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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

なぜなにスーパーラグビー

ゆるっとした小ネタ。
書いている人がまだ新米なので間違い・勘違いも含まれている可能性がございます。


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春近く

大都会にも春の気配が近づいている。
ふらっと立ち寄ったビルの片隅にその少年はいた。
「調子はどうだ、サンウルフズ」
「サンゴリアスさん、お仕事サボっていいんですか」
「俺がいなくても父さんたちはちゃんと会社回してくれてるから大丈夫だよ」
それに俺たちなんぞは父さんからすればいてもいなくてもそんなに大差ない、ということは敢えて伏せておいた。
手土産代わりに持って来た甘めの缶コーヒーを差し出してやれば遠慮がちに受け取ってくる。
「開幕戦準備に追われてバッタバタですよこっちは」
「土曜日にホームだもんなあ、よく頑張ってて偉い偉い」
髪を軽く撫でてやれば不満そうにその手を押しのけて「……トップリーグの皆さん全般的に僕のこと年下扱いしますよね」とぼやいた。
「スーパーラグビーにおける日本代表って言われても実際年下だしな」
「まあそうなんですけどそれはそれで大変複雑というかですね……」
「じゃあ今季は全勝して俺たちをアッと言わせてやれよ、みんなで見にいくつもりだしな」
にっと笑ってやれば「……当然です」と呟いた。




サンウルフズとサンゴリアス。
開幕戦見に行こうかなあとぼんやり考えてはいるけど見に行かないで終わりそうな予感。

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梅が咲いたら君の季節

「まあ、そう言うことだから」
「……そういう事ってレベルなの、これ」
自宅のこたつで寝転がっていたところに突撃していくつかの書類と説明をまくしたてて来た水戸に小さく不満を漏らす。
「土浦だってこれ今年で二年目だしもう慣れたでしょ?」
JR東日本水戸支社が主催する人気ソーシャルゲームとのコラボスタンプラリーは今回で二度目だけれど、今回はわざわざ土浦駅の看板にキャラクターのシールを張るという気合の入れようだ。
水戸駅に至っては駅のそこかしこに立て看板を置いたり駅の案内放送を俳優さんにお願いするという。
「やるなら徹底的にしなくちゃね、それに燭台切さんかっこいいじゃん」
このコラボのきっかけになった水戸徳川の刀剣をモチーフにしたキャラの名前を挙げて嬉々としている。
「梅の季節はとうらぶコラボの季節って認知されるぐらいにしたいよね!」
「……ついでにうちの博物館でやる土屋家の刀剣展のアピールもしといてよ」
「気が向いたらね。じゃ、あと取手のところにも説明してくるから」
そう言ってさらりとうちを出て行った県庁所在地を静かににらみつけるしか出来ないのだった。




土浦と水戸。今年もとうらぶコラボの季節が来たよ。

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あの日彼女は希望だった話

「小倉さん、お客さんが喫煙所に来てますよ」
「……喫煙所?」
「小倉さんに会いに来たって言うんですけど、小倉さんなら戸畑の本部事務所にいるって言ったら煙草吸って待ってるから来たら伝えるようにとって言って喫煙所行っちゃったんです」
顔馴染みの職員の様子からして、大方あいつだろうと予想がつく。
やれやれという面持ちで溜息を一つ漏らして「喫煙所行ってくるけん、後は頼んだ」と注げて喫煙所に向かう。
灰皿とベンチだけの喫煙所で新聞片手に座り込んでいたのは予想通りの相手だった。
「よう、久しぶり」
「……やっぱ此花か」
「やっぱって何さ」
「喫煙所で俺を待つ奴なんてお前しか知らん」
「あー、和歌山はいまは吸わないし八幡は煙草呑みだけど人を待つときに煙草は飲まないもんなあ……消去法的にあたしか」
納得したように此花が頷く。
せっかくなので俺の方も一服しようかと煙草に火を灯した。
「……お前さ、八幡や戸畑と一緒にされた事まだ恨んでるか」
「今更な話っちゃ」
「そうだけどお前をうちに迎え入れるとき言った事裏切っちまったなあって」
「『お前に世界を取らせてやる』……か」
「世界どころか日本一も取れなかったしなあ」
住友金属が新日本製鉄と合併した時、住金は国内3番手だった。
他にもあの合併では色々あったので此花なりに思うところがあるのだろうという事は常々感じていた。
「……和歌山がシームレスパイプの技術力で世界に認められとる、それで一応世界を取るって話は果たしたと思っとった」
「お前さんがそう思ってくれてるなら良かった」
此花は本気で世界を取りたかったのか、と今更ながら思い知らされる。
『八幡製鉄もUSスチールも、全部なぎ倒して世界を取る』
そう大ぼらを吹いた此花の手を取ったのは俺自身の意志だった。
浅野の旦那も安田さんもいないが、此花が俺を必要とした。ならばこの女と生きてやろうと、心から思って手を取った。




(やっぱり、あの日この女の手を取った俺は何ひとつ間違いじゃなかったな)


此花と小倉

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関西女子とショコラな話

『今年のバレンタインチョコ、届いたかしら?』
「届いたから電話してるんだよ」
『あらそう』
小さな箱には手作りのチョコレートケーキが2切れとホットチョコレートスプーン(金属製のスプーンの先にチョコレートがついている奴だ)が1つ。
神戸からのバレンタインプレゼントである。
「にしても2切れって他の奴にも配ったのかい?」
『もちろんよ、6号サイズで3ホールも焼いたのよ』
「……にしても神戸が料理って全然イメージ無いよねえ」
『随分な言い草ね、一度あなたに教えたじゃない。トルタ・カプレーゼの焼き方』
神戸は今は仕事のほとんどを加古川に譲っており(代表権だけは移していないようだが)生活においても加古川の方が何かと神戸の世話を焼いている印象があるが、言われて思い出した。

それはまだ、西宮と葺合が阪神製造所と呼ばれて一緒に暮らしていた頃の話だ。
「葺合にバレンタインのチョコを贈りたいと思うんだけど」
神戸の家でのいつものお茶会の最中、西宮が少し前からはやり始めたイベント名をあげると、神戸が「いいわね」とほほ笑んだ。
「バレンタインねえ……別に無理に流行に乗らなくても良いんじゃない?」
「別にそう言うんじゃなくて私がやってみたいなあって思っただけで!」
どこか慌てたように早口で色々と口走るけれど、要は年度末で忙しい時期ではあるものの大好きな葺合と恋人らしいことが出来たらという新婚らしい願望であった。
「まあ西宮がやりたいならやればいいよ」
「此花、あなた西宮の夫みたいなこと言うわね……」
「素直な感想口走っただけだよ」
神戸がチョコレートタルトの作り方を教えると言い出してそのまま台所へと連れて行かれ、ついでに加古川も参戦してのお菓子教室が始まったのである。
「イタリアのカプリ島って知ってる?」
「名前くらいはいちおう知ってるけど……なんで?」
「その島のお菓子でトルタ・カプレーゼって言うのがあってね、それがすごく美味しくて簡単なのよ。少し前に三宮のイタリアンで食べたんだけれど、すごく美味しかったからお店の人にレシピを聞いて最近よく作ってるのよ」
確認の目線を加古川に向けるとこくりと深く頷いた。
少しげんなりしてるようなのでもしかしたら、神戸と一緒にずっと一緒に食べているのかもしれない。少しだけ加古川には同情した。
西宮の方はグルメな神戸がお気に入りという時点で興味が惹かれるらしく、さっそく適当なチラシの裏紙とペンを準備して作る気満々だ。
嬉々として作り方を説明する神戸とそれを興味津々で記録する西宮に、私と加古川は少しのため息を漏らした。
「……姉さん、一度ハマるとずっとそれを作り続けるんですよね」
「なんか分かる気がする」
「最近トルタ・カプレーゼが常備されてることが多くて正直しばらくチョコレートケーキは要らない気分なんですよね」
「まあ本人たちが楽しそうだと止められないしなあ」
「そうなんですよね」
きゃっきゃと言いながらアーモンドとチョコレートで作るトルタ・カプレーゼを焼き上げ、後日葺合がバレンタインとは何ぞやと私に聞いてきたんだったか。

そして、現在。
「……まさかこれトルタ・カプレーゼ?!」
『今年は普通のチョコレートケーキよ、加古川の希望でね』
「そうかい、まあいいや。神戸、happy St. Valentine's Day!」
『Same to you!(あなたもね!)』




神戸と此花と西宮のバレンタイン話。
関西女子トリオにはキャッキャして欲しさある

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