3月11日ですからね」
一瞬の逡巡ののちにそう口にしたシーウェイブスは、きっと同じ理由でここに来たのだろう。
海は美しく、豊かで、そして何よりも恐ろしい。
今日という日付はそれをこの街の人間に思い出させる日でもある。
「良い物も悪いものも、美味しいものもきついもんも、全部この海が与えてくれてる」
海の街で百何十年と生きてきたので、海にはいい思い出も悪い思い出も数えきれないほどある。
けれど不思議と海を憎むことは出来なくて、やはりこうして見ると美しいと思うのだ。
「海の向こうから来る客人もたくさんいますしね」
高炉があった頃は海から船で運んできたことを、今でも船で製品を運び出す風景を、シーウェイブスはまだ覚えているのだろう。
「だな」
遠くから黙祷を促す声が響くと海に向かってそっと手を合わせる。
この海のどこかにいるはずの自分やシーウェイブスを愛してくれたすべての人々の鎮魂を祈りながら。
この海と共に生きる人々のこれからの幸福を祈りながら。



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釜石さんとシーウェイブスさん。
東日本大震災から15年です

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バレンタインとゲームデイ

「今日はよろしくお願いしますね」
レヴズが手渡してくれたのは一口サイズに切られた三種のパウンドケーキの乗った紙皿だった。
「これさっき見た!レヴズのとこの新商品だっけ?」
「ええ、気に入ったら買ってくださいね」
「バレンタインプレゼントなのに自腹かあ」
苦笑いしつつ緑のパウンドケーキを食べてみると、緑茶のさわやかな風味がふわっと漂ってくる。
(あ、普通に美味しいなこれ)
値段によっては身内へのお土産にいいかもしれない。
「元々この商品はお土産需要狙いですからね、コーヒーも飲みます?」
「レヴズは商魂たくましいなあ」
「これでも独立したいち企業ですからね」
レヴズの手にはチョコレート色の黒ビールがあり、ビールも美味しそうだなあとぼんやり考える。
世間的にはビールは夏のお酒だけどこういう寒い日のビールも乙なのだ。
「そう言えばさっきチョコレートボックス売ってるのも見たけど、あれは試食してないんだね」
「値段が違いますからねえ。それに意味も踏まえるとそんな気軽に渡して誤解されたら悪いでしょう?」
「細かいとこまで気を遣うねえ」
レヴズの細かすぎる気づかいはすごいなあと感服する。
(俺ならチロルばらまいちゃうなあ、まあチロルに大した意味はないか)
パウンドケーキを平らげるとやっぱり俺もビールが飲みたくなってきた。
「俺もビール飲もうかな」
「冬限定のビアショコラーデが美味しいですよ」
「んー、それもいいけど俺はこの青いビアカクテルでレヴズを飲み干そうかなあ」
「物騒なこと言いますね」
レヴズが笑いながらチョコレート色のビールを飲んでいる。
「だって俺らはチョコミントより勝ち点じゃない?」
「確かに」
そう言って俺は青いビアカクテルを注文しに行くのだった。





おまけ:その頃のシーウェイブス
今週は試合が休みなので暇な週末を過ごしている。
(キューデンとライナーズは意外とキューデンが食らいついとるなあ)
コーヒーを飲みながら試合中継を見ていると、玄関からチャイムが鳴り響く。
「お荷物でーす」「あ、どうも」
箱の送り主は静岡ブルーレヴズ。
わざわざ今日という日を指定して寄越してきたようで、暇を持て余した先輩への贈り物だと思うと気遣いがすごすぎる。
箱を開ければ中から出てきたのは綺麗な包装をされたチョコレートボックスにコーヒーのセット。
『いつもお世話になってます、チームグッツとして開発したチョコとコーヒーを送るのでバイウィークのお供にしてください』
可愛い後輩の気遣いに微笑みを零しながら、時間になったらレヴズの試合も見ようと決めた。

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スピアーズとレヴズ、レヴさんのチョコボックスがちょっと気になります。

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