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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

にゃんにゃんにゃん

製鉄所内で部活を作ると、その姿は動物の形を持って生まれてくる。
何故動物の形なのか?というと他の神々が使いとして動物を置くのをまねたのだ。
(まあ今になって思えばそれで正しかったのかもしれんなあ)
動物がいる生活は心の潤いや癒しに繋がるし、何より猫は可愛い。
「サッカー部、」
黄色と黒のトラ猫の姿で生み出した三つの部活のうち、今も手元に残っているのは末っ子ならぬ末猫のサッカー部だけだ。
長男坊の野球部はこの世を去らせてしまったし、次男はシーウェイブスと言う名を得て独立することになった。
「お前さんの分のご飯な」
この末猫はまだまだ人のなりを得られず、ほぼ猫である。
実績を積み上げていくにつれて人に近づいていくのだがまだもう少し猫としてうちにいて欲しい気持ちもある。
しかし実績がないと廃部の憂き目に遭う事もある。難しいところだ。
「……次のスーパー猫の日までうちに居ってくれるかにゃ?」
冗談交じりにそう問えば、末猫は「にゃー」と一声鳴いた。



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釜石とねこ。
スーパー猫の日なので。

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人に頼り神に祈る

今日から仕事前に神社に立ち寄ることにした。
お賽銭箱には五円玉を、ガラガラと鈴を鳴らしてじっと手を合わせて祈る。
「……俺にはこういう事しか出来んくてアレですけど、ブルースの事を何とかしてやってください」
レッドスパークスが死ぬという事になった時はもう覆らない決定的事実だった。
その点ブルースはまだ譲渡やクラブチーム化の可能性がまだ残っていて、出来る事ならばその未来へ行きたかった。
九州でラグビーができる環境を守るためにも、レッドスパークスの想いを受け継ぐためにも、ブルースには残っていて欲しいのだ。
「俺らは無力です、でも出来る限りの事はします。だからなんぞこの祈りを聞き届けてください」
親の決めたことにはあらがえない、ラグビーをすることしかできない無力な存在だ。
そうであったとしても人に頼んだり祈ることは出来る。



「どうか、ブルースにも未来を見せてやってください」

無力な先輩として後輩にできるただ一つの祈りを。

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キューデンヴォルテクスとブルース。
3月10日まで行われる署名活動にもご協力ください

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クッキーだけじゃ足りてない

好きな人からの荷物は嬉しい。
「ヒート君から荷物届いた……!」
わざわざ今日という日に日付を指定して用意してくれた荷物の重みが嬉しくて、小躍りする気持ちを抑えながら箱を開く。
綺麗な包装材に包まれたクッキーとチョコレートボックスが詰められ、一緒に小さなメッセージカードも添えられている。
バレンタインカードが嬉しくて荷物はそこそこにまずはカードを開いてしまう。

パールズへ
ハッピーバレンタイン!初めてのバレンタインだから何かできたらいいなあと思って色々用意してみたよ。
クッキーは13日の試合で配布予定のものなんだけど天気悪そうだから余る気がするってスタッフさんがくれたものだよ。
でもバレンタインのお菓子って色々意味があるって言うし、これだけじゃどうしても足りないなあと思って思い切ってチョコレートを作ってみたんだ。
出来栄えについてはちょっと微妙なんだけど俺なりにパールズにしてあげたい事を全部したつもりなので、よかったら美味しく食べてください。
ヒート

その手紙だけで嬉しくなってしまう。
「出来栄えより私のためにしてくれた気持ちのほうが嬉しいんだけどね」
手紙も包装紙も大事にとっておこう。
そしてこれも誰にも見つからない場所に隠しておかなくちゃ。


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パールズとヒートのバレンタイン。

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冷たい雨から逃れて

グラウンドでのあいさつ回りを終えるとブルーズーマーズ、もといスカイアクティブズが寒さに震えながら暖房を占領していた。
試合で走り回っている間はいいが一度動かなくなると寒さが体の芯まで来たようだ。
「ブルー、じゃなくてスカイアクティブズ。まだそんなに冷えるか?」
「体拭いて着替えたのにまだ寒さが体の芯に残ってて」
悪天候も災いしてボロボロだった試合結果で芯が冷えているんじゃないか、という気もするが勝った側のいう事じゃない。
とりあえず乾いたタオルで身体を拭い、着替えて暖房にあたる。
冷たい雨でかじかんだ指先を暖房で少しづつ温め、動かして血流も取り戻す。
「……まだ練習が足りんなって思いましたよ」
「あー、試合終了直前にトライ決め損ねたアレか」
「あれもですけど結局今日の試合3点しか取れんかったでしょう」
スカイアクティブズは今回も負けたことで気落ちが深まってきた。
現時点で唯一の勝ち点ゼロになってしまったのがよほど気持ちとして響いてるのか、気持ちは明るくならないらしい。
「今から落ち込んでたら勝てる試合も勝てなくなるぞ」
とにかく前を向くしかない。
少しでも勝って勝ち点を積んでいけば入れ替え戦で有利が取れる(D3の3位辺りならまだ勝てるかもしれないし)のだし、出来ることをやっていくしかない。
「そりゃあそうでしょうけどね」
チーム名が変わってもどこかネガティブな性格はあまり変わらないらしい。
「この雨が落ち着くまで待つしかないか」
少しでも勝ち点を積み上げて残れるように最善を尽くそう。
そうしていつか上に行く日を虎視眈々と狙うのだ。


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シーウェイブズとスカイアクティブズ

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敵に牡蠣を送る

今日、岩手から箱いっぱいの牡蠣が届いた。
送り主である釜石シーウェイブスからは一緒に手紙も同封され、せっかくなので今日は牡蠣鍋にしようと思う。
粉末出汁を溶かしたお湯に味噌を溶かし入れ、地元産白菜やニンジンを牡蠣のむき身と一緒に鍋に入れて蓋をする。
そうして煮えるまで手紙に目を通すことにした。
三菱重工相模原ダイナボアーズへ、という書き出しから始まる丁寧な文体の手紙からは微かにインクのにおいがする。

冬も盛りの二月、随分と寒くなってまいりました。お風邪を召されたりなどしておりませんでしょうか。
先日Twitterで自分たちを『見習いたい良きライバル』と呼んでくれた喜びを140文字に詰め込むことが出来ず、こうして久しぶりに筆を執った次第です。
最初に対面してもう20年は経っているはずですが未だこうして上に行くことも出来ないままで足掻き続ける自分を、ライバルと呼んでくれることが時にひどく面映ゆく思える事があります。
それはきっと自分のコンプレックスという奴なのでしょう。
ライバルだとダイナボアーズに認められたとき、そのコンプレックスからひととき解放された気がするのです。
親会社の元から離れざるを得ない状況に陥り、資金力のなさに苦しみ、東北の冷たい風雪に打たれながら、それでもラグビーをしている釜石シーウェイブスを尊敬すると言って貰えることが俺は心から嬉しく思えたのです。
このラグビーボールを抱きしめて張りる事だけを考える日々をあと何年続けられるかという不安はきっと互いに抱き続けるものだろうと思いますが、それでもともに前を向こうと告げてくれることが心底頼もしく思います。
まだラグビーの季節は続きます、どうか何事もなく過ごせるようにという祈りを込めて三陸の冬の名物・牡蠣も一緒に贈ります。
次は釜石のあの美しい空を望むスタジアムで会いましょう。
釜石シーウェイブス

便せん二枚に綴られた丁寧な筆致の手紙を読み返し、その心持ちの温かさに心が緩む。
「……釜石に行くのが楽しみになったな」
次に会うときは三陸の焼き牡蠣を食べよう。
親愛なるライバルからの贈り物でこの寒々しい雪の夜を超えた話を酒の肴にして。


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ダイナボアーズとシーウェイブス

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