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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

バレンタインとゲームデイ

「今日はよろしくお願いしますね」
レヴズが手渡してくれたのは一口サイズに切られた三種のパウンドケーキの乗った紙皿だった。
「これさっき見た!レヴズのとこの新商品だっけ?」
「ええ、気に入ったら買ってくださいね」
「バレンタインプレゼントなのに自腹かあ」
苦笑いしつつ緑のパウンドケーキを食べてみると、緑茶のさわやかな風味がふわっと漂ってくる。
(あ、普通に美味しいなこれ)
値段によっては身内へのお土産にいいかもしれない。
「元々この商品はお土産需要狙いですからね、コーヒーも飲みます?」
「レヴズは商魂たくましいなあ」
「これでも独立したいち企業ですからね」
レヴズの手にはチョコレート色の黒ビールがあり、ビールも美味しそうだなあとぼんやり考える。
世間的にはビールは夏のお酒だけどこういう寒い日のビールも乙なのだ。
「そう言えばさっきチョコレートボックス売ってるのも見たけど、あれは試食してないんだね」
「値段が違いますからねえ。それに意味も踏まえるとそんな気軽に渡して誤解されたら悪いでしょう?」
「細かいとこまで気を遣うねえ」
レヴズの細かすぎる気づかいはすごいなあと感服する。
(俺ならチロルばらまいちゃうなあ、まあチロルに大した意味はないか)
パウンドケーキを平らげるとやっぱり俺もビールが飲みたくなってきた。
「俺もビール飲もうかな」
「冬限定のビアショコラーデが美味しいですよ」
「んー、それもいいけど俺はこの青いビアカクテルでレヴズを飲み干そうかなあ」
「物騒なこと言いますね」
レヴズが笑いながらチョコレート色のビールを飲んでいる。
「だって俺らはチョコミントより勝ち点じゃない?」
「確かに」
そう言って俺は青いビアカクテルを注文しに行くのだった。





おまけ:その頃のシーウェイブス
今週は試合が休みなので暇な週末を過ごしている。
(キューデンとライナーズは意外とキューデンが食らいついとるなあ)
コーヒーを飲みながら試合中継を見ていると、玄関からチャイムが鳴り響く。
「お荷物でーす」「あ、どうも」
箱の送り主は静岡ブルーレヴズ。
わざわざ今日という日を指定して寄越してきたようで、暇を持て余した先輩への贈り物だと思うと気遣いがすごすぎる。
箱を開ければ中から出てきたのは綺麗な包装をされたチョコレートボックスにコーヒーのセット。
『いつもお世話になってます、チームグッツとして開発したチョコとコーヒーを送るのでバイウィークのお供にしてください』
可愛い後輩の気遣いに微笑みを零しながら、時間になったらレヴズの試合も見ようと決めた。

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スピアーズとレヴズ、レヴさんのチョコボックスがちょっと気になります。

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バレンタイン決戦前夜

「先輩、今年のバレンタインチョコです」
夕食を一緒に食べた後、食卓に上るのはガトーショコラと淹れたてのブラックコーヒー。
「一日早くないか?」
「だって明日は試合じゃないですか」
「まあな」
そう言いつつイーグルスからの好意を有り難く受け取る。
純白のホイップクリームにブラックチョコレートの濃厚なブラウンのコントラストが美しい。
フォークでガトーショコラを崩してホイップクリームと共に頬張れば、チョコレートのほろ苦さとクリームの甘みが優しく口に広がる。
「美味しいでしょう?横浜の人気店のバレンタイン限定品なんですよ」
「良い物を買って来てくれたな」
自分の反応を満足げに見つめた後、イーグルスもぱくりとガトーショコラを頬張った。
「其れにしても、不思議な気分だな」
「一日早いバレンタインがですか?」
「今宵は恋人同士、明日はラグビーの好敵手。たった数時間で関係性が随分変わるだろう?」
此の温度差はきっと自分たちのような特殊な存在と関係性にのみ許されるのではないだろうか?
イーグルスは「確かに」と微笑み返す。
「でも、楽しいからいいんじゃないですか?」
「まあな」
「今日は恋人としてのあなたを、明日はラグビー選手としてのあなたを、僕だけが全部味わえるってすごく贅沢じゃないですか」
イーグルスの表情はとろりと甘い恋人のものだ。
けれど明日味わう事になる強敵としての顔もまた己にとって好いものであることを、イーグルスは知っている。
「其れならば精々苦戦して貰うか、勝ち点は貰っていくがな」
「楽しみにしてます」



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ブラックラムズとイーグルス
明日はバレンタインですが、同時にダービーぶち込んでくるのすごいよね。実質推しカプ記念日でしょこれは(暴言)

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餃子の街ですれ違う

夕暮れの宇都宮市街にはチームのポスターやファンがちらほらと見受けられ、この街に多少名前が知られるようになったことへの喜びが湧き上がる。
オリオン通りをのんびり歩きながらその様子を眺めていると、見覚えのある青年が俺のポスターを覗いているのに気づいた。
(うちのファン……ではないな?誰だっけ、あの人)
赤と黒という色味は似通っているがカバンにぶら下がるグッズは明らかにうちのものでは無い。
数秒の逡巡のあと、ふと視線がかち合う。
「ホンダヒート、さん?」
あ、そうだ思い出した。この人、マツダさんのとこのチームだ。名前は、そう、確か。
「スカイアクティブズ広島」
「そうです、俺なんかのこと覚えてくれてて有り難いです」
すぐには思い出せなかったことを誤魔化したくて作り笑いで応じるが、スカイアクティブズさん本人はにこやかに応じてくれる。
「宇都宮の街じゅうにポスター貼ってあってすごいですね」
「来季からは宇都宮の子になるからね、最近頑張ってアピールさせてもらってるんですよ」
「でも良いじゃないですか、大事にされてて」
「まあね。ところでなんで宇都宮に?」
「明日レビンズさんとうちの試合がありまして、前日入りしたんですよ」
スマホで試合日程を見せてくれると、なるほど明日は宇都宮での試合となっている。会場も今日俺の試合を行ったグリスタだ。
「なるほどね」
「時間に余裕があれば見に行ったんですけど、到着時刻的に無理でして」
「広島から宇都宮って遠いもんなあ」
「そうだ、餃子食べに行こうかと思ってたんですけど、餃子通りってこのまま真っ直ぐで合ってます?」
「餃子通りってみんみんの本店あるとこでしょ?たぶん方向逆だね」
「ええ……」
「ま、これもなんかの縁だし、一緒に飲み行く?Dロックスいるけど」
Dロックスはどうしても行ってみたいバーがあるとかで、そこで待ち合わせの予定だったのだが1人くらい増えても問題無かろう。
「流石にそれは遠慮させてつかあさい」
「そっか、宇都宮楽しんでってね」
ラグビーに引き寄せられて来た縁のない街でのすれ違い、こういうのもまた面白い経験なのだろう。



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ヒートとスカイアクティブズ。
今日と明日はグリスタがラグビーデイなんだなあと気づいたので。

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きみに手を伸ばせたら

土曜夜の神戸は煌々とした光と賑わいの中で、そこにでかい男二人がほろ酔いで歩いていても目立つことは無い。
「美味しい店だったな」
「せやろ?あの値段で神戸牛食わしてくれるのはあそこだけや」
今日のスティーラーズはご機嫌で二軒目へと連れて行ってくれるのを、早歩きでついて行く。
街の賑わいの向こうに赤く光る塔と潮の匂いが香ってきた。
「あれが神戸のポートタワー、あの敷地一帯がメリケンパークやな」
スティーラーズが指さす神戸の観光名所は夜の岸辺にまっすぐ立ち上がっている。
「目的地は?」
「あの中やな、いまポートタワーの中に灘五郷の日本酒が楽しめるお店が入っとんねん」
「ほう?」
日本酒が特別好きな訳ではないが、そう言われてしまうと引き寄せられるものがある。
信号が変わってポートタワーの敷地に入ろうとすると、スティーラーズがふとタワーと無関係の所へ歩き出す。
そこは壊れた岸壁と共に阪神淡路大震災の文字があり、スティーラーズはその壊れた岸壁に小さく手と合わせる。
壁の文章によれば、ここは阪神淡路の際に破壊された岸壁を遺構として残してあるエリアだという。
「此れを見せたかったのか?」
「それもちーっとはあるな。ラムズにとって今日はただのアウェイ神戸ゲームやけど、俺にとっては特別な日に行われる試合やから」
合掌を終えたスティーラーズがそう答える。
自分も自分なりに答えるべきだろう、そう思って少し考えてから言葉を紡ぐ。
「……我のような関東の民にとって阪神淡路は遠い出来事でしかない。知識として学ぶことは出来るが、それを身体で学ぶことは出来ない。だから、我がここで如何斯う言う権利が有るとは思えぬのだ」
「それはみんなそうやろ、今の若い子らはあの地震を知らん。せやけど共有された経験を学び、未来に生かすために考えることは出来る」
災害は忘れた頃にやってくるということわざの通り、大きな地震はいつどこにやって来るかは分からない。
だからこそ伝え学ぶことは未来のために必要なのだろう。
「我にも知って欲しい、という願いか」
「願いというか祈りかなあ?今日という日に試合をすることの意味を実感して欲しかった、そんな一方的なエゴやね」
スティーラーズがふらふらと歩き出す。
壊れた岸壁から一歩視線を変えれば夜の海に輝くポートタワーや街の明かりが視界いっぱいに瞬いている。
「31年というのは随分いろんなものが変わっていくのだな」
「ホンマにな」
「……スティーラーズにとって、其の変化は良い事だったか?」
「いい悪いやのうて必要な事やね」
スティーラーズがその言葉をどんな顔で吐いていたのか、夜の中ではわからない。
けれどただひとつわかるのは、我が思っていたよりもスティーラーズにとって今日という日が特別だったという事だけだ。
日付と結びついたその痛みに、我はどれほど寄り添えるだろう?
返す言葉を持たぬ我の戸惑いを読み取ったらしいスティーラーズが「まあこの話はここまでにしよか」と言う。
「すまぬな」
「別にええですよ、今日は勝ち点貰いましたし?」
スティーラーズが悪戯小僧のように微笑むので「好きであげた訳ではないぞ?!」と返すしかないのだった。



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ブラックラムズとスティーラーズ、そして31年目のひとり語り。
今年の動画もすごかったですね……。

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銭湯にて

「生き返るぅぅぅ~……!」
お湯に肩まで浸かったスピアーズがとろけそうな顔でそう呟く。
ここは鈴鹿市内にある昔ながらの銭湯で、まだ沸かしたての熱いお湯が冷えた体に染みわたる。
「そりゃよかった」
「悪天候でもラグビーやるのは醍醐味とはいえ、見る側には堪えるよアレは」
今日の鈴鹿市内は雪と強風に見舞われ、多くのサポーターが寒さに震えていた。
(選手にとっては火照った体を冷やすのには良いんだけどねえ……)
ベンチスタッフとして試合じゅう動き回っていた俺と違い、今日のスピアーズは客席で見ていたようだからいつも以上に寒さが堪えたようだ。
「天気はどうにもならないからなぁ」
「勝ち試合じゃなかったらファンの人に申し訳ブファッ?!」
スピアーズの顔面に水鉄砲でお湯をぶっかけると、奇声をあげてせき込む。
「それ俺のファンにも言える?」
「ゴメンナサイ……」
今日負けてしまったうちのファンだって同じように寒さに震えながら応援してくれたのだ、もうちょい言葉を考えて欲しい。
「まあ、でもこういう日は応援してくれる人のありがたさを感じるよね」
「悪天候でも見に来てくれるってすごいもんね」
「宇都宮に移ってからも見捨てちゃいけないよな」
「そうだね」
いま暮らしている鈴鹿とこれから暮らす宇都宮、このふたつの街をちゃんと愛していこう。
俺を、ホンダヒートを、大事にしてくれる人が居る限り。



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ヒートさんとスピアーズ。
今日の鈴鹿は大変でしたね……

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