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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

君の手にハンカチーフは要らない

「トップリーグも今年で最後ねえ」
姐さんがどこか寂しいような呆れたような言葉が紅茶の香りをさせながら言う。
本来ならば去年が最後になるはずだったトップリーグが一年延期になったことを喜ぶ気はないが、最後という事実がひどく寂しい。
「ほんまですね」
最後のトップリーグの予定となるプロモーションビデオを見返すと、懐かしい映像が勇壮な音楽や覚えのある実況とともに次々と流てくる。
「でもここを去った子がいないのね」
この18年でトップリーグに残れず去った者のことは触れられていない。
姐さんが特に言うのは、きっと俺の同郷の後輩だったあいつのことでその思い入れの強さは姐さんもよく分かっている。
「しゃあないんでしょうね」
きっとあいつのことなどもう忘れてしまった者・知らない者のほうが多いのだろう。
それでも記憶の隅に残しておくことだけが、あいつへの供養なのだろう。
泣くことは許されない。想いを抱えて生きていくことのみが、すべてだ。



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スティーラーズと神戸ネキ。
最後のトップリーグPV、かっこよかったですね

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おしらせ

新しく一次創作&擬人化アカウントが出来ました。
サイトの更新告知やどうでもいい妄想などをつらつら垂れ流す予定ですので、気が向いたら見てください。
ついでにマシュマロも開設したのでコメントや質問もアカウントでお答えする予定です。

アカウント@SPBJdHliaztGpT0
ましゅまろ

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変わらぬものはこころの裡に

「開幕が遅いというのは退屈だな」
ブラックラムズ先輩がぽつりとそんなことをつぶやいた。
今年はコロナの影響でだいぶ開幕が遅くなっており、そのお陰でこの時期にしては妙に余裕がありすぎて仕方がない。
「いつもならもっとこの時期は忙しいですもんね」
「汝はそうでもないだろうがな」
その手にあるシウマイ入りのお饅頭は先日横浜へのあいさつした時に頂いたものだ。
遠回しに横浜へのホームタウン変更のことを言ってるのだろうという事はすぐにわかった。
「横浜に移ると言っても再来年の話ですし、練習場所までは移しませんけどね」
「そうらしいな」
「町田でも横浜でもラグビーにいい環境があるところに居たいだけですし」
生まれ育った町田への愛着はあるがそれ以上にチームとしてより良い選択をと考えたとき、日産スタや三ッ沢球技場が使えるのはでかい。
「町田でも横浜でも僕は僕で、あなたを慕う後輩であることは何も変わりませんよ」




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イーグルスとブラックラムズ。
神奈川県町田市から正式に神奈川県民に……と言ったのは私です。

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かぼちゃは食うもの飾るもの

金曜日の夕方、突然のチャイムとともに襲撃してきたのはチーバ君の着ぐるみを着た千葉とゾンビのコスプレをした鹿島だった。
「トリックオアトリート!」
「ごはんつくらなきゃいたずらするぞー」
段ボールいっぱいのカボチャを俺に押し付けながら俺に夕飯をせびってくる鹿島に俺は思わず頭を抱えたくなった。
「……俺これから夜勤なんだけど」
そう、製鉄所は土日祝日も稼働しているので土日だろうが仕事はあるのだ。
幸か不幸か飯はまだ食ってないので今から作って食べた後に仕事に行けばいいのだが、この二人が素直に帰るとは思えない。
「留守番してるから君津の仕事終わったら三人で飲もーよ!」
「いや帰れよ……」
最近は夜勤明けに飲み明かす体力がないし、やんちゃという概念の擬人化のような鹿島と千葉がこの家で大人しく留守番してるとは思えない。
「君津、この間リングフィットアドベンチャーやりたいって言ってたよね?」
千葉が出してきたのはニンテンドーswitchとリングフィットのセットだ。
「京浜さんが最近太ってきた気がするって言うから色々探してたら2つ入手できたんだよねー」
「……スマブラとスプラトゥーン入れといてくれるなら泊ってもいいぞ」
鹿島のほうを向くとしょうがないなーと苦笑いしたので、これは了承ととっていいだろう。
とりあえずカボチャを受け取り二人を家にあげると、俺はさっそくこの箱いっぱいのカボチャを料理することにした。
段ボールのなかを確認してみると、色んなサイズのカボチャ以外に固まり肉やサツマイモにキノコなども入っているようだ。
手持ちの食材と組み合わせて何とかすることにしよう。
まずは小さめのカボチャはレンジで、大きいのは扱いやすいサイズに切って鍋で蒸しあげる。
キノコやサツマイモも適当なサイズにざくざくと切って下ごしらえ。
「あ、君津この赤ワイン飲んでいいー?」
「良いけどそれあんまり旨くねえぞ」
「不味い酒も割ればそれなりに美味しくなるんだよ」
鹿島が酒を勝手に飲もうとし始めるので酒のつまみを先に用意したほうがいいようだ。
蒸しあがった小さいカボチャから中身をくりぬいて種を取り、スライサーで人参ときゅうりを細切りにして、カボチャの中身とスライスした野菜に少量のマヨネーズと黒コショウをかけてざくざくと混ぜ合わせる。
そういやこの間買ったクラッカーとチーズも少し残ってたはずなのでこれも一緒に出しておこう。
「ほれ、つまみ無いと悪酔いするぞ」
「ありがとー、後このカボチャに顔書いていい?」
「勝手にどーぞ」
「ペンとカッター借りるねー」
カクテルを片手にカボチャに顔を書き始めた鹿島と千葉を横目に二品目にかかる。
鍋で蒸したかぼちゃをミキサーでペーストにして、半分は小麦粉としっかり混ぜておく。
「千葉、ちょっと手が空いてんなら手伝え」
「なにー?」
「このかぼちゃの生地を1センチぐらいの玉にしてフォークでギザギザ付けといてくれ」
「はーい、鹿島も終わったら手伝えよー」
残り半分は玉ねぎやコンソメ・牛乳を入れてトロリとするまでミキサーにかける。あとはこれをレンジで温めればかぼちゃのポタージュだ。
サツマイモは半分を素揚げにして砂糖と味噌で合わせて塩気の強い大学芋、残り半分はレンジで蒸しあげて荒めにつぶした後に小麦粉・卵・牛乳と合わせて炊飯器で焼き上げればサツマイモのケーキに。
そして最後はキノコと豚肉。これは一緒に炒め合わせてジェノベーゼソースと混ぜる。これをかぼちゃのニョッキと合わせれば食べ応えのある食事になる。
(……なんか炭水化物多い気がすんなこれ)
しかしこれはもうしょうがない。
冷蔵庫に入ってたレタスをざくざくと荒めにちぎってグリーンサラダも足しておこう。
酒を片手に部屋をハロウィン仕様にしていた鹿島が満足げに俺のほうを見る。
二人の分もあるよーとカリモーチョのグラスの淵に赤いシロップを塗って千葉に差し出してくる。
「あ、君津はこれから仕事だしザクロシロップのサイダー割りね」
「うちにザクロシロップなんてあったかね……」
「なんか漁ってたら未開封のがあったよ?」
そうこう言ってると千葉がさっそくスマホのカメラを立ち上げて写真の準備を始める。
「じゃ、ハロウィンだしチーズの代わりにあれね!せーの!」



「「「ハッピーハロウィン!」」」

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大盛りごはんに何食べる?

「今日は遠路はるばる来てくれて有難うな」
そう言いつつ蒸しタオルを渡すと、スピアーズは体をぬぐい洗濯かごに詰め込む。
「でも俺も久しぶりの試合と久しぶりの釜石で楽しかった!」
試合終わり、トークショーの中継をパソコンで見ながら食事をすることになった。
寒いので部屋の暖房をつけ、夏の間はちゃぶ台にしていた机をこたつにした。
「あ、お米は「要望通り岩手の米を用意したぞ、全部今年の新米だ」
付箋を貼った小さな炊飯器を5つ目前に並べれば、嬉しそうに目を輝かせた。
「右の炊飯器から金色の風、銀河のしずく、どんぴしゃり、いわてっこ、かけはしの5品種。生産地は全部県内だ。
かけはしやいわてっこなんて今は作ってる農家も少ないから探すの大変だったぞ」
「これ全部食べていいの?!」
「3合づつ炊いたから全部食いきるのきついと思うけどな、おかずもあるぞ」
色んなつてを辿って探した岩手の米に合わせるのはもちろん岩手のものだ。
冷蔵庫や棚から用意しておいたものをひとつづ引っ張り出してくる。
「まず南部鮭のホイル焼きといわて牛のスペアリブの煮込み、漬物盛り合わせにめふん……鮭の腎臓の塩辛のことな、普通の塩辛と納豆も用意しといた。
汁物はわかめと豆腐の味噌汁。甘いもんも一応あるぞ」
こたついっぱいの食事に「めっちゃあるじゃん!」と目を輝かせた。
「どうせ多めに作っておけばそれを明日明後日まで回せるしな」
「でも発想は貧乏性だ」
「客人のセリフか?」
「でもめちゃくちゃ嬉しい、じゃあいただきます!」
さっそく茶碗一杯に金色の風を盛って、大きな口で頬張れば「岩手の新米やっぱ最高……」と呟く。
自分もかけはしのほうを一口味わってみると米の甘みがじわりと広がる。
「俺もうこの米のために釜石に来てる……南部鮭も美味しい……」
「食いもんじゃなくて試合と復興支援で来てくれ」
箸を休めることなくあれやこれやと食べ進めていく目の前の男の暢気さはどうにも嫌いになれない。
同じく復興支援で何度も来てくれているジュビロの真面目で敬意を払う態度とは正反対だが、スピアーズとはトップイースト時代の知り合いである。
今更変に気を使われるよりはいいのかもしれない。
あの震災から10年。あれから生まれた縁がこうして今も続いていることはきっといいことだ。
能天気にコメを盛る男の顔を見ながら、そう思う。


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シーウェイブスとスピアーズ。

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