東京・有楽町
休日の都心は人でごった返していて、本当に東京は嫌になる。
まあいわきさんの誘いだから良いんだけどね!
「・・・・・・・東京は人が多いな」
「だよねー、でも言いだしっぺいわきさんだし」
「一人で行く気力が無かったんだよ」
「で、俺を案内役と。愛されてるなー!」
「・・・・・うるさい」
強烈なデコピンをくらいつつもめげません。
アンコウもヒラメも基準値超えてても負けないんだからな!
「で、目的地ってどこ?」
「気仙沼のアンテナショップ」
「・・・・・・な「あらら、来てくれたんだ!わいーめわぐだのーねわざわざ」
噂をすれば影と言わんばかりにひょいと登場したのはとうの気仙沼だった。
(相変わらず何言ってるのかいまいち分からない・・・・・)
まあ言ったら怒られそうなので言わないけど。気仙沼も苦労してるし。
「いや、どうってことでもない」
「そったらわけ無いでしょー、オラはここに半分住み込んでるから良いけどいわきさんとこはまだまだ忙しいじゃないの!・・・・・・・トコでその子は?」
「ああ、北茨城だ」
「はー・・・・・やけに仲良さそうな感じだと思ったらお隣さんかぁ。おらは気仙沼、せんばね」
「あ、はい」
「いわきさんはいいけやぐがいていいなぁ、オラのとこはけやぐみんな似たような状況だし。まあうらやんでも意味無いけど、手伝ってくれるんでしょ?」
「ああ」
その言葉の意味は訛りがきつくても大方分かった。
「・・・・・・いわきさんここの手伝いに来たの?」
「ああ、うちの商品をいくつか置かせてもらってるんでな。そのお礼に」
つまり俺も手伝いの一人に過ぎなかったらしい。
うそでしょー!と言いたくなるような状況を俺は即座に受け入れて、いわてさんと無賃労働に励むことにした。
* *
働いて駅弁もらって働いてを繰り返したらもう夕方になっていた。
「あー・・・・・疲れた」
「いい運動だろ」
「ところでさぁ、いわきさんにとっての気仙沼って?」
「『お互いがんばろう』といってくれたいい友人、だな。
気仙沼だけじゃなくて南三陸や石巻が誘ってくれたから、あそこに協力しようと思えた」
「当たり前でしょ」
俺だけじゃない、いろんな人がこの人を好きでいてくれる。
それがいいことかどうかは別として、いつも世話になってるのに都合が悪くなれば見捨てるような薄情者ではないのだ。
「でも駅弁おいしかったなぁ」
「だな」
水戸発いわき行き最終に間に合うことを祈りつつ、ちょっと小走りで駅へと向かった。
・気仙沼さん
宮城県最北端の漁師系女子。
姉妹都市・友好都市がたくさんいるせいか、おしゃべり大好き人大好き接客業向きの超フレンドリーな女の子。
得意技は「耳がー・・・・でっかくなっちゃったー」っていうアレ。
なまってるのは仕方ないよね!と思ってる。
・南三陸さん
まだちっちゃいけどがんばる男の子、微妙にしたったらず。
気仙沼ちゃんのお隣さん。
・石巻さん
お隣岩手県花巻と名前が似てることを気にする野球観戦と漫画好き高校生。
ネコのピアスは田代島。ひたちなかさんの友人。
おわり
このあいだ東京に行った際に、東北被災地を中心としたアンテナショップがあって、きっといろんな町や人が集まってこんなことしてたんだろうなーと思ったので。
あと石巻と花巻がごっちゃになるのは私です・・・・・orz岩手・宮城の皆さんすいません。