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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

ふりだし

「この度は本当にご迷惑をおかけしました」
玄関を開けると、レッドドルフィンズが深々と頭を下げて手土産のお菓子を差し出してくる。
ご迷惑の心当たりはひとつだけあるがもう終わったことのつもりだった。
「……あの件ならもう協会から審判も下りた、今更詫びられても困る」
「そうかもしれませんが、僕としてはこうしてちゃんとダイナボアーズさんに詫びを入れない事には気が晴れなくて」
その一言で心にかすかな靄が浮かんでくる。
少し意地の悪いことを言って困らせてやろうかというささやかな復讐心である。
「つまりそれは、レッドドルフィンズが自分のために頭を下げに来たということだろう?」
あの件ではこちらも迷惑を被ったし、D2の面々も同様に迷惑を被ったはずだ。
彼らにも詫びを入れるのが筋じゃないのだろうか?
「……そうかもしれません。ですが!」
それまで頭を下げていたレッドドルフィンズが体を起こし、目を見てこう告げた。
「新選組の誠の文字を一度でも背負ったものとして、正しくありたいと思ったんです」
以前見た赤に新選組をイメージしたダンダラ模様のデザインのシャツを思い出した。
「俺に詫びを入れることがその第一歩ということか」
「はい、D2メンバーや関係者の皆さんにもちゃんとお詫びに行くつもりです」
「なら俺に構わず他の者にも詫びに行くべきじゃないのか?」
レッドドルフィンズは虚を突かれたように一瞬ぽかんとしてから「ありがとうございます」と頭を下げた。
お菓子を受け取るとレッドドルフィンズは再び会釈をして去っていく。



(……ちゃんと更生してくれるといいんだがな)

人生にはやり直しが効くが、やり直しのチャンスは決して多くない。
その少ないチャンスをしっかりと正しくまっすぐに生きていくことが彼の新しい始まりなのだから。

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ダイナボアーズとレッドドルフィンズ。
今日から活動再開らしいので、ほんと次こそはしっかりしてくれよ(懇願)

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だって今日は寒いので

東京・江戸川区陸上競技場は試合後の片付けが終わってもまだ冷たい雨が降っていた。
「お風呂行きたい」
イーグルス君が寒さに震えながらそんなことを言うので無性にお風呂に行きたくなった。
「わかる」
「サウナでもいいからとにかく風呂で身体を温めたいですよね」
ずぶ濡れとまではいかないけど足回りは雨で冷え、ポンチョで蒸れて汗もかいてる。
(ただこの辺ってあんまり温浴施設ないはずなんだよなあ~)
いますぐお湯で身体を温めたいのに何にも思いつかないのがツラすぎる。
「ヘイsir、この辺の温浴施設を調べて」
「かしこまりました」
もうお風呂の気分が固まってしまったのだろうイーグルス君の動きは速かった。
最も近い温浴施設を調べて僕を運転席に座らせると「僕この辺の土地勘ないんで運転お願いしますね」と押し付けてきたのである。
「……容赦ないね」
「勝ち点あげたんだからいいじゃないですか。あ、今住所ナビに入れたんで」
「もうそれ土地勘関係ないよね?別にいいけどさ」

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目的地はいかにも昔ながらの銭湯という風情のところで、入湯料の支払いもそこそこに熱いお湯に浸かれば一気に体が温まる。
「……お風呂っていいねえ」
「クラブハウスのお風呂とは違う風情がありますよね」
冷えて感覚の鈍った指先をお湯で温めながらふと目前のペンキ絵に目が行った。
富士山に三保の松原という定番のペンキ絵で思い出すのはイーグルス君のユニのことだ。
「そういやイーグルス君のユニって北斎柄だけど好きなの?」
「んー、北斎が好きかと言われると悩みますけど今のユニは気に入ってますよ」
「確かにあれかっこいいもんねえ」
「よかったらレプリカ買います?」
「しれっと買わせようとしないでよ」
ちゃぽちゃぽとお湯と戯れながら、お互いの身体を見比べると小さな擦り傷や切り傷が見えた。
あんまり関わりのない後輩ではあるけれどこういうの見ると同じだなあと思うのだ。
「そういやお風呂代後で返してね」
「ブラックラムズ先輩ならこういう時奢ってくれるんですけどね」
「俺は奢りませ~ん」



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スピアーズとイーグルス。
今日マジで寒すぎません???????現地観戦勢強すぎる

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そうして春がやってくる

夜勤明けの朝、一歩外に出ると思ったよりも温かい日差しが空から降ってきた。
ちょっと歩いてみれば遠くに梅の花の匂い。風は冷たいが日差しが気持ちいい。
「シーウェイブスか」
「お疲れ様です」
買い物に来ていたシーウェイブスとディーロックスがひょっこりと向こうからやってきて、その服装がすっかり春の装いだった。
荷物と一緒に花束を手にしていたので「そういやもう11日か」とつぶやく。
「そうですよ」
「夜勤明けは感覚狂っていかんな」
そう呟きながら「この後はどこに?」聞くと「買い物をしてからふたりで鵜住居に」と云う。
たぶんトモスのほうに行くのだろう。
「シーウェイブス、」
「はい」
視線がかち合うと言おうとした言葉がうまく出て来なくなる。
だから違う言葉を口にした。
「……明日の試合楽しみにしてるからな」
もう12年だ、あの日のことはあいつなりにもう折り合いはつけてるはずなのだ。
だから明日のことを口にしてしまう。
全部まっさらに流されても人は作り直せる、長い冬が終われば春が来る。
「頑張ります」
そう言って二人は歩き出す。
まだ冷たい晩冬の風がうんと二人の背中を押していた。



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釜石とシーウェイブス、とちょこっとディーロックス

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君と話がしたいのだ

いい加減有休を使え、と親に言われたので有休を取ることにした。
そうは言っても日曜日には釜石での試合があったからのんびり休む気にもなれず、金曜日のお昼から一日かけて向かうことにした。
浦安の家から東京に出て、新幹線で仙台へ。
軽自動車を借りて国道4号線沿いにあったあの場所を探しに行くことにした。
「……久しぶりですね」
あの場所を訪ねるのはいつ以来だろうか、もう15年?以上来ていないだろう。
やがて入力した住所の近くにたどり着くとそこはグラウンドからずいぶんと様変わりしていた。
「もう会社のグラウンドじゃないんですね」
かつてそこはNTT東北グラウンドと呼ばれ、在りし日には日本代表もいた場所であった。
当たり前だがグラウンドをグラウンドのまま遊ばせておくには月日が経ちすぎた。
仙台の駅前も4号線沿いの道もずいぶん変わってしまった。
バーンズがーNTT東北ラグビー部がー今の仙台を見たらどう思うだろう?
プロ野球チームが出来、新しい地下鉄ができ、震災やコロナでこの辺りも変わってしまった。
自分や身内もずいぶん変わってしまったし、もしここに彼がいたらどういう目で仙台を見つめ、語るだろう?
けれどこの町にもう彼はいないのだ。

「こういう時にいてくれればおすすめのお店の一つでも聞けたんですけどね」

ぽつりとこぼれたどうしようもない文句は風に流される。
東北の春は東京より少しのんびりしていて、まだ春風と呼ぶには冷たい。
ぐぐうっ、とお腹が鳴って体が空腹を叫びだす。
そういえばまだ宿も取っていなかったし近くのお店に入って昼食にしよう。
夕方には仙台を出て釜石入りするから少し余裕もあるし、ちょっといい牛タンでも食べようか、
「泊めてもらうなら仙台土産も買っておいた方がいいですかね?」
もう君はいないけれどいつか君と再会する日のために、話すことを一つでも増やしておこうじゃないか。



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ディーロックスと仙台ぶらり旅。
いつか言及しておきたかった要素を今日のうちに触れておく。

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鵜住居の散歩道

「ここから海って見えんの?」
シャトルズがつまらなさそうにそう呟いた。
地図で見れば海からほど近いこのスタジアムだが海とは方向が微妙にずれており、川は見えるが海が見えない。
「スタジアムからは見えないな」
「駅前も海全然見えないじゃんね。
せっかくおうじょうこいて海の近くに来たでな、海見たかったじゃんね」
地図で見ると駅の中心部もスタジアムも海が近いので海が見えるイメージがあったのだろう。
シャトルズの住む刈谷は愛知の内陸のほうだったはずだし、気持ちはわかる。
「少し行けば見えるところがあるぞ。行くか?」
「行こまいか」
これは確か『行こうよ』という意味だったな。名古屋の製鉄所さんに教わった記憶がある。

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スタジアムを駅とは反対方向に進んでいくと坂道になる。
坂道のてっぺんにたどり着くと水門があり、上が通れるようになっているのだ。
「海や……」
「今目前にあるのが大槌湾、あれが大槌のひょうたん島だな」
海辺に育った身としては冬の海に余り感動はないが、みんな不思議と海が好きらしい。
もちろん海が嫌いなわけではないしあの日のことには自分なりに折り合いもつけてる。
(ま、喜んでくれるんならええか)
「海もええが、反対側もいいぞ」
晩冬の日をきらめかせた鵜住居川の向こう側に大きく翼を広げたようにスタジアムが立つ。
あれが自分の誇りなのだ。
「……いいスタジアムじゃんね、海も川も山も全部あって駅も近い」
シャトルズからふっとこぼれた言葉と笑みに返すことは一つ。



「そりゃあここは自慢のうちだからな!」

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シーウェイブスとシャトルズ。
はじめてうのスタ行ってきましたがやっぱ空が広くていいですね。

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