あまりに昔のことではあるけれど、急に懐かしい気分になってしまった。
(特急しもだての写真・・・・・)
白黒の少し色あせた写真には気動車。
キハ48002、のちに「特急しもだて」の名前を与えられて数年で消えた存在。
「・・・・・久しぶりに出かけてみようかな」
気まぐれに彼女がいた頃、筑波鉄道がいた頃の思い出を探しに出かけてみようと思い立ってバッグを片手に家を出た。
* *
下館駅
「めずらしいのぉ」
「真岡さん、あなたこそ珍しいですね」
「わしはSL走らせる時以外はひまじゃからな」
「キハ48002、覚えてますか」
「なんとなくは」
そうだ、まだ覚えている人はいるのだ。
自分だけではない、自分と同じ時を生きて来た人は。
「なんか変な事聞きましたね」
「お前さんが不安ならしゃあない」
俺はその受け答えに苦笑いする。
ああ本当に、俺は自分が消えることへの不安ばかりが先走っているんだ。
おわり