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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

滝凍る朝のこと

冬は寒ければ寒いほどいい。
ロングコートにぐるぐる巻きのマフラーと耳あてのついた帽子をかぶって、カメラを片手に真っ暗いトンネルを抜ける。
ぱあっと抜ける朝のひかりと共にささやかな水音が響いてくると、ちょっと残念だ。
人のいない観爆台。目の前には時を止めたかのように白く凍る袋田の滝が広がっている。
「……きょうは8割強って感じかなあ」
まだ完全凍結には物足りないけれど、天気ばかりはしょうがない。
カメラを置いて氷の凍結度と共に観光協会のひとにメールすれば、あと2~3時間後には更新されるはずだ。
まだ誰もいない早朝の滝のキンと冷たい空気と微かな水音は好きだ。
椅子に腰かけて、鞄に入れておいた奥久慈茶とおにぎりを取り出す。
湯気の立った熱いお茶は凍える身体をじんわり温めてくれる。
「きょうもよろしくね、滝さん」
僕そのものであるこの街の象徴である滝は、おうと答えるようにその言葉を吸い込んだ。







大子町と袋田の滝の話。

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12月とどぶ汁

良いあんこうとめひかりが手に入ったから食べに来ない?という連絡が来た。
いわきさんいわきさんと煩い事に定評のある北茨城からそんな連絡がするのは珍しく、風邪でも引いたのかと聞いたら怒られた。
特に断る理由もないので高萩と共に北茨城のもとを訪れる。
「でもなんでこの面子?」
「いわきさんは県絡みの仕事で福島市内にいるからそれ以外で呼びやすい面子呼んだだけ」
即答である。
適当な理由ではあるが気にしないことにした。
ホットプレートには潰したあん肝と味噌が炒められたもの、そこに捌いた柳肉(あんこう)と高萩の持ち込んだ野菜やキノコが一緒に入れられて煮込まれる。
「めひかり焼きあがりましたよ」
「……ここ高萩の家じゃないよね?」
「面倒見に来る頻度が多いんで慣れました」
まるで自分ちのような調子で焼きあがっためひかりの干物を出してくるので聞いて見ればこれだ。
高萩がいかにこの隣人に振り回されているのかがよく分かる発言である。つくつく隣でなくて良かったと思う。
ぬるめの燗と一緒に差し出されためひかりを齧ってみればしみじみと美味い。
めひかりと言うといわきの方が有名だがこの辺りでもめひかりは取れるのだ。
「日立きょう車じゃないの?」
「面倒だから泊まる」
「えっ」
「ついでに僕も泊まりますね」
「いやいやいや」
いつも散々振り回されているのだ、たまにはこれぐらいいいだろう。
「ああそうだ、今夜のアド街北茨城でしたよね?」
「そうだったテレビ!」
ばたばたとテレビの電源をつければちょうどいい時刻だ。
番組開始を知らせるオープニングが響くと、いい具合に鍋の煮える匂いがした。






今更のアド街北茨城ネタ。

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アド街と芸術祭と県北と

「……解せぬ」
テレビの電源を落としてぽつりと常陸太田が呟いた。
「なんだってあっしンとこの鯨が丘商店街が出ないんで?!あっこはうちじゃ有数の観光地!だいたい奥久慈ってーンならうちの全域も紹介するべきじゃないんで?!」
バンバンと机をたたく常陸太田にジト目で答えるのは常陸大宮だ。
「そん気持ちは分かるけんど、そもそもお前そう言うキャラやったっけ……?」
「あっしを書くのが年単位で久しぶり過ぎて作者が過去の文章読み返したらこんな感じだったんでしゃーねぇだよ!」
ちなみにこれは本当の話で、最近シリアス目の話ばかり書いていたので県北内陸組のキャラを完璧に忘れていて頭を抱えました。
そもそもこういうコメディ寄りの話自体久しぶりなのである。しゃーない。
「すごい久しぶりのメタセリフ……」
大子町が冷静に呟いた。
夜食にと持って来た焼き立てのアップルパイを食卓に置いてから、「まあ今回は僕のところの町内全域が対象で二人のところは一部のみだった訳ですし……」とフォローになってないフォローが漏れる。
「竜神大吊橋も舟納豆も出ましたし、ね?」
「何よりの不満は県北芸術祭の話が微塵も出ねぇ事だ!アレにうちがどんだけかけてることか………わざわざ道の駅も作って……」
「確かにあれが出らんのは違和感あんね、もうすぐ始まるっちゅうんに」
「だろー?」
「で、でも、きっとたくさん来てくれますよ!秋は観光シーズンですし!」
「来て貰わねーとこっちが困ンだよ……」




県北芸術祭は9月17日開幕です。


アド街奥久慈見てて気になったのが「県北芸術祭は?」だった私です。みんなおいでよ。

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常陸国は忙しい

2013年、今年は重要な年である。
水「わざわざつくばや鹿島まで呼び出した理由、分かってるよね」
行「でもかすみがうらいないよー?」
鹿「突っ込んだら負けだよ」
那「なんでそう言う事言っちゃうんですか」
高「でもこのメンバーで集まるのって珍しいですよね」
水「でしょ?」
つ「と言うかこういう時以外水戸に来る機会ないけどねー」
鹿「それ水戸には禁句だよ」
水「高萩、いま花貫の石灰石ある?」
高「ありませんよ!」
行「弐湖はなにすればいいー?」
鹿「そろそろ会議はじめません?」
水「そうだね、つくばはあとでタコ殴りにすればいいし。と言う訳で、

常陸国風土記編纂1300年祭会議、はじめるよ」




おわれ





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2度目の秋が来る

風が周囲を吹き抜ける。
「・・・・・・寒」
自分らしくもないけれど時々外に出ないと体が鈍ってしまいそうだから、と自分に言い訳をしてゆっくり坂を上る。
去年の春から息を抜く暇がない。いや、高萩のことで今もないけれど。
「常陸太田」
「・・・・・・日立」
「水戸が、書類」
肩で息をする日立から書類を受け取って軽く深呼吸。
近くに植えられたいろはもみじが赤い葉を茂らせ、ひやりとまた秋の風が吹いた。
「二度目の、秋」
あの日から2回目の秋だ。






おわり




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