*真岡鉄道←烏山線
*99パーセントの妄想と1パーセントの史実でお届けします
彼は、すでに新しい道を生きているのだ。
「烏山」
「あ・・・・」
「ぼんやりしてないで次の運行のために休憩しないと持たないよ」
「那須塩原」
「うん、そうだね」
手渡されたおにぎりは彼女の手作りだった。
僕のような路線と、彼女のような市町村は親密な間柄になることが多い。
そのせいか彼女は僕に親切だった。
「ねえ、烏山と真岡って幼馴染なの?」
「そりゃあ真館線だった頃からの付き合いだから」
まだ僕らがこんなにも離れる前、いつか僕らは繋がると信じていた頃だ。
(もう、僕らの道は重ならない)
彼は第3セクターとなり、僕も延伸は絶望的となった。
宇都宮に伸びるはずだった彼はSLを中心とする観光路線となり、僕は七福神を売りにするローカル線となった。
「・・・・・・このおにぎりしょっぱい」
「え?」
しょっぱいから少しだけ泣けてきたじゃないか。
おわり