それはとある午前中のこと。
「ひたちなか、暇か?」
水戸はこれまでに無く暇だった。
いばらきとクリスマス!なにせ不景気続きで申請やら何やらも少ないし、正月前だから追い込みでやってた仕事があっさり終わって正月準備をするにも早い。
(だから電話してんのに・・・・・・)
「いいえ・・・・これから仕事が。」
「ちっ、お前もか」
「いやそんな盛大に舌打ちされても・・・・・」
「じゃあさ、日立は?」
「たぶん、大丈夫だと」
「じゃあそっち行くって行っといて」
* *
「と言う訳で遊びに来た。」
いつものように泥臭い倉庫にこもって作り物をする日立に話しかける。
「結城の家のケーブルテレビの事で忙しいって・・・・?」
「あー、あれはなんかあっさり終わった。」
「つまりは・・・・・暇なんだ」
「まあそういう事だな。」
少ししょぼくれた犬の様な表情で再び作り物に戻る。
カレンダーにふいに目が行く。
12月25日、今日何かあったっけ?
「あ」
「・・・・・思い出したんだ」
「日立んちのイルミネーション見に行く約束だったな」
「やっぱ、忘れてた。」
日立がため息をついた。
「うー、確かあの時仕事たて込んでて忘れてたんだわ・・・・・本当にすいませんでした!」
思い切り良く謝れるのは水戸のいい所である。
「・・・・・・・夕食、奢ってくれたら許す。」
そのあと、帰って来たひたちなかとその連れの古河・土浦・朝霞・市ヶ谷の7人分奢る羽目になったのは秘密である。
男だらけのむさいクリスマスでごめんよ。