今日は午前中で仕事を切り上げて買い物に出ることにした。
関東と違いこの辺は台風の影響は少なそうだが、楽しみのために万全の準備は欠かせない。
「お、シーウェイブスか」
「ああ!こんな時間鉢合わせるなんて珍しい」
立ち寄ったスーパーで卵をにらんでいたシーウェイブスに声をかけると、いつもの水産加工場の仕事が悪天候で休みになったので雨が降る前に買い物に来ていたらしい。
「で、卵にらんでどうしたんじゃ」
「一個当たりの値段で六個入りを買うか、使い切ること重視で四個入りを買うかで悩んでたとこです」
「いま卵も高いからなあ……六個入り買うから半分持ってくか?」
そう聞くと表情が一気に明るくなって「是非!」と返ってくる。
六個入りの卵をかごに入れると「かご持ちますよ」と言うので、ついでにかごを預けることにした。
「ああそうだ、シーウェイブス必要なもん奢ってやるから荷物運び頼むぞ」
「いいんですか」
「今ポイント貯めててな、まだボーナスも残っとるからお前さんの日常の買い物ぐらいなら問題なく奢れる」
そう告げるとかごに牛乳を入れていた。現金な奴め。
さらに冷凍野菜や切らしていた日用品などをどんどんかごに入れていくシーウェイブスに、呆れ半分仕方なさ半分で見つめているとふと酒コーナーで足が止まる。
ちらっとシーウェイブスがこっちを見た。
飲みたさと遠慮が入り混じる気持ちを読み取ると「今回のワールドカップスポンサーに課金するか」と口にする。
「生ジョッキ缶6缶セット買うから3本もってけ、あとうちに貰った日本酒が二升あるから一升もってけ」
「じゃあ、遠慮なく」
そんな話をしながらレジへと向かうと平日昼間にしてはレジが混雑している。
2人分にしては買い込みすぎた荷物を抱えたシーウェイブスが「釜石さん買いすぎでは?」と聞いてきた。
確かにシーウェイブスがかご1つで収まっているのに対して、自分はかご2つと多めになっている。
「土日は天気悪そうだし、テレビでワールドカップ三昧しようかと思ってな」
「開幕戦からずっと見る感じで?」
「もちろん、フランス対ニュージーランドは見たいし日本対チリも楽しみだ」
「それならこの量にもなるか。でもどうせならパブリックビューイング来て欲しいですけどね」
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釜石とシーウェイブス。 ラグビーワールドカップは日本時間きょうの深夜開幕です