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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

変わっていく世界と生きていく

・ちょっと震災がらみ

・高萩さんと水戸さん







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40年ぶりに会う日

久しぶりに響くバットの音。
「日製」
「うん?」
「・・・・・・大阪市、来るかな」
「あいつが来たためしは一度もないだろう」
かれこれ数十年ぶりに日立にバットの音が響く。

***

大正末期。
市内にある二つの社会人野球チームの非公式試合が始まった。
同じ鮎川財閥の流れを汲む日製と日鉱の二つの野球チーム。
湧き上がる熱気を今も思い出す。
しかし、1972年。
「廃部?」
「ああ、来年から野球部を廃止するらしい」
日鉱の野球部が廃止となり、歴史に幕が下りた。
それから40年。






「・・・・・・楽しみか」
「そりゃあ」
40年ぶりの快音を心待ちにしている。





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ついに来た日

ある日の常磐線沿線組。
「・・・・・・よく晴れますねぇ」
「こう晴れが続くと体がうずいて来るから最近筋肉痛なんだよなぁ」
「牛久が筋肉痛になるって珍しいですねぇ」
「一日中走り回ってたら誰だって筋肉痛だよ」
「逆に龍ヶ崎はもう少し日に当たったほうがいいぞ?」
「そこは同意です」
「筋肉痛になる前に脱水症になるよ」
ふいに電話が鳴り響く。
取手の携帯を開くと、発信者は意外な人物だった。
「土浦、どうかしましたか?」
『利根川水系取水制限だって』
「え?」
『水戸が取手や県南勢にそう伝えろって』
「・・・・・・ついにきましたか、取水制限」
『じゃあ』



「・・・・・ついに取水制限か」
「ええ」
「今年よく晴れてるもんなぁ」
県南・取水制限です。




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遠ざかる町の記憶

土浦の庁舎移転先が正式に決まった。
正式に消えてしまうイトーヨーカドーのマークを眺めてみる。
「ちょっと」
「・・・・・・取手」
「珍しく家にいないと思ったらここにいたんですね」
手持ちの書類をいくつか受け取って軽く目を通す。
すべて常磐線関係の資料であることだけ確認して受け取る。
「市庁、イトーヨーカドー跡地にに移転するんでしたっけ」
「ここは最後まで残ってくれたんだけどね」
かつての繁栄の時代の名残となった建物を見ながら、どうしようもなく寂しい気分になる。
たった30年前はこんなことあり得ないくらいの賑わいを見せた町も寂れつつある。
もうあの日々は遠くへ去ってしまったのだと言うように人の声があまり聞こえない。
「盛者必衰の理、ですよ」
長い繁栄はあっても永遠の繁栄はない。
その通りだけれど、どうにもそんな気分になれない。
あの繁栄の日々がこんなにも遠くへ行ってしまうなんて。








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寂しい歌が聞きたい

確かにあれは恋だったのだ。
いつだって一緒に笑ってくれた人を、いわば自分で殺してしまったようなものだ。
だけれどそれはある意味で必然だった。
ならばなんて不幸な必然だろう。



寂しい歌が聞きたい



「つくば」
「・・・・・何?」
「つくづく思いますけど、あなたは筑波に似てるようで似てないですよねぇ」
ぷにっと顔をつねってみる。
「ちょ、痛い痛い痛い!」
「筑波はいつも笑ってたんですけどねぇ」
「いやここで比較するのはおかしいよね?」
ああ本当に理屈っぽい。
妙に理屈っぽいのは私に似たんだろう、県民性という可能性も無きにしも非ずということにしておこう。
「筑波は素直でしたよ」
「あの人はいい意味で単純だったから」
息子からそう解析されていいのかは甚だ疑問だ。
実際そうだと思うけれど。

***

『筑波は私を憎くないんですか』
『いいや?おらは茨城がでっけくなってくれればいい』
学園都市構想の受け皿にふさわしくないという理由により、筑波は将来的に消滅することが決まっている。
『それに、東京がおらんとこ選んでくれたのがうれしい』
そうやってあまりに悪気なく笑うものだから無性に泣きたくなった。










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