「先輩、今年のバレンタインチョコです」
夕食を一緒に食べた後、食卓に上るのはガトーショコラと淹れたてのブラックコーヒー。
「一日早くないか?」
「だって明日は試合じゃないですか」
「まあな」
そう言いつつイーグルスからの好意を有り難く受け取る。
純白のホイップクリームにブラックチョコレートの濃厚なブラウンのコントラストが美しい。
フォークでガトーショコラを崩してホイップクリームと共に頬張れば、チョコレートのほろ苦さとクリームの甘みが優しく口に広がる。
「美味しいでしょう?横浜の人気店のバレンタイン限定品なんですよ」
「良い物を買って来てくれたな」
自分の反応を満足げに見つめた後、イーグルスもぱくりとガトーショコラを頬張った。
「其れにしても、不思議な気分だな」
「一日早いバレンタインがですか?」
「今宵は恋人同士、明日はラグビーの好敵手。たった数時間で関係性が随分変わるだろう?」
此の温度差はきっと自分たちのような特殊な存在と関係性にのみ許されるのではないだろうか?
イーグルスは「確かに」と微笑み返す。
「でも、楽しいからいいんじゃないですか?」
「まあな」
「今日は恋人としてのあなたを、明日はラグビー選手としてのあなたを、僕だけが全部味わえるってすごく贅沢じゃないですか」
イーグルスの表情はとろりと甘い恋人のものだ。
けれど明日味わう事になる強敵としての顔もまた己にとって好いものであることを、イーグルスは知っている。
「其れならば精々苦戦して貰うか、勝ち点は貰っていくがな」
「楽しみにしてます」
-------
ブラックラムズとイーグルス
明日はバレンタインですが、同時にダービーぶち込んでくるのすごいよね。実質推しカプ記念日でしょこれは(暴言)