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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

ラストゲームはあの人に

あの人はラストゲームになったその試合を観客席から見つめていた。
今シーズン限りで現役を終える人を最後の晴れ舞台に立たせることのできなかった己の弱さに、涙を滲ませながらスピアーズの元へ挨拶に行く。
「お疲れ様でした」
「そっちこそお疲れ様、俺もうちのキャプテンとゴローさん戦わせてあげたかったな」
スピアーズはポツリとそうつぶやいた。
「あの二人仲良いですもんね」
「うん、まあ俺のいう事じゃないけどね」
「……最後のトップリーグ決勝をあの人の花道にしてあげたかったのになあ」
それでも僕が泣くわけにはゆくまい。
1番決勝の舞台に立てた事はきっとあの人だろうから。

「俺たちにできるのは、せめて心からのお疲れ様とありがとうだけじゃない?」

スピアーズが観客席の方をちらりと向いてそう告げた。
その言葉は僕ではなくきっとあの人に向けられているのだろう。
「スピアーズもそういうこと言うんですね」
「ジュビロは俺をどういう存在だと思ってるのさ!」
「ラグビーと米以外のものに興味がないと思ってたので」
「人でなしみたいにいうのやめてよね〜」
あの人へ美しい花道を捧げられなかったけれど、心からの感謝と愛情をここから捧げよう。




———
ジュビロとスピアーズ。
この敗北はジュビロにとって本当に悔しいだろうけれど、今となってはお疲れ様しか言えないな……。

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ごちそうにしよう!

「聞いてよ!きょうの劇的勝利!」
上機嫌のグリーンロケッツが大量の荷物を抱えたシャイニングアークスを引き連れてうちに来た。
遠征の荷物とスーツもそのままにこっちへ寄ってきてくれたのだろうか。
「開始早々の先制ゴールに最後の最後でもぎ取ったポイントゴールのあの曲線!かっこよかったでしょ?」
「テレビで見てたよ、よかったね」
「そんなミラクルセブンのために美味しいお米を炊いて欲しいんだけど!おかずはあるよ!」
疲れのにじむシャイニングアークスの荷物をもぎ取って出してきたのは、大阪名物のイカ焼きやちりとり鍋のセット。
さらに豚まんやチーズケーキにお酒の飲み比べセットも出てきて、上機嫌で大阪土産を買いあさったのだろうなと言うことは察しが付く。
「このミラクルセブンのために作っといて!あ、三人分あるから安心して!」
そう言ってちゃっかりテレビの前に陣取ってチーズケーキとワインを開けると他会場でのリーグ戦を見始める。
「チーズケーキにワインって美味しいのかな」
「……ツッコミどころそこですか?」
よれたビジネススーツを身にまとった疲れ気味のシャイニングアークスが呟いた。
その疲れ具合から、職場からそのまま訳も分からず連れてこられましたという状況がありありと想像できる。お疲れさまとしか言いようがない。
「別にご飯作るの嫌いじゃないしね。ちりとり鍋は普通の鍋で良いのかな?
あ、ごはんは冷凍のがあるから好きなだけ解凍して食べちゃっていいよ。シャイニングアークスも食べてきなよ。冷蔵庫の残りものだけど鯖味噌あるよ、好きでしょ?」
鯖味噌と聞いて一瞬ピクっと表情が動いた。
仕事による多忙で普段は粗食気味のシャイニングアークスだが、和食党で最近は鯖が好きなことを俺は知っている。
「いただいてもいいんですか」
「うん、だいいち繁忙期はプロテインとカロリーメイトで生き延びてる人をほっとけるほど冷血じゃないしね」
「じゃあ、甘えさせてもらいます」
そう言って冷蔵庫からご飯と鯖味噌を電子レンジで温める。
遠くからグリーンロケッツの「肉まんもあっためといてー」と言う声がする。
「自分でやりなさい」
「えー?このミラクルセブンのお祝いなのに~」
「祝われに押しかけてくるのは世界広しと言えどもグリーンロケッツぐらいでしょうね」
「まあまあ、俺があっためとくよ」
たぶんグリーンロケッツにとって一番の勝利のごちそうは、こうやってみんなで食べてるときなのかもしれない。
そう思えばこのちょっと奔放すぎる振る舞いも許せる気がする。



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スピアーズとグリーンロケッツとシャイニングアークス。
800日ぶり&今季初公式戦勝利おめでとう!

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新幹線が変形するアニメのはなし

-注意-
アニメシンカリオンとその続編2話までの視聴を前提とした話です。
ネタバレはたぶんありませんがご注意ください。

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息抜きに黄金の湯浴み

「疲れた」
水曜日の夜、ぼそっと口から洩れた言葉にスティーラーズと加古川が眼差しを曇らせる。
「……姉さんお疲れですか」
「別に気を遣わなくてもいいわよ、加古川だって疲れてるのに」
「お互い様じゃないですか」
スティーラーズがその様子を見て突然電話をかけてきた。
「あ、社長。遅くにすいません、俺ですスティーラーズです。
前から申請してた俺の休みの事なんですけど姐さんたち……あ、はい、神戸さんと加古川さんです。あの二人も追加で休ましてあげられません?
ええ、ちょっと有馬の湯で疲れを抜いてもらおうかと。……はい、はーい、了解ですー。失礼しますー」
「ちょっとスティーラーズ?」
「あした、温泉行きましょ」
スティーラーズがにこやかにそう告げる。
「突然すぎて怒られそうなんだけど」
「社長がええ言うたんならええやないですか、ね?」

***

木曜日、神戸の奥座敷・有馬は小雨が降っていた。
「本当に良いのかしら」
「せやから所長さんにも許可とったやないですか」
けさスティーラーズが加古川と私のところの関係者にも連絡を入れ、もとからあった休みを含めて木金土日と有馬で過ごす算段を立てた。
スティーラーズが持ってきたビニール傘を差しながら小雨降る山間の温泉地をのんびりと歩く。
「そういえばスティーラーズ君は元から休みなんですか?」
加古川が温泉街で買った炭酸せんべいをかじりながら尋ねてきた。
「ええ、バイウィークの間にちょっとでも体の疲れを抜いとこうと思って。薬やとドーピング引っ掛かりますから温泉のほうが色々都合良くて」
「有馬なら近いしドーピングには引っかからないものね」
「そういうことです。あ、ここです」
スティーラーズが入ったのは有馬のはずれにある旅館だった。
連れていかれたのは大きめの離れで、露天風呂もついた畳敷きの部屋だった。
「ずいぶんいい部屋とってたのね」
「いつもは離れなんか高くて取りませんよ、急に人数増えることになったもんやからお宿さんがここしか用意出来んって。
あ、お茶飲んだら俺お風呂行くんで姐さんたちのんびりしててください」
お茶とお菓子を軽くお腹に収めたスティーラーズはさっさと本館のお風呂へと向かっていってしまい、残されたのは私たち二人。
年度初めの四月でしかも平日昼間だというのに、温泉と言うのは些かの罪悪感がある。
思考を巡らせていると加古川が思い立ったように「せっかくだし入りませんか」と口を開いた。
「せっかくスティーラーズ君が連れてきてくれたんですから、ね?」
「……そうね」
そうと決まれば露天風呂への入浴だ。
いつもの服を脱ぎ、ヘアメイクとともに汗も洗い流してから、温かい湯船に二人で身体を浸ける。
お湯の優しい肌触りがお疲れさまと言うように疲れをほぐしてくれる。
「こうして二人でお風呂って何年ぶりだったかしら」
加古川が小さかった頃はたびたび一緒にお風呂に入る事もあったけれど、もうここ20年ぐらいはそんなこともしていなかった。
「私が小さい頃以来ですよ」
「そうよね、あなたの身体も随分変わったものね」
「多少は成長しました?」
「ええ」
日本の鉄鋼業を取り巻く状況は決していいとは言えず、コロナ不況はまだ収まる気配を見せない。
そんな状況で張りつめていた気持ちをほどいて二人でのんびり雨音を聞く時間はやさしい。


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こべるこ姉妹のいちゃいちゃ。

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男子三日逢わざれば

「今年のレッドハリケーンズくんはすごいわねえ」
姐さんがしみじみと言うように言葉を漏らす。
自主的にテント片づけの手伝いをしてくれるという姐さんにありがたく荷物の箱詰めをお願いし、俺は荷物をトラックに積み込む作業に勤しむ。
「ホンマですよね、今日はほんっとヒヤヒヤしましたわ」
「見てるこっちも肝冷やしたわよ、本物のマピンピとペレナラが見れたのは良かったけど……」
箱を閉じながらはーっとため息を漏らす。
「松岡君のトライが無かったらどうなってたことか、ほんとに想像するだけで恐ろしい試合だったわね」
「そこは否定できませんわ」
最後の段ボールを手渡すと「そういえばこのあとまっすぐ帰ってくるの?」と聞いてくる。
「すいません、レッドハリケーンズに夕飯誘われてるんですわ」
「そう、8時ぐらいまでに帰って来れる?一緒に呑みながら試合見ましょ」
「了解です」
姐さんは駅のほうへと歩いていき、スタッフや選手も神戸へと帰っていく。
この帰り路の時間というのは夢から現実へと移り変わる独特のまどろみがあるように思う。
「スティーラーズさん」
「おつかれさんやな」
レッドハリケーンズとともに現れたライナーズに「なんで居んねん!」とツッコミが口から迸る。
「試合あらへんから見に来てただけよ?」
「さっきそこの自販機んとこでばったり鉢会ったんで夕飯三人で行きましょ!」
そういやトップチャレンジは一足先にリーグ戦を終えていたのだったか。
言われてみれば納得の理由に「第三者の意見も必要よな」と呟きが漏れた。
「ほんならライナーズおすすめの美味い店にしよ、あいつのほうがこの辺の飯屋詳しいし」
「えー、俺きょうは混ぜカレーの気分やったんですけど」
「難波まで出なくても吉田駅のほうにめっちゃええカレー屋あるからそこにせーへん?俺のお勧め」
「……じゃあそこで」
男子三日逢わざれば刮目してみよと人は言う。
ならばその男追いつかれないように、俺も早く大きくなっていくために飯を食おう。そしてラグビーの話をしよう。
互いに強く大きくならなければ、最後に与えられる優勝の幸福は得られないのだから。


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スティーラーズとレッドハリケーンズとライナーズ。
今年の台風の目は大木巨頭をなぎたおせるのか。

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