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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

勝利の道の果てを

ビクトリーロードをほろ酔い気分で歌い始めたサンゴリアスに思わずため息が漏れる。
前半を見終えた時点で自前で持って来たビールを切らしたからとウィスキーを飲み始めたのにもう二つ目の瓶を空にしようとしている。
「ロシア戦といい今回といいがぶ飲みしすぎ」
ハイネケンのカップでタワーを積んだロシア戦の時もひどかったが、今回もよくまあ飲むものだ。
「松島が4トライ目ねじ取った日ぐらい心地よく呑ませてくださいよ」
「お前その勢いでうちの買い置きを空にする気だからだめ」
テレビを4K対応に変えたからうちでゆっくり見ないかと誘ったのは俺だけど、だからと言って人んちの買い置きの酒を空にしていいとは言ってない。
「まだウィスキー残ってるじゃないですか」
「それ高い奴だから駄目、焼酎ね」
「うちの会社は焼酎出してないんですけどー?」
「いいでしょ。焼酎のペプシ割で我慢してよ」
そう言って残っていた安い焼酎をペプシで適当に割って薄切りのレモンをひと切れ突っ込んで出してやれば、納得いかなさそうに唇をとんがらせてきた。
「それに、このサモア戦勝ったからって予選プール脱出成功したわけじゃないんだから」
「まだスコットランドが残ってますもんね」
「そうだよ……そうだ、スコットランド戦でお前自慢の松島が4トライもぎ取ったら焼肉食いに行こう、食い放題」
「乗った!横浜だし見に行にいけるじゃん!今ならまだチケット行けるかもしんないしもぎ取ったら二人で試合見に行って、松島4トライもぎ取ったら焼肉ね!」
サンゴリアスが嬉々としてチケットを探し始めるのを見守りながら酒辛いペプシを飲み込む。
勝利の道を走り続けてきた日本代表はその果てを見にいけるだろうか。俺が愛し、見送った仲間たちが見せてくれた勝利の果てを見に行きたいと願う。
このビクトリーロードの果てで、笑うのは俺たちだ。




ブレイブルーパスとサンゴリアス。
勝利の道を往けば笑える日が来るんですよ、そう思いながら声援を送るばかりです。

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歓喜に震える指先を

エコパスタジアムに鳴り響く歓喜の声がいまも脳裏を離れない。
帰り着いたジュビロの家でスポーツニュースを見れば確かに日本が勝ったのだと再認識する。
すると指先が震えていることに気付いた。怯えではない。恐怖でもない。これは喜びの震えだ。

「ほんとに勝ったんですよね、あのアイルランドに」

ジュビロが感嘆の声を漏らしながらスポーツニュースを見返す。ああ、本当に日本はあのアイルランドに勝ったのだ。あの接戦を制したのは他の誰でもない、日本代表なのだ。
愛すべき桜のジャージが静岡で起こした番狂わせはジュビロやシャトルズの心を震わせていた。
「……再放送、明日あるもんで見て行ってから帰ろまいか?」
シャトルズがジュビロにそう聞けば「いいですよ」と答える。
祝杯をあげるためのつまみを並べたテーブルには未開封のアイリッシュウィスキー。
「それは?」
「サンゴリアスくんから先週届いたんです、『次のアイルランド戦で日本が勝ったらこれで祝杯あげよう』って」
蓋を開けてウィスキーグラスに氷も入れずに注げば琥珀の宝石のような輝きが飛び込んでくる。
「あ、水割りにするの忘れた」
「これでやろまい。ストレートでも一口ぐらいならいいじゃんね」
「そうだな」
そう告げればジュビロは水割り用のボトルと氷を机の上に置き、やおらウィスキーを注いだグラスを取る。
アイルランドに勝ち切った日本代表にちなんで、いっそこれを一口で飲み干してやろうか。そして次の勝利の願掛けとしよう。


「次の日本代表の勝利を祈って「「乾杯!」」」

今も歓喜に震える指先でぐっとグラスを握り締めてグラスを叩けば、涼しげな勝利の音が聞こえた。


ヴェルブリッツとジュビロとシャトルズ。
アイルランド戦、最高だったね……

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旧播磨国中心兵庫県市町村擬人化「五つのうたで」

*お遊び程度のものなので広い心でどうぞ
*あおぽりずむと同一世界線です(彼らは土地神様に憑りつかれただけの人間で特に特殊能力とかはない)
*スペシャルサンクス:ちもさん(@tkmroq)



*西播磨県民局
宍粟市(山崎舜弥/やまざきしゅんや)
「ようこそ宍粟へ、揖保乃糸食べる?」
おっとりのんびり系の皮を被った糸目男。
普段はやる気や気迫が薄めのそうめん屋の息子だが、時折腹黒さを見せるようなみせないような。
料理はかなり得意で周囲の胃袋を掴むことも良くある。
正体の掴めないところがあるので苦手にしている人もちょくちょくいるが気にしていない。
姫路のことが好きらしいが真意は謎。家島には少々警戒されてるが気にしてない。
幼馴染であるたつののことは「もみちゃん」と呼んでる。
たつの市(富永もみじ/とみながもみじ)
「ようこそたつのへ、まずはどちらに行かれますか?」
和装と料理を愛する綺麗なお姉さん。
醤油とそうめんと詩歌をこよなく愛し、和装を趣味としているがその腕はいまいち(本人も自覚している)
普段は揖保乃糸資料館で働いている、
宍粟とは幼馴染の腐れ縁。
相生とは割と仲良し。
赤穂市(加里屋主税/かりやちから)
「ようこそ忠臣蔵の街・赤穂へ。案内役の加里屋でございます」
人当たりのいい若隠居。
普段は笑顔を絶やさない塩問屋の若隠居だが、様々な武術に優れた地味強おじさん。
早くに隠居したせいか少々世間知らずな節があり無自覚トラブルメーカーになることもあるが、腕っぷしでだいたい解決している。
家島に懐かれている。
隣人である相生のことはそれなりに可愛がっている。
相生市(旭つばき/あさひつばき)
「ようこそ相生市へ。え?ちょっと寄っただけ?……そうよね、どうせ地味だものね」
メガネとそばかすがトレードマークのひねくれ地味女子。
普段は地元の漁協の職員として地味にコツコツ働いている。
空気に同化しがちなタイプで地味さゆえにたまーに同じ西播磨からも忘れられるが、そのたびに割と強めの毒を吐いてくるのでメンタル弱くはない。
ペーロン祭りに人生の楽しみを見出しており、自分でドラゴンボートを作ったりしている。
赤穂やたつのには「おーちゃん」と呼ばれている。


*東播磨県民局
加古川市(北在家じゅん/きたざいけじゅん)
「ようこそ加古川へ、何にもないって思われがちですけど意外に見どころ沢山あるんですよ」
濃い奴らに挟まれて毎日胃が痛い男の子。
器用貧乏で理系に強いしっかり者だが、不運なところがありなにかと被害にあう。
幼馴染の明石が作る玉子焼きが好き。
神戸ズと姫路兄妹とは友人で何かと振り回されることが多い。
明石市(中崎足穂/なかざきたるほ)
「よーこそ明石へ、まずはどこ行かはります?」
100人中100人が想像する関西人らしい振る舞いをするメガネ。
普段は商店街で玉子焼き(いわゆる明石焼き)の専門店を営んでいる。
加古川の心の癒し。
淡路島に好きな子がいるらしいが詳細は謎。

*北播磨県民局
西脇市(郷瀬にいめ/ごのせにいめ)
「ようこそ、来て貰って悪いけどちゃっちゃと仕事の話しましょうか」
芸術家気質の職人気質な美女。
我こそが北播磨の中心という意識のもと横暴と徹底した織物へのこだわりで周囲を振り回すが、基本ひきこもりなので北播磨以外からは驚くほどその存在を認識されていない。
普段はオリジナルの播州織ブランドを運営している。
加西市(北条ねひめ/ほうじょうねひめ)
「いらっしゃいませ、ようこそ加西へ。案内役の北条です。まずはどちらに行きましょうか?
植物を愛し歴史ロマンを愛でるふわふわ女子。
地味でパッとしない見た目だが、植物に精通しいつもふわふわ笑っている。
普段は北条鉄道の駅員さんとして仕事している。
加東の事はお兄ちゃんのように感じている。
姫路に大変懐いており、畏敬の念すら感じている。
西脇のことは少し怖いけど彼女の作る播州織が好き。
加東市(社光明/やしろこうみょう)
「ようこそ加東へ、案内役の社です。まずは祝い酒でもいきます?」
泥臭く日々土にまみれるガチムチお兄さん。
普段は山田錦の生産しつつ工場に勤める兼業農家。
加西のことは世話の焼ける妹のように感じている。
西脇の暴走を物理的に止めることが割り地よくある。
三木とは友人。

*中播磨県民センター
姫路市(安田友信/やすだとものぶ)
「いらっしゃい、姫路に来たんなら玉椿はどうだ?」
自らを播磨の中心と信じる元ヤン。
見た目が少々ヤンキーっぽいのと口の悪さにより旧播磨以外には怖がられることが多いが、本来は面倒見がよく気のいい兄貴分。
過去にはモデルをしていたほどのイケメンであり、本人もそれを利用することもしばしば。
普段は姫路城近くの土産物屋を手伝う警察官。
家島・広畑・網干などの妹弟たちとはわりと仲がいい、と思う。
宍粟の事は何考えてるのかよく分からないが胃袋を掴まれてるので気にしてない。
加古川のことはよくいい具合にこき使ってる。
加東や自分に懐いている市町村のことは大変可愛く思っている。
スイッチが入ると一方的に歴史トークを巻きたてる朝来に少し苦手意識がある。
旧家島町(安田汐/やすだうしお)
「ようこそ家島へ、瀬戸内の離島を楽しんでいってくださいね」
姫路の末妹。
普段は高速船の乗組員だが、時々実家の土産物屋も手伝う。
兄・姫路のケツを狙っているらしい宍粟と水面下で熱い戦いを繰り広げてるなう。
赤穂には結構懐いており、武術の師匠らしい。
広畑区(安田天満/やすだてんま)
「ようこそ姫路市広畑へ、瀬戸内の一大産業都市は見応え十分なはずですよ」
姫路の弟でつなぎの似合う工業系男子。
普段は製鉄所の仕事をしつつ社会人野球をしている。そのため一人暮らしして滅多に帰ってこない。
姫路のことは嫌いじゃないが特別好きでもない。
末妹の家島のことはブラコンだなと思ってる。
たつのの顔が好み、らしい。


*神戸市
複数人で1市町村の記憶を担っている(神戸市デカすぎた)
ちなみに普段は全員で一軒のレストランを営んでいる。
垂水区(日向鳴海/ひなたなるみ)
海産物を扱わせたら一番なシェフ。
現神戸市組の中で数少ない旧播磨国なせいか、神戸市内組より明石とつるんでいることが多い。
須磨は姉のようなもの、らしい。

*その他
朝来市(和田山ギン/わだやまぎん)
「ようこそ朝来までおいでなさりました、案内役の和田山です」
寡黙で真面目な歴史オタク。
普段は地元の高校教師で、但馬の人間らしく普段は寡黙で穏やかな性格。
しかし結構な歴史オタクで特に生野銀山の歴史に精通しており、その辺を語らせると長いしうるさいので、そのあまりの鬱陶しさ……もとい、熱量に周囲が閉口することもしばしば。主な被害者は養父と姫路。
周辺市町村は一度は朝来の歴オタトークに巻き添えられるので顔を見ただけで逃げられることもあるのが解せない。
養父市(八鹿青谿/ようかせいけい)
「(無言で会釈して名刺を渡してくる)」
森と文学を愛するメガネ。
普段は養父神社で働き、休日は読書と森林浴に勤しむ青年。
びっくりするぐらい寡黙で口を開かず、同じ但馬組以外はまともに声を聴いたことがない。
朝来の狂ったようなオタクトークをめんどくさがりつつも反論せず無言で付きあえる数少ない人材。

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逢いに行く人

金曜日の夜、定時に事務所を出ると小さい車にありったけの荷物を積んで走り出せば救援物資を積んだ車で賑わっていた。
高速を飛ばして二時間弱、辿り着いたのは可愛い兄貴分の住む寮の一室。寮に向かう道も完全に真っ暗闇で、持って来た太陽光電池で動くランタンをつけて歩き出す。
いつものようにチャイムを鳴らそうとしたら動かなかったので「入るぞ」と声をかければ遠くから「どうぞー」と声がかかる。
「君津、遅くなったけど見舞いに来たぞ」
家主は香り付きのロウソクの匂いが漂う薄暗い部屋で足をぐるぐる巻きにしてベッドに寝ころんでいた。
「別に文句はねえよ、そっちだって仕事あんだろ。道の様子どうだった?」
「高速は動いてるけど国道は駄目だな。特に山のほうは全滅。物流どうなってるか分からんから食料とか電気類あるだけ持ってきた」
「助かる、まだ電気復旧してねえのにもうロウソクねえんだよ」
「体はどの程度動く?」
「右足が重めの捻挫、一応湿布貼ってるけど痛みが全然引かない。あと右足の骨も折れてる」
「それで痛み止めと湿布要求してきたのか」
途切れ途切れに寄越してきた連絡にあった要求の品をカバンから引っぱり出し、張り替えるぞとその足を覗き込んだ。
貼ってあった湿布をはがせば右足首は赤く腫れあがり、内出血も伴っているのか患部はグロテスクな色合いだ。
湿布を張り直して、骨折したらしい箇所にはありあわせの金属棒で添え木がしてあった。
「とりあえずパンと牛乳食って痛み止め飲んで寝ちまえ」
「まだ9時すぎだろ」
「真っ暗でやる事ないのに起きててもしょうがないだろ、私は本社と戸畑さんにお前の状況報告しないとならないしな」
ここネット繋がるかね?とスマホを起動させてみるが調子はあまりよろしくない。本当にダメだったら災害時用のフリーWi-Fi捕まえるしかなさそうだ。
「俺がやる、自分の状況は自分が一番わかるしな」
「……仕事中毒め。お前自前のパソコンかスマホ使えるか?」
「充電切れた。事務所の電気使うのも気が引けるからどっちも充電してない」
「だと思ったよ、車に発電機積んどいたからベランダ貸してくれれば2~3日は持つだろ」
ちょっと取ってくるわと立ち上がれば「なあ、」と君津が声を上げた。
「ありがとうな」
「当然だろ、お前と私はセットで君津製鉄所なんだから」




東京と君津。がんばっぺ、千葉。

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100歳なので。

式典が終わってふと思ったのは「いいものたべたい」だった。
今頃鹿島や君津くんなんかは大慌てだろうけどこっちは雨一粒も降りそうにない青天で、なんかそう言う気分になったのだ。
「という訳で八幡さんお寿司奢ってください」
「……そう言うのは旧住金組の和歌山の役回りじゃないんですか?」
「一応和歌山俺より年下なんで」
きょうの式典には和歌山と八幡さんが来てたけど、こういうのは最年長にたかるべきという判断である。
和歌山が申し訳なさそうにすいませんと小声で詫びてくるけれど、和歌山は別に詫びなくていいと思う。此花もたぶん居たらこういうと思うし。
「というか、もうさっき予約取っちゃったんですよね。摂津本山の生粋」
「待って尼崎待って!あそこ一人で一万五千円ぐらいするよね?!」
それを聞いた八幡さんが膝から崩れ落ちた。
此花がここにいたら間違いなく大爆笑だった(ついでにケーキも買って貰えって言うと思う)ろうに、と思うけどまあいいだろう。
「八幡さん、無理なら俺も少し出しますよ?」
「和歌山こういう時ぐらい奢って貰うべきだと思うよ?だってこの間の鹿島のカチコミも、此花が荒れた夜も、和歌山が堺の面倒見てるのも全部八幡さんのせいだし」
「いやそこまでは「わかりました」
八幡さんがはーっと深く長い溜息を洩らしてから、宣言する。
「気の済むまで好きなだけ食べればいいでしょう」
俺がほらね?と和歌山に笑えば、何とも言えない面持ちをしていた。
これくらいの暴挙があったとしてもいいだろう。だって俺、きょうで100歳なんだから。




尼崎と八幡と和歌山
旧住金推しとしては八幡もたまには痛い目見てもいいと思う。

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