うちに帰ったら、鹿島と鹿島臨海が愚痴大会を始めていた。
「理不尽だ」
「確かにそれは理不尽だよねえ」
「……鹿島、臨海線いつのまにうちに」
「あ、お帰りー神栖」
鹿島が何でもないようにこちらを向いて笑うので、どうしようと思わず視線を逸らす。
そもそも勝手に人んち不法侵入するなって話である。
たぶん何を言ってもどこ吹く風な事は長い付き合いで察しているが。
「ねー、神栖。臨海が大洗鹿島にプレゼント渡したら叩かれたんだって」
「何渡したんですか」
「……前から欲しがっていたガルパンのゲームと、バレンタインのお返しにマシュマロ」
機嫌があまりよろしくないようだが、そりゃあ叩きたくもなるよね。
バレンタインにマシュマロ渡すのは嫌いって意味だからね。まあ臨海線の事なんで知らなかったんだろうけど。
「何なら良かったんだろうねー」
「……クッキーかキャンディ渡せばよかったんじゃ」
後日、鹿島臨海が「兄さんからホワイトデーのお返しに飴貰ったんだけどこれは押し倒してもいいのか」という旨の相談を受けるのはまた別の話。