「水戸、手伝え」
「なにをー?」
「佐竹様が出羽国へ転封だ」
太田の不機嫌さを隠す気の無い声に妙な納得をしながらも、仕方ないとため息をつきつつ立ち上がった。
常陸国水戸日記佐竹氏が出羽へ転封となったのは、東軍にも西軍にもはっきりしない態度を取ったせいだ。
一応西軍寄りではあったのだけれどどっちにもはっきりしないから出て行けというのも不思議な話である。
まあ徳川家にとって佐竹氏が江戸に近い水戸にいるというのが目障りだったのかもしれない。
「………嬉しそうだな」
「次の城主は面白い人だと良いけど」
その願望は、水戸にとってとても意外な形で叶うのだがそれはもう少し先の話。