忍者ブログ

コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

もういくつ寝ると

ある冬の笠間の家
「笠間、ちょっといいですか?」
「ゆうきにぃだ!」
「おや桜川、笠間は?」
「しもだてにぃと年賀状かいてる!」
「・・・・・そういえばそんな季節ですねぇ」

もういくつ寝ると

「笠間、ちょっと入りますよ」
「おお」
部屋の中からは墨汁の匂いが漂う。
真っ白な年賀状が横に積まれ、毎年のことながら呆れてしまう。
「まだ印刷に切り替える気無いんですね」
「お客さんの中には手書きを期待してるのもいるしなぁ」
「ほら、おすそ分けの煮物です。」
「悪いないつも」
笠間は毎年年賀状を手書きする。
しかも送る枚数もかなり多く、結果として毎年500枚以上書くことになる。
昔はこれだけの枚数を手書きするのは当然だったものの、最近は印刷に切り替える人も多い。
「だから腱鞘炎になるんでしょう、この時期はご飯が作れなくなるとか言って」
「年末だからなぁ」
正月の焼き物市の準備やこの年賀状書きに振り回されるのはいつものことだった。
まあ、毎年届く手の込んだ色鮮やかな絵の笠間の年賀状が楽しみなのも事実ではあった。
「そういえば下館が来てるんですか」
「筑西引き連れてな」
「そうでしょうけど、毎年大晦日になって年賀状の事思い出して年賀状を寒中見舞いにする下館とは思えませんからね」
「あいつだって一応やり方ぐらいは教えとくんだろ」
正月も間近に迫る師走。
「来年はどうなりますかねぇ」
「・・・・・鬼が笑うぞ」










拍手

PR

前途多難だ神栖さん!5

*全神栖市民に土下座すべきシリーズの新作です。

*ぼちぼちデレる。




(ああくそ眠い)
波崎が消えて一年が過ぎ、2006年8月になった。
どこにいてもあいかわらず銚子が人んちに来る。
正直めんどうだが、あいつが貰ってくる魚や野田の醤油が美味しいので受け入れている。
「はー・・・・・」
波崎がいないことが、こんなにも精神面にクるとは思わなかった。

前途多難だ神栖さん!

もう一つの自分ちとも言える市役所の自分専用スペースのソファーベッドに寝そべり、夏空を見渡す。
そうだ、波崎は海と同じ青い目をしていた。
「ちょっといいかぃ?」
「・・・・・・なんで居るんだ」
「橋の件でなぁ、まあたいした用事ではねぇけどなぁ」
ほれ、と茶封筒を手渡される。
相変わらず市役所職員(自分のような存在は一部例外を除き表面上はそういう扱いになる)と偽る気のないラフすぎる服装にもはや何もいえない。
「そうかよ」
「なんだぃ、夏バテかぃ?」
「違う、ただの寝不足だ」
「なら寝れるうちに寝ときなせぇ」
「仕事中に寝られるか」
自分専用スペースを与えられているとはいえ、仕事中に寝られる神経は持ち合わせていない。
これでも工業地帯の中枢という使命感の一つや二つ持ち合わせているつもりだ。
「・・・・・・そうかぃ、夕飯持ってきてやろうかぃ?」
「白身魚のフライ」
「タラでいいかぃ?」
意外にも料理上手(いわゆる『男の料理』ではあるが)なのはつい最近知った。
かなり大ざっぱではあるが美味しいのでまあいいと思うことにした。
「構わない」
「なら、夜にまたここに遊びに来やしょうかねぇ」
「外で待ってろ、近くに着いたら電話鳴らせ」
「へいへい、けなげな嫁さん気分だ」
「・・・・・・鹿島の火力発電所に投げ込んでやろうか」













                          つづく
正直、このシリーズいつ終わるのか全然分からない。
あと口であーだこーだいいつつこれでも神栖はデレなんだぜ。

拍手

鹿島に落ちた光と影4

昭和50年
当時JSL(日本サッカーリーグ)2部所属だった住友金属工業蹴球団がこちらに本拠地を移す。
まだこの街は何も無い平野のような街で、工業や商業が流れ込み始めたばかりだった。
そして平成元年、東京である動きが出てきた。

鹿島に落ちた光と影

平成2年
「まあ、そうやろうなぁ」
「でしょ?」
僕たちの手元には住金が自ら出した「2000年ビジョン」というパンフレット。
このなかの『地域社会に貢献する住友金属』の言葉がきっかけだった。
まだ娯楽に乏しいこの街に対して住金自身もある危機感を覚えていた。
鹿島の街に魅力が無ければ、従業員から敬遠され、活気に乏しい職場になってしまう。
それが勤務効率への低下を招くのではないか、ということだ。
「だからプロサッカーチームを作るんでしょ?」
東京ではJSLのプロリーグ化の動きが出ており、ここに鹿島を本拠地とする住友金属のチームをプロチームにすることで地域の活性化へつなげようという動きが出ていた。
この動きには僕や神栖だけでなく、潮来や水戸も賛同していた。
だが、ひとつ問題があった。
「でもうちのチームそんな強ぉないしなぁ・・・・・」
「そこそこ強ければ問題ないでしょ」
「強くないうえにまだ、鹿島は発展途上地域やからな。集客力に問題あり、ってこないだ言われた。」
84年86年に優勝はは果たしたものの、この年住金は2部に降格していた。
そういう問題もあったのである。
「なら強くすればいいじゃない」
それはある方法で実現した。

*              *

平成3年。
「・・・・まあ間違ってはいないですねぇ」
「でしょ?」
「潮来、無理に鹿島に同調しなくていいからな」
住友金属は元ブラジル代表のジーコを獲得。
のちに日本サッカーに大きな変化をもたらす「日本サッカーの神様」をブラジルから呼び寄せたことで強くなったのは事実だ。
「鹿島が言うたもんなぁ、地域を活性化させたいって。大変やったわ・・・・・」
「どんな風にですか?」
「まず上が『ジーコを選手として雇えないならプロチームにさせない』とか何とか言われるし、本人も一度引退していい年やったし、むこう(ブラジル)で大臣やっとったしなぁ」
「まあ、でも来てくれたのはきっと神様の采配だよ」
これによりチームの成績の上がり、住金がプロチームになることが認められた。

「・・・・・で、話は変わるけどスタジアムどうするん?」
当時鹿島にはプロチームのスタジアムとして必要だと考えられていた15,000人という人数を収容可能なスタジアムが無かった。
元々小さい街である都合上、1万人も収容できるスタジアムなどあるわけが無い。
「あれ、水戸から聞いてないの?」
「いや今度公園にするとこスタジアムになるんか?」
「なるよ、水戸から予算も下りたし」
「ほうか」
満足そうに僕らは笑った。










                               おわり
ところどころ順序が怪しいですが調べても分からなかった部分なので気にしない方向で。
あと鹿島がご都合主義に見えるのは気のせい。
鹿島のその後は・・・・・・まあ、書かなくても分かるよね。

拍手

鹿島に落ちた光と影3

何も無い更地が変化していく。
工場が作られ、人が集い、暮らすようになり、教育施設が作られていく。
「・・・・・・・僕が僕でなくなっていくみたい」
「これが新しいあんさんの姿や、住金の街・鹿島のな」
そして新しいものはもう一つ生まれていく。

鹿島に落ちた光と影

昭和45年1月
「「鹿島臨海鉄道?」」
「せや、ここいらを繋ぐ線路が欲しい言うたら国鉄と水戸が金出してくれることになってな、北鹿島から奥野谷浜までの鉄道をつくんねん。
せやから、そいつの面倒頼むわ。わいとあんたの息子みたいなもんやし」
「・・・・・・わいとあんたって」
色々言いたいことがあるらしい神栖は住金をじっと睨む。
僕としては同居人が増えるのはいいと思うし、地域のためになるのならばそれが一番いい。
「神栖、鹿島はわいの嫁さんやからな?」
「やだなぁ住金、僕は男だからそういうことはまずないよ?」
そういうとなんか複雑そうな面持ちで住金と神栖は僕を見た。
・・・・・何か変なこと言っただろうか。
「まあええわ、それともう一つ。大阪にわいが所有っちゅーか作ったサッカーチームがあるんやけど、そいつが鹿島に本拠地移す話があるんや。どない思う?」
「いいんじゃない?」

*             *

昭和45年11月12日
「・・・・・・君が鹿島臨海?」
こくり、と青年が頷いた。
「ちゅー訳で、こいつの面倒頼むわ。厳しくしつけたさかい、嫁さんは気ぃ抜けるやろ?」
「だから僕はお嫁さんになれないって、とりあえずよろしくね?」
この日、鹿島臨海鉄道が貨物として走り出した。









                 つづく
この話は本格的に住金→鹿島になりました。
後悔なんて・・・・・・してないよ。史実ねたとか気にしないよ。

あと私の中では大阪の関西弁=俺様攻めなのはなんでだろう。絶対ガンナーズのあの人のせいだと思うけど。

拍手

南瓜と柚子とクリスマス前

「・・・・おすそ分け」
「お前がここに来んの珍しいとは思ったけどよ」
基本的に水戸の家と自分の家からあまり出ない日立が持ってきたのは、ビニール袋二つ分の柚子だった。

南瓜と柚子とクリスマス前

「この間聞いたけど、筑西がやっと降りてきたんだって?」
「見つけたのは桜川だけどな」
「だから筑西たちの分もある」
「・・・・・・お前は盗撮でもしてるのか?」
日立は当然のように首を振った、そりゃそうだよな。
ちなみに下館から『南瓜を持て余してるから料理しにきてくれ』と電話があったのはこの30分前だ。
しゃーねぇなと柚子を受け取って、日立には丁重にお帰りいただいた。

*           *

下館の家
「お前、何でこんなに貰ってんだよ」
「断りきれなかったんだよ!ご近所さんの好意無碍に出来ねぇし」
ダンボールにあふれんばかりに詰め込まれた南瓜に俺がそう叫ぶ。
柚子はまあ夜に柚子湯にでもすればいいが、問題はこの南瓜の山だ。
「・・・・ったく、南瓜プリンに煮物とパイとグラタン4人前ぐらい余裕だよなこれなら」
むしろそれだけの種類を4人分づつ作っても多少あまりそうだが、あとは下妻にでも渡すだろう。(こいつなら)
「助かった!じゃあ俺桜川と遊んでるんで頼む!」
そういえばこの間も高梁(下館の姉妹都市・岡山県高梁市のこと)からぶどうが送られてきて食べきれないとか言って呼ばれたような気がする。

(・・・・・・はめられた?)

これだけの南瓜を一人で調理するのは正直手間だった。
まあいい、とりあえずこいつを全部昼食にしようじゃないか。














おわり

下館的にはきっとデレ。そんな下館笠間未満のお話。
お互い自覚の無い片思い、そしてきっと両思い。

拍手

バーコード

カウンター

忍者アナライズ