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コーギーとお昼寝

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七夕もっと先だろとか言っちゃ駄目です。

*七夕前の作品なのでこうなってます。

世間には、七夕と呼ばれるイベントがある。
「・・・・・・どうしよう、暇だ。」
カレンダーをみて僕は呆然と、一日をどう過ごすか思案した。

七夕もっと先だろとか言っちゃ駄目です。

七夕、それは僕にとっては祇園城が陥落した悪夢の日。
だからお祭りもなく、僕にとって普通の日だった。
例年は平日だと言うのに今年は土曜日。しかも仕事なし。
「・・・・・・結城さんと遊ぶか。」
電話をかけることにした。
結城さんは元主にして隣人、あと僕のストーカーみたいな人。
あの人なら暇つぶしにも付き合ってくれると思って電話してみた。
「・・・・・もしもし。」
『もしもし、珍しいですねぇ。貴方のほうから電話をするのは。やっと合併許可でも出たんですか?』
「違いますよ、個人的なことなんですが・・・・・良いですか?」
(って、何でこんな緊張してるんだか・・・・・)
不意に自分が馬鹿馬鹿しく思える。
『ええ、構いませんよ。』
「七夕の日・・・・・遊びに行ってもいいですか?そうめんでも持って行くんで、流しそうめん水戸線さん込みでやりましょうよ」
『流しそうめんですか・・・・・良いですよ。まあその代わり、いくらか手伝ってもらいますけど。』
「分かりました。」
そういう風に電話を切るとカレンダーに「結城さんちで流しそうめん」とのみ書き込んだ。


おまけ
「・・・・・・・・も」
「も?」
「萌え死ぬ・・・・・」
そうダイイングメッセージ風につぶやくとふらっと倒れた。
「いや、ちょっと結城!?」
「何ですかあれ、萌え分増量ですか私限定の危険物ですか!なにあれ可愛い、全力で少年に戻りたい!」
あらかたそう叫ぶと失神した。
「いや、ちょっと結城さああああん!?」





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企業たちの憂鬱






「伊勢甚と下妻」


「わっちも、年を喰っちまったねぇ」
「・・・・・・いきなり、どうしたんです?」
「いつのまにか、世間が変わっちまった。これを見てごらんよ。」
てちてちと叩いているのは新聞の経済面。
そこにはホットスパー買収の文字。
「あの噂、本当だったんですね・・・・・・。」
「わっちも風の噂では聞いてたけど、本当にそうだとはね・・・・・・。ホットスパーも私と同じ身、か。」
ひょいと下妻の肩の上に乗っかると、こんな事を言い出す。
「下妻、これからつくばのところに行くんだろう?」
「そうですけど・・・・・・もしかして、ライトオンさんに会いに行くんですか?」
「ああ、もうこのところ不景気が影響して日立電鉄もいなくなっちまったんでね。」
僕は少々重い猫又という名の荷物を肩に背負い、つくばさんの所に向かった。

*                   *

「日立電鉄最後の日。」


我輩はネコである。名は日立電鉄。
「主、我輩はこれで最後ですか?」
私より大きな主に問うと、静かに頷く。
「・・・・・左様ならば、我輩の最後の日をしかと見届けてください。日立の名に傷をつけぬよう努力する所存です。」
我輩は頭を下げて、でてゆく。


これが掟だと主は教えてくれた。
(企業とは人間に尽くす生き物である。)


これが定めと主は言った。
(企業を動かす人間とともに死ぬ覚悟を常に持て。)


これがこの世界だと主から聞いた。
(企業は人間が命綱を握っているのだから。)


「・・・・・・日立電鉄?」
目の前に立っているのは主の名づけ親の日立さん。
「日立さん、我輩はこれで良かったのですね?」
こくり、と日立さんは頷く。
「分かりました、伊勢甚たちによろしく伝えてください。」
吾輩はネコである。もう一つの名を『企業』という。

*                    *

「つくば、その他もろもろ。」


「・・・・・やっと来たのかい?日製(日/立製作/所)」
「遅れて申し訳ない。」
つくばの家の日当たりのいい部屋。(サンルームと言うそうだ)
そこを会場に指定したのはこの黒猫だった。
「遅いっすよー、もうご飯食べ終わっちまったんすけど!」
「お黙り、この若造ネコ。」
この若造の三毛猫はライトオン。人間の為の服を作ってる。
相変わらず無言で寝ているのはホットスパー。
「若造、ホットスパーを起こしてやっておやりんさい。」
「へーへー。」
「楽しそうだねえ・・・・・・」
「つくばさん、猫缶買い過ぎじゃないんですか?」
穏やかな春の午後、猫たちの会議が始まっていた。





                    おわり

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茨空の小ネタたち

茨城空港ネタ*

ある日、笠間は水戸に呼び出されました。
「・・・・・・なあ笠間」
「なんだよ」
「もうすぐ茨空出来るけどさ、名物がないんだよな。」
「で?」
「石岡とか小美玉に声かけとくからなんか名物作れ。」
(・・・・・・だと思ったよ。)
「とりあえずさ、つくばから聞いたんだけどよ「まかろん」ってのが流行ってるらしいからそれにしとけ。」
「上から目線でものを言うな。」
「だって水戸だからな。」
でも結局作ってるオチ。

*                            *

*茨城空港ネタその2*

『茨城空港は年数万人を見込んでいましたが実際は数千人になる予測が立てられ・・・・・・』
「ねえ、下妻。」
「はい?」
「茨城空港できてもさ、うちからじゃ無理だよね。水戸へ行く公共機関ないし」
「・・・・・・その通りですけど、まず海外行くお金もありませんよ。」
全くもって当たり前すぎるオチ。





                     おわり




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雨の日、3者3様。






「・・・・・・今日は、うちを片付けますかね。」
雨音で朝、目が覚めると乱雑な部屋があった。
若い男の一人暮らしとはいえこれは酷い。
ぴーんぽーん
朝っぱらからチャイムが鳴る。
「どちらさんですかー」
「自分ですよー筑波だよー」
ドア越しに声が響く(起きずとも声が聞こえるのは小さい1LDKクオティ)
こんな時間から来るって、そう呟いて時計を覗くと9時半。
(・・・・・・遅かったのは僕ですか)
面倒なので着替えもせずドアを開けるとびしょぬれの筑波さんがいた。
「こんな朝っぱらからどうしたんですか」
「朝ごはん・・・・・・作ってもら「冷蔵庫に入れたと思うんですけど」
間髪をいれずに突っ込む。
「今日はパンより下妻の炊き立てご飯が良い、から。」
(あんたパン党の癖に!)
「・・・・・・分かりましたよ、はいってください。」
また今日も振り回されるな、そう内心で呟きご飯を見に行った。

*                             *

「・・・・・・おかえりなさい、小山」
雨の日の泊りがけ出張から帰ってくると。
「ただいま、ですね。」
結城さんがいた。


「なんでいるんですか?待って無くても良いのに。」
「鍵を渡さないのはそっちじゃないですか!鍵があれば普通に入りました。」
「渡したらさらに酷いことになりそうなので勘弁してください。」
この人は僕の隣人、そしてストーカー。そしてそして元主にして恋人のようなもの。
「小山、ご飯は作ってきましたよ。レンジで暖めてください。風呂の準備をしてきます。」
お重3段にわたる夕食をテーブルに置き、さっさと出て行く。
「まさか、今日泊まっていくつもりですか?」
「・・・・・・私も人肌が恋しいんですよ。皆旅立っていきましたから。」
少しだけ、この人が可愛いと思えた。
「そうですか。まあ、一泊ぐらいなら良いですよ。」
下手にこの人に心を許すと魅了される。
『桜夜叉』と呼ばれていたときから、ずっと魅了されていたのかもしれない。
また、あの人に恋をしそうだなんておかしいんだろうけど。

*                               *

「・・・・・・下館」
雨の中にふと見つけたあの日から。
「おっさん、何してんの?」
忘れらない顔があった。
「別にいいだろ?俺が板谷波/山見てて悪いか」
「いや、意外だなって。」
あの日見つけたのはこんな小憎たらしいような顔じゃなくて、孤独だった。
まるでいつまでも振り向かない人に送るような目を遠くにいる結城と小山に向けていた。
「そうかよ、年にあわずこんなとこに来るんじゃないよ。」
「・・・・・・あいにく俺の家が誇る最高の男だからな。」
「お前んち、何にもないもんな」
「うるせーよ、じじいが。」
(年甲斐にあわず、俺は恋でもしてるんだろうか)
一瞬そんなことが思考によぎり、首を振る。
「じじい言うんじゃねーわ」
こんな餓鬼相手に、馬鹿だろう。
「そう反応すんのは本物のじじいだけって決まってんだよ」
とある雨の日のことだった。









                         おわり

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しもつまものがたり?その4






夏が終わり、秋がやってきた。
そして一つ、変化したことがある。
「しもつまー!遊びに来たよ!」
つくばさんがうちに遊びに来るようになったことである。

しもつまものがたり?その4

特に家の場所を教えなかったことに意味はないけど、プールに行ったときについでに家がプールの近くであることを教えたらこれだ。
「別に構いませんけど邪魔しないでくださいね」
針でカリカリとガラスに線をつける。
「しもつまは何してるの?」
「グラスリッツェンです。」
「なにそれ?」
「3,40年ほど前にスイスで生まれたガラス工芸です。簡単に言えばガラスの表面に針で線を入れたりしてるようなものです。」
「へー、ところで触って大丈夫?」
「いいですけどガラスの粒子で目がダメにならないよう注意したほうが良いですよ」
今回彫りこんだ模様は桜と水。
個人的に凄く好きなモチーフは彫りこむ時が凄く楽しい。
「花が流れてる絵なんだね、なんか下妻らしい」
「・・・・・具体的にどこら辺かは聞きませんけど、褒めてもらえて恐縮です。」
「いや、だってさ~水って意外と抽象的なモチーフだし、表現も結構難しいと思うんだ。」
「まったくもってその通りなのがちょっと悔しいですけど。」
「でも、下妻のこのデザインは凄く好き。」
微笑が太陽のように優しい。
この人は本当に綺麗だけど、どうしてこうも僕に執着(というかお気に入り)するのか分からない。


世界は不完全なくせに、完全の近い物があって、不完全であっても美しい。


「・・・・・・・つづき彫らせてもらえません?」
「あ、そうだったね。出来たらそれ貰っていい?」
「別に構いませんけど・・・・・・・」
「じゃあここで待ってるよ、もうちょっとで出来るみたいだし。」
1LDKの小さい部屋にある3人がけソファーで寝転ぶのはいつものことで、もはや慣れっこだ。
「ところで、お昼ご飯どうしましょうか?」
「あ、じゃあ焼きそばがいいな。最近食べてないな~と思って。」
「じゃあ終わったら買いに行きます?」
「うん!」
もし、この人の奥にあるものがもう少し垣間見えたら願いに答えてもいいのかもしれない。
ふと桜を彫りながら思う。







                       おわり

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