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コーギーとお昼寝

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僕らは誰かのために存在する

1971年4月、水戸駅
(常磐緩行・営団千代田線乗り入れ・・・・・・・)
数日前に告知された知らせを四つ折にしてポケットに仕舞い込んだ。
「水戸?どしたんだべ」
「ああ・・・・・水郡は気にしなくて結構ですよ」
軽く伸びを一つして、気にしていないという振りをしながらも足は南へと向かっていた。

僕らは誰かのために存在している

取手駅
「何でいんだよ」
「個人的な気まぐれですよ」
緑色の営団車両を横目に見ながら、時代の流れというものを痛感する。
他社の車両がこうも平然と止まっていると営団千代田線との乗り入れ計画があるという小田急の車両も取手に来る日が来るのだろうが。
(ただ存在するだけでは利用されない時代が来たという訳ですか)
時代はあまりにも速いスピードでめまぐるしく変化していく、その速さに追いつけない自分はもういい年なんだろうか。
「気にすんのかよ」
「東京の汚い垢に穢れていくのかと思うと兄として寂しいだけですよ」
「・・・・・・・・千代田に失礼だろ、それ」
「私は面識がないので如何ともし難いですけどね」
「あのさぁ、『鉄道は利用客のために存在する』って最初に言ったの水戸だからな?」
常磐から押し付けられた緑茶缶を開けて、軽く一息ついた。
「よく覚えてますねそんなこと」
「国鉄の鬼門、だからな」
「・・・・・・誰が言ったんですか」
「営団銀座線、東京地下鉄道」
その名前は一応の聞き覚えがあった。
地方路線とはいえこちらもそれなりに長く生きているから、東京の路線の一つ二つは一応覚えている。
「ああ・・・・・早川の息子ですか。ずいぶんひねてるとは聞きましたがわざわざ言いますかねそんなこと」
「そこんとこは同意見」
国鉄の鬼門、それはまあいろいろ後ろ暗いことやら何やらが要因なんだろう。
常磐の数パーセントは私の一部だったこと、複数路線を統合して成立したこと、長距離路線でありながら本線でないこと。
「何を考えてるんだか、早川の息子は」
「さあ」
「純粋にあなたのプラスになるならそれで結構ですけどね」


鉄道は使う人のために存在する。
その裏にどのような意図が隠されていようとも、必要とされる限り存在する。







おわり
常磐・千代田直通記念話でした。
直通にもやもやする水戸さんのはなしでした。

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