「ねぇ下妻、ドーナッツ食べたい」
「……藪から棒になんですか」
ひとの膝枕で寝転がる相手にため息をつきつつ、軽く髪を指で梳いた。
良いもの食べてるせいで無駄に髪質もいいから触り心地もいい。
「ほら、最近ドーナツ食べてないから」
「なんでそうなるんだか」
「んー、色んな人に愛想ふりまくの大変なんだよ」
ちょっと腹が立ったので思い切りデコピンを食らわせてやった。
(その愛想ふりまく相手が天下の首都様であるあなたに言われたくないですよ)
ほかの地方自治体のような苦境とは無縁のボンボンなのでなおさら。
「……酷い」
「酷くない酷くない」
「こんな風に甘えるのは、下妻だけだよ」
「知ってますよ」
だから、こっちは文句ひとつ言えなくなってしまうんだ。
下妻はつくばの甘えに弱いけど、つくばは下妻にしかまえないんだよって話。
このあと下妻はつくばにドーナッツ手作りします。