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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

ほんとの祝福は3年後

インターネット電話をつないだタブレットによく冷えたビールと柿の種を手に、テレビを付ければもう抽選会は始まっている。
「19年大会の抽選会の時もこうやってオンラインで繋いだよな」
『あの時はみんな仕事でバタついてたからね』と冷静に突っ込むワイルドナイツに『まあみんなで楽しめるのが一番でしょ』と楽し気なブレイブルーパス先輩の横にはブレイブループちゃんもいる。
それを横目に死の組がどうこうと言い出す千葉トリオに、イングランドって何組やった?と言い出すスティーラーズさんに大阪コンビと、今回もやっぱり騒がしい。
(まあトップリーグ全員で抽選会見守ろうと思うとこうするしかないんだよなあ)
全国各地に散らばる面々が一堂に会するのはこんなご時世でなくても難しく、けれどオンラインでもただ喋りながら見守るのも楽しいものだ。

『日本はグループD入り!』

Japanの文字が書かれた球が出た瞬間にそう言ったのはブルースだった。
「グループDだとイングランド?」
『あとアルゼンチンだね、でもイングランドなら去年エディーと試合できなかったし良いんじゃない?』
ワイルドナイツは楽し気なのに対して『6月に全英代表との試合が在るだろうに』と呟くのはブラックラムズさんである。
「でもライオンズってエディーが監督だっけ?」
『確かウォーレン・ガットランドだったような……』
『イーグルスが言うならそうなのだろうな』
「イングランドも良いけどアルゼンチンも最近オールブラックスに勝ったりしてて強いよなあ、あとどこだっけ?」
即座に答えてきたのはイーグルスだった。
『オセアニア一位と北米2位ですね。オセアニアはサモアかトンガ、北米はカナダが有力ですかね』
「あー……なんかすごいめんどくさそうな気配すんな」
『ですね、だからブルースさんも機敏に反応したんじゃないですか?藤井さんのところ行ったみたいですし』
そういやブルースのところのヘッドコーチはずっと日本代表に帯同していたことを思い出し、だからこそ挙動に注目していたのかもしれない。
『でも見る側としては楽しい組み合わせでいいじゃない』
ワイルドナイツが薄く笑いつつハイボールに口を付ける。
「そうなんだよな」
まずはこの最高に楽しそうな組み合わせに入れた幸運への感謝の祝杯を捧げよう。




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23年大会の組み合わせ、出ましたね。

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50年目の腐れ縁

「今回も馳走になるな」
そう言いながら東京近辺の美味い酒を広げてくるブラックラムズに「……気が早ないか」と思わず呆れてしまう。
もう50回近い交流戦の相手となるブラックラムズはまるでここを香椎にあるもう一つの家のように馴染んだ顔で酒を開ける。
まだもつ鍋の準備を始めたばかりだというのに家主を抜きに飲み始めるのもどうなのだろう。
「もちろん貴兄の呑む良い酒も十分に用意してある、第一に貴兄は日本酒を嗜まないだろう」
「まあ、出されれば飲むけどな。日本酒に慣れてへんだけやし」
ざくざくと切り刻んだ野菜やモツをそのまま市販のだし汁とにんにく醤油を混ぜたスープに入れて、野菜に火を通るまで煮るだけ。
料理としては簡素だがこの博多もつ鍋がブラックラムズはお気に入りのようで、交流戦のたびに振る舞っている。
「此れが貴兄の分だ、今回は八丈島で作られてる芋焼酎を用意した」
グラスにとくとくと注がれる芋焼酎からはほのかにサツマイモの甘い匂いが薫ってきて、初めて飲む酒にワクワクする心地だ。
まずはストレートで飲んでみるとサツマイモの甘さと焼酎の香りがふっとぬけてくる。
試合後の身体から緊張を抜き取ってくれるような程よい甘辛さが心地よい。
「……これはいい」
「貴兄の好みに合うようでよかった」
「ロックがええかな、氷とってくる」
「ああ」
グラスに氷を2つ3つ落としてカラカラと振り混ぜれば、温度差でゆらめくように酒が対流していくのが見える。
ついでに冷蔵庫から鍋の薬味を探してみると炭酸水もあったのでこれも飲んでしまおう。
「もう煮えたようだが食べて良い頃合いじゃないのか」
「ああ、そうしよ」
長い腐れ縁が持ってくるのは最高のゲームに知らぬ酒。
それだけがあればいくらでも逢う価値はあるというものだろう。




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キューデンヴォルテクスとブラックラムズ。
本日の練習試合が48回?とか続いてるらしいので。

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冬の湯船に愛が浮く

街も随分冷え込むようになってくるのを感じるたびに、もう冬だなと思い知らされる。
相変わらず厳しいこの街の冬を何度過ごしてきたかなんて数えたくもない。
されどここに生まれこの町の誇りとして生きてきた以上はこの冬の寒さに文句など付けることもできない。
それに、この12月1日という日は多くの人々が自分の誕生を祝う記念日なのだ。
紙袋に詰め込んだ祝いの品をぶら下げながら一人暮らす家の扉を開ける。
「おかえりなさい釜石!」
自分の冷えた体に遠慮もなく飛び掛かってきたのは割烹着に身を包んだ八幡だった。
マスク越しに八幡の熱い頬が触れ、抱きしめる腕の力もすんすんという匂いをかぐ音もこれが現実だと伝えてくる。
その一つ一つが妙に懐かしくてぽんぽんとその背中をたたくと、強く抱きしめ返される。
このところは流行り病で長距離移動を制限され、こうして対面で逢うのはずいぶんと久しぶりだ。
「お前仕事とかええんか?」
「ちゃんと終わらせてから来てますよ。ちゃんとマスクや消毒液も持ってきてますし……あ、手指消毒」
「手洗いうがいで良かろ」
「ならお風呂沸かしてありますから!お先にどうぞ」
そう言うと名残惜しそうに八幡が腕を放して荷物も運んでおいてくれるというので、遠慮なく一番風呂を浴びに行く。
自宅の古い風呂の扉を開ければふわりと温泉の香りがして、どこかの温泉場の湯の花でも入れておいてくれたのが分かる。
綺麗に体を洗い流して湯の華薫り立つ熱い湯に身を浸す。
じんわりと指先まで温かさと祝福が染みわたり、温泉の香りを体いっぱいに吸い込む。
(……それにしても今日は嫁でも貰った気分だな)
100歳もとうに過ぎ八幡の供給過多な愛情の受け取りには慣れているつもりだったが、こういう方向から来られるのは初めてでこそばゆい。
「着替え置いときますね」
扉越しに八幡がそう告げてくるので「おう」と答えると「夕飯も出来てますから」と答えてくる。
「今日のお前さんは嫁さんみたいだな、男なのが惜しいくらいだ」
「釜石にしかしませんけどね」
「確かにわし以外にこんなことするお前さんが想像つかん」
自分の事がずっと好きな男だという事はこの半世紀でよく分かった。
その愛を信じていると言えば聞こえはいいが、本当はただの甘えなのかもしれない。
「……今日は南部鱈のたらちりですよ。
それに色々プレゼントも預かってきてるので楽しみにしてくださいね」
今日はお湯だけでなく愛情で指先までよく温まれそうだ。




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八幡釜石。最初は足し算のつもりがカプっぽくなったのでカプ扱いです。

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浅き冬

朝起きるたびに寒さが染みわたってくるのが嫌になる今日この頃。
年末調整に追われ。不景気の波を日々の数字に感じ、前倒しになった高炉の改修計画準備に追われるのがぼちぼち嫌になってきた。
「……チョコでも食べよ」
お昼ご飯のついでに買ったチョコにインスタントのブラックコーヒーを並べて、それでも一応仕事してるふりはしようと仕事のメールボックスを開いておく。
ぽちぽちとメールを開いては消していき、空いた手でコーヒーを飲みチョコをつまむ。
不真面目と言えば不真面目だけれどそれぐらいは大目に見て欲しい、なんせ在宅勤務なので。
(もう京浜さんとも長いこと会えてないな)
不要不急の外出自粛に、オンライン化が進む事務仕事。ついでに寒くなってきたのも相まって外に出るのもだいぶ減った。
定期的に会っていた美人の仕事仲間である京浜さんとも会うのはオンライン上ばかり。
「隙を見て個人的に鶴見のほう行くかなあ」
でもあの人は真面目なのでソーシャルディスタンスですよ、なんて嗜めるだろうか。
あの柔らかな美しい書き文字が、春の花のような黄色い瞳からこぼれる視線が、なんだか恋しくなるのはきっと冬のせいである。




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千葉と京浜。年末も間近です。

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冬には紅茶をなみなみと

「11月になっても試合がないってのは違和感あるわよね」
「いつもならもう試合の時期ですもんね」
私が秋摘みのダージリンの詰まったポットにお湯を淹れながらそんな話をしていると、「帰りましたー」と玄関のほうからスティーラーズ君の声がした。
「あ、ティータイム間に合った」
「お疲れ様です、今日はオータムナル・ダージリンですよ」
「秋摘みなら俺ミルクティーにしますわ、姐さんたちは?」
「ブラックで飲むから私は大丈夫」
「私も少し砂糖とミルクいれるぐらいにしようかと、オータムナルはまだ飲めてなかったですし」
ほんなら俺だけかーと言いつつも牛乳をミルクパンで沸かし始め、ついでにと鍋にプロテインの粉末をいれる準備もする。
「ミルクティーにプロテイン?」
「結構いけますよ、冬場は冷たいプロテイン飲みたない日もありますしね」
濃いめに出たダージリンを鍋に投入し、少量の砂糖とプロテインの粉末を入れてしっかり混ぜて溶かすとほかほかのプロテイン入りミルクティーが出来上がる。
果たして美味しいのかしら?と疑う姐さんと私を尻目に「これミルク風味のプロテインですから味は邪魔してませんよ」とスティーラーズ君はあくまでマイペースだ。
ミルクティーで一息つきながらバターケーキをつまむその姿はいたって満足気に見えた。
「……あとでちょっと試してみようかしら」
「冬場はおすすめですよ、冷えと空腹予防にはいいですしね。あ、そういや姐さんチケットとかどないします?1月の開幕戦ノエスタですし来ますよね?」
「行くわよ、開幕戦は加古川と行こうかと思ってたとこ。2月の山口での試合はちょっと無理そうだけど」
サラッと姉さんが私も頭数に入れてるが、まあ一日ぐらいなら日程を調整すれば行けるだろう。
前シーズンの時、姉さんがバレットの日本初試合見たさに無理やり東京出張の担当を自分に変更して秩父宮に参戦したのを思えば平和である。
「まあこのご時世ですしねー」
「本当にねえ、早く気軽にどこでも行ける状態に戻って欲しいわ」
二人の会話を適度に聞き流しながら日々寒くなる季節に思いを馳せる。
本格的なラグビーの季節は、近い。



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加古川ちゃんと神戸ネキとスティーラーズさん。
ホットプロテインはM永も推奨してたので大丈夫、たぶん。

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