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コーギーとお昼寝

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そうだ、仲間に会いに行こう。

「あれ・・・・・・つくばさん、背後にいるのは?」

ある日呼び出しを受けて下妻はつくばの家へ。

つくばの背後にいるのはこの地域に珍しい黄金色の髪の毛をした10歳くらいの男の子。
「ああ、TXだよ。いつも東京のところにいるから面識ないんだっけ。」
「てぃーえっくす?」
下妻は首を傾げる、まあごく当たり前なのですが。
「あ、常磐新線だよ!TX、挨拶しな」
「・・・グーテンダグ、TX・・・・・です。」
「あ、えっとはじめまして。常磐新線さん。」
常磐新線、と呼ばれると首をかしげてTXはこう聞いたのです。
「・・・・・・なんでみんな、ICHを『常磐新線』って呼ぶの?」
「え?だって常磐線と同じルートじゃないですか。もともと常磐線の混雑を減らす為って聞いてますけど・・・・・」
「しもつま、常磐線って誰?」
「つ、つくばさん、常磐新線さんってまだ常磐線さんと会ってないんですか!」
「うん、そうなんだよね・・・・・・だから下妻にも付き合ってもらおうと思って。自分も水戸とかあんまり慣れてないって言うのもあるんだけどね☆」
(駄目だこの人らどうにかしないと・・・・・・)
そんなわけで、つくばと常磐新線の仲間と会う旅に出かけたのです。

*                             *

「あ、結城いた!」
「おや・・・・・・つくば。どうしたのですか?」
「水戸線いるよね?TXつれて来たんだけど。」
「ああ、昨日仰っていましたね・・・・・・。これから皆さんに出すアイスでも買いに行こうと思っていたんですよ。下妻もいるなら尚更です。」
「あ、僕はお茶菓子要らないんで大丈夫ですよ。」
「おやおや、それならお言葉に甘えて飲み物だけにしましょう。水戸線は奥で本を読んでいますから・・・・・。」
「ありがとうね、お邪魔します。」
結城の蔵を改造した家の奥には小さな小部屋。
そこに水戸線がいるらしいので、TXは部屋の外で待機してもらい話をつけた。
部屋の隅のベッドの上には太い眉毛の下妻と同じくらいの年の青年がいた。
「あ、水戸線さん・・・・・?」
「誰?」
「し、下妻ですよ!つくばさんがあなたに用事があるって・・・・・」
「・・・・・・つくばが何が用?」
「水戸線の弟つれてきたんだよ、まだ紹介してないなって思って。」
「別にいい。」
「水戸線、どういうことさ!」
「・・・・・・あの子はどういう理由であれ主に見捨てられた子だ。がきに現実は無用だ。」
「あのさ、自分はそう言うことを教えるためにつれて来た訳じゃない。ただ挨拶させに来ただけだ。」
「そう・・・・・ならしょうがないね。部屋に入れなよ。」
ドアを開けてTXを入れる。
「眉毛太い。」
小さく、だが明らかに聞こえる声が響く。
「TXそう言うのは言っちゃ駄目だよ。」
「・・・・・・言われ慣れた、昔下妻にも言われたしな。」
「それ言わないでくださいよ・・・・・・」
「事実は事実。・・・・・・お前が、我輩と常磐の弟か。」
「ICHは、TX・・・・・あなたは?」
「我輩は水戸線だ、お前よりも、つくばよりも長く生きている。」
「・・・・・・『長老』って奴?」
「餓鬼の癖に良く知っておるな、その通りだ。間違ってもお前のもう一人の兄の常磐線のように我輩を下に見るでないぞ。いいな?」
「・・・・・ja(はい)」
そう、恭しく敬礼をして水戸線を兄と受け入れた。

*             *

「ああ、常磐線の阿呆と水郡線はもうすぐ来るぞ。我輩と酒盛りがしたいといっていた。」
ため息をつき、呆れたようにそういった。
「あ、じゃあ自分らも参加していいかな?TXつきで。」
「我輩は構わないぞ、わげし(若い衆)が増えるのはよいことだ。」

ピンポーン

「・・・・・あっさりきおったな、あやつらは。」
「水戸ー、酒盛りしに来たぞー!」
遠くから常磐線を怒る結城の声がする。
「そういえば僕、水郡線さんとお会いしたこと無いんですよね・・・」
「しょうがなかろう、あやつはいつも日立や水戸と遊んでおる。この近辺は遠いから寄り付かん。」
「あれー?この子見かねけど誰っこ?」
いまいち耳慣れない東北弁を話す年齢不詳の子が、水郡線。
「そんな事気にするより酒盛りやっぞ!」
なんとも騒がしいのが常磐線。
「おい、常磐線こやつはお前の弟だぞ。」
「・・・・・・ICH、TX。」
「へえー、あの常磐のしゃっでぃかい。常磐に似ずいい男っこだねぇ」
「ホントかぁ?確かに欧米風だけど水戸ににてるしなぁ・・・・・?」
「つくばが言うなら事実だと思うぞ。こやつはつくばに育てられたらしいからな。ああ、二人とも自己紹介しろ。」
「へーへー、俺は常磐線だ。お前の兄貴分みたいなもんだな。」
「僕は水郡線な、よろしくたのむげな。」
「・・・・・・よろしく。」
「まあ、こんなところだろう。飲むとしよう。」
「「おお!」」
そして夜は更けていくのでした・・・・・。






               おわり




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ある日の古河。

「・・・・・・五霞なんて合併すればいいのに。」
こんばんわ、大宮です。
「来て早々鬱発言やめていただけません?宇都宮線封鎖しますよ。」
「Яはここに泊まるからいいよ。小山が困ろうがどうでもいいし。」
そんな調子の古河さんを適度にスルーしてお届けしようと思います。

ある日の古河

カットスイカを食べつつ様子を眺めてみましょう。
「何でみんなЯと五霞を間違えるかな・・・・・一度は水戸と喧嘩して家出したくせに。」
どうやら五霞さんに間違われたのが不満の原因のようです。」
「別に良いじゃないですか、どちらも良い人ですし。」
「いや、良くないよ。何で未だにあの尻尾野朗いるの?そしてみんな言い間違えるの?どう見ても埼玉だし、ちっちゃいし、自由気まますぎて付いていけないし。」
ぶつぶつと人のベッドの上に寝そべって愚痴モード。
・・・・・・僕の寝床はいずこへ?
「まあまあ、誰も栃木県古河市なんて言いませんから、ね?スイカ食べて機嫌直しましょうよ!」
本音を言おう、僕の寝床返して!
「・・・・・・・・大宮が」
「はい?」
「明日映画見に言ってくれるなら良い、つまりは・・・・・・デート。」
「別に構いませんよ?」
デート、と言う表現はこの際スルーしよう。
だから僕の寝床を返してください。

*                         *

結局僕は寝床を取り返す事ができず、一緒に寝る羽目になったとさ。
(・・・・・・暑苦しい。)




               おわり




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はつこいのひと。

*日立の昔の話です。





―初めて、好きになった人がいた。

―それは、恋してならない人だった。

―与えられた宿命を、初めて憎んだときだった。

はつこいのひと。

慶応4年、皇紀2528年の5月。
「江戸城が開城するそうだ、日立はどう思う?」
「・・・・・別に、どうとも思いません。」
「どうしてだ?」
「慶喜さまが我が水戸藩に不利益をもたらすとでも?」
「・・・・・最もだな、下がっていい。」
私は、適当にそう答え(正直に言って面倒)さっさと出て行くことにした。
(今・・・・・あの人の子孫はどうしてるだろうか。)
佐竹の息子たち、主の子供たち。
向こうは雪国だから雪で遊んでいるのだろうか。
(まあ、いい・・・・・)
「日立さん、何をぼんやりなさってるんですか?」
「別に?」
「あの応答はずいぶんと不思議だと思いましたよ、まあ私としては別にいいのですが。」
「そうか。」
「ああ、水戸さんからの預かり物です。」
渡されたのは数両と手紙。
手紙にはただ、『秋田へ行って来い』とだけ豪快な文字で書かれていた。
(・・・・・・どこでばれたのやら。)

*        *

秋田・出羽久保田藩
「おぬし、何者だ」
槍をこちらに向け、そう問うたのは女武人といった風情の浅葱色の紐をつけた娘だった。
「・・・・・私は常陸国水戸藩からの使いのものだ。」
「うそを吐け、そんな連絡は着ておらん!」
(・・・・・水戸の鬼、いや連絡については書いてなかったから鬼でもないか。)
「おい、浅葱。そうカッカせんでよい。」
カラン、カラン、と下駄の音を立ててきたのは小さな赤い着物の娘だった。
背丈はそう大きくないので、まだ8つぐらいだろうか。
「姫・・・・ですが、不審者であったとしたら大変は・・・・?」
「いや、祖父上の話の者に似ていてな。昔、常陸の国へ行ったときに案内した水戸殿の側用人の顔がこんな風だったと聞いている。」
「・・・・・姫の言うとおりです、水戸の側用人の者です。」
「浅葱、こやつの荷物から刃物と毒類だけとって置け。」
「・・・・・・・・かしこましました。」
「お主、名は?」
「常陸国の一部、です。」
「ほう・・・・名がないのか?」
「日立と申します、呼びにくいことこの上ありませんが。」
「確かにその通りだな、私は出羽久保田藩佐竹義撓が娘の鴇羽(ときは)だ。よろしく頼むぞ、日立。」
「・・・・・はい。」

*            *

「鴇羽さま!大丈夫でしたか?」
「・・・・・秋田、私がそうくたばるとでも?ああ、あと日立殿、こいつは秋田。日立殿と同じ者だ。」
「あなたがあの常陸国さまですか!」
「・・・・・どうぞ、よろしく。」
「父上は?」
「浅葱様とともに広間におります。」
「分かった、秋田は日立殿の案内を。」
「かしこまりました。」
鴇羽はすたすたと一国の姫君らしくしとやかに廊下を進んで行った。
「・・・・・もう、何年も前の事だと言いますのに鴇羽さまの後姿は修理大夫さまに似ています。」
修理大夫、あの人の孫のことだろう。
「坂東太郎のひ孫か・・・・・・・・そうかも知れませんな。」
「・・・・・ところで何故この遠路はるばる秋田の地へ?」
「いえ・・・・・この乱れた世ではいつこの佐竹一族の血筋が絶えるか分かりません。最後に坂東太郎の最期の血を引く男に会いに来たに過ぎません。」
「そうでしたか・・・・・最後にひとつだけ、良いですか?」
「はい。」
「いつか、常陸様のお仲間とお会いできる日を待ってます。この秋田の地で。」
あの人の死の場所は、こんなにもこの一族を愛してくれていたんだ。
その思いで、ひどく安心して幸せになった気がする。
「・・・・・はい。」
義宣さま、あなたはこんなにもこの地で愛されていたのですね。

―初めて、好きになった人がいた。

―それは、恋してならない人だった。

―私に与えられた宿命を、初めて憎んだときだった



この恋で、救われた。
そして移封によって私と義宣さまは永遠で閉ざされた。

「・・・・・日立様?」
「いえ、大丈夫です。」

初恋の人、義宣様。
あなたは幸せでしたか?




                   おわり




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結局、君は何を望んでいたのか。

「・・・・・結城、さん」
僕は知っていたはずなのに。
水戸さんのことも、結城さんの思いも。
「大丈夫ですよ、私は。愛のひとつ断ったからと言って私の扱いを酷くする様な小さい男だと思えませんから。」
「そう、ですけど・・・・・・」
そして結城さんは、僕の部屋にあるベージュ色のソファーに横たわった。

結局、君は何を望んでいたのか。

「・・・・・・ここは。」
僕は何も言わずに二人分の焼きそば(たまたま多めに買っていた)を焼きながら静かに結城さんの紡ぐ言葉を聴いた。
「居心地のいい場所です。家も好きですが、それと引けをとらないほどに落ち着きます。」
焼きそばに粉ソースを絡めながらも、なお紡がれる言葉に耳を傾ける。
「私はどうしようもないんです。人生のネジがどこで狂ったかも分かりませんが、貴方を愛したことで何処かのネジが狂いましたよ。でも、こんな生き方も面白いと思いませんか?」
「どうしてですか?」
「だって、私が愛した物語たちにも化けそうじゃないですか。」
「そんなことを言われても困ります。僕は貴方に幸せになって欲しい。僕が狂わせた人生だと言っても、僕に与えられた運命は離れることを許さないんですから。」
焼きそばを皿に載せると、少々焦げてるようで焦げ臭い気がした。
「・・・・・・・なら、いっそ二人で幸せになってみますか?」

*                       *

二人で幸せになる。
それは『越県合併』のことだった。
不可能だと分かっているのに。
もう一人の隣人からの誘いを断って、彼は一途にも奔走して僕は切り捨ててしまった。
僕にそんな力は無い、利益も無い。
「・・・・・結局、貴方は何を望んでいたんですか?」
「分かりません。市民生活の向上か、あの人たちに嫌気が差したのか、それとも・・・・・・・貴方と幸せになることか。」
そういって、あの日と同じ少々焦げ臭い焼きそばを食べた。







                     おわり




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七夕ですね。

前回からの続き。
小山にとって悪い思い出の日である七夕。
暇をもてあましどうしようと考えあぐねた結果、結城と流しそうめんをすることになりました。

「・・・・・・・随分、多くないですか」
「3人で流しそうめんというのも、つまらないですからねぇ」
結城の家の日本庭園に、やたらと人が集まっていた。

七夕ですね。

「ねぇ、結城にぃそうめんまだぁ~?」
「今茹でてますから大丈夫ですよ。」
結城さんと僕と水戸線さんの3人でゆっくりするものだと思ってのになぁ、と僕はため息をつく。
「結城、ひとつ茹で上がったから流す準備してくれる?」
「あ、わかりました!」
やけにバタバタしてる結城さん。
(・・・・・・なんで僕ここにいるんだろう)
「小山、Добрый вечер(こんばんわ)」
「お久しぶりです、古河さん。」
さっきまでそうめんを茹でていた古河さんが僕の向かいに座る。
「今日は随分とバタバタしてるよねえ」
「ええ、静かにまったりするものだと思っていたんですけどね・・・・・・」
「そうだよね、でも結城の気合の入れようも凄いんだよ。」
「え?」
「だって、毎年竹は同じ奴を使ってたのにわざわざ自宅の庭の竹を久しぶりに切り出してるみたいだから・・・・・・・・・。ほら、器からもいい竹のにおいがするでしょ?」
目の前に置かれた竹製の箸とそうめんつゆの器の匂いをかいで見る。
「ほんとだ・・・・・」
「きっと小山のせいだよ、小山が絡むといっつも本気になる。今も昔もね。」
そうやって苦笑する相手を傍目に、少しだけ嬉しくなる。
自分の為に相手が色々気を使ってくれたということに。
「こがー、短冊だってよ。」
「どうも。」
全員に配られる短冊に、僕は鉛筆書きでひとつのお祈りを書く。

今年も、市民が幸せに暮らせますように。

そしてもうひとつ。

僕ももう少し素直になれますように。
(まあ、気恥ずかしいけどいいよね。うん。)

*          *

短冊を竹にくくりつけると、「もうそろそろ準備してくださいねー」という声が聞こえた。
7月の風が涼しい。
そして僕はやけに楽しい七夕の夜を過ごした。


「小山さん、いい夜を。」
僕に手土産のタッパー(明日のおかず入り)を手渡して、そういう。
少しだけ嬉しかった。
「・・・・・・はい」






                     おわり




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