このことを告げたのはわがままだった。
『あなたが好きです』
打ち込んだメールの宛て先はここから少し離れた場所にいる人だった。
(京成さん)
だって初恋だった、どうしようもない(収入的な意味で)兄弟たちを支えることに必死だったときにうちにやって来たあの人に一目ぼれをした。
ブブブと携帯のバイブ音がした。
「もしもし」
『あー、バス?オレだけど聞こえてる?』
「・・・・・・聞こえてますよ」
『さっきのメールのアレ、オレはまだ無理かにゃー』
「知ってますよ」
京成さんが本当に好きな人ぐらい知っている。
ずっと子会社として存在して、傍らで見てきたのだから。
もうここにはいない人だということぐらい、その人の供養のことを一番気にかけてることぐらい。
『バスはおばかさんだにゃー、なら言う沸必要ないじゃん』
「浮気相手でもいいぐらい好きだから言ったんですよ」
『・・・・・・・・・オレっちは浮気は男の甲斐性だと思ってない子だからなー』
「本気だから浮気でもいいんです、・・・・・・・・・・最初から勝てないんですし」
『そっか。でもお願いなら聞くよ』
願いなんてひとつだ。
あなたがずっと幸福であればもうそれでいい、それを言いたくて好きだといったのだ。
(世界中にあなたが嫌われようとも、)
(私はあなたを愛しているんです)
バスがぜんぜん報われないお話ですねすいません。
とにかく好きで好きで好きで幸せになってほしいからせめて「わたしはあなたを好きだ」ということでちょっと幸せな気分になってほしいけなげバスのお話でした。