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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

あの子は子どもが好きだから

シャイニングアークスの引っ越し祝いという名目で千葉組でふらりと集まって飲もうという話になった夜の事だった。
「スピアーズってショタコンなの?」
「はぁ?!」
「……グリーンロケッツ、あなた酔ってません?」
「よってないよー」
顔だけは女と見紛うばかりに綺麗な緑ロケの頬は薄く赤に染まり、その手には何杯目とも知れない日本酒のグラスが揺れている。どう見ても酔っ払いである。
「だってさー、スピアーズって子ども好きじゃん」
確かに子どもは好きだ、これから羽ばたこうとする若さとエネルギーに溢れている子供たちの成長ほど見ていて楽しいものはない。
しかしそう思われるのは実に心外で相手が付き合いも長いグリーンロケッツなのでなおさらだ。
「俺は成長する子どもが好きなだけでそう言う下心は無いよ」
「えー」
「犯罪者にでもなって欲しいの?」
「いや、スピアーズって子ども見てるときは本当に楽しそうだからさー、てっきりそう言う下心でもあるのかと」
「そう言うのは微塵も無いよ」
水飲んでもう寝たら?と言い返してやればちえーというように頬を膨らませて水を飲むのだった。



スピアーズとグリーンロケッツのゆるぐだ話。

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あの子は隠れたスイーツ男子

シーウェイブスの冷蔵庫にはよくパステルのプリンが入っている。
「……やっぱクラブチームやとこういうの良く貰うんやなあ、一つ貰ってええ?」
「別に構わんがついでにミルクティーのプリン取ってくれ」
書類から目もそらさずにそんなことを言うので軽い返事を返す。
ついでにコーヒーでも淹れてやろうと電気ケトルお湯を沸かしてホットカフェラテも淹れてやる事にして、「出来たで」と告げれば書類を脇に置いてくる。
「コーヒーまで淹れたのか」
「俺かて仕事頑張ってる奴にコーヒー淹れる程度の優しさは残ってんで」
「それもそうか」
「にしても、お前さんとこはいっつも冷蔵庫に甘いもん入っとんなあ」
「スポンサーだからな」
「でもお前さんのスポンサーやないとこのお菓子もようけ入っとるやないの」
ここに常備されている食べ物の多くはスポンサーやファンからの差し入れが多いようだが、明らかにそれとは関係ないお菓子もいくつか置いてあるのだ。
本来スポーツをやる身にとってお菓子はそう沢山取るものではないのに常備してあるという事は理由は一つしかない。
「やっぱ甘いもん好きなんと違う?」
「……うるさい」
むすっとしつつもミルクティーのプリンをゆっくりともったいつけて食べるので、やっぱこいつ甘いもん好きなんだろうなあと察してしまうのだ。




スティーラーズとシーウェイブス。
シーウェイブスさんはパステルのプリンがお好き。

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もしも僕らに母が在るのならば

「釜石さん、今年もお荷物届きましたよ」
「ああ、すまないな」
今年は一輪のカーネーションの造花と共に小さいわりにずしりと重い箱が二つ、中身は酒だろうかと推測してみる。
母の日になるとカーネーションと共に荷物が名古屋と大分から届くようになったのはいつの頃だっただろう?
新日鉄内部で釜石を指して母なる製鉄所という呼び方が普及してきたころからだっただろうか。
小さな紙袋と一緒にカーネーションを一緒に渡してきた名古屋と大分に首を傾げた日のことを思い出す。
『はい、』
『釜石さんへのプレゼントです』
『……誕生日プレゼントにしちゃあ時期が違うが』
『大分君の発案で母の日のプレゼントを用意してみたんです』
名古屋がにこやかにそんなことを言って来る。
『なあ、大分わし一応男神なんじゃが』
『でも、新日鉄における『母なる製鉄所』だから』
『最近社内で釜石さんの事そう呼ぶ人が結構いるんですよ』
『……そう言う事か』
理屈はなんとなく分かったし、プレゼントに罪は無いからと受け取ったのを思い出す。
これ以降数年置きではあるが母の日になるとプレゼントが届くようになってきた、間が開くのは恐らく発案者である大分の気が向いた年に名古屋と共同で行っているからなのだろう。
(……まあ、設立経緯的にも親みたいなもんだがなあ)
名古屋は自分の規模縮小に伴って多くの人員を移したのだから息子のようなものであるし、大分も富士製鉄と呼ばれながらその設置に深く関わった場所だ。
ただ、年齢的には息子というよりも孫に近いので冗談であっても母と呼ばれるのは面はゆいような心地がした。


(もし、自分にも母が在るのならばどんな人だったのだろうな)

カーネーションの造花を窓辺の空き瓶に刺し、ふと初夏の空を見て考えた。


釜石と名古屋と大分。
完全に時季外れの母の日ネタですが、釜石が母なる製鉄所と呼ばれてるのに燃えたんですよ……。

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愛はそこにある

釜石は泊まりに来た客人に服を貸すとき、だいたいシーウェイブスのユニを貸してくる。
隙間なくびっちりと広告で埋められたそれは釜石にとって特別な意味を持つものでもあった。
「……過去のユニフォームよくこれだけ残してますよね」
「捨てられる訳が無かろう?」
最愛のシーウェイブス、彼の夢であり誇りである青年の足跡を釜石は一つとして手放そうとしない。それが釜石の愛情であるからだ。

「もう一度あいつを応援しに日本選手権を見にいくのが夢だからな」

釜石の愛情は、愚直でどこまでも真っすぐだ。


八幡から見た釜石おじじの愛情の話

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ぼくらは地獄を裸足で行く

『此花には怒られるんだろうなあ』
あの日、和歌山がそんなことを言っていたのを思い出す。
新日鉄との合併話が初めて世間に取り沙汰された日のことだ。
『怒るだろうなあ』
ぽつりと俺が返すと『だよねえ』と困ったような寂しいような苦笑いをこぼしてきた。
そんな事をなぜ今思い出したのだろうと重い身体を起こしながら考える。
「あ、おはよう海南」
「……ん」
壁時計を見るともう午後だ。昼飯どきは過ぎたがおやつ時には少し早い午後2時過ぎ。
しかしお腹は空っぽで何か食べたいような気はしていた。
「とりあえず焼きそば作ったけど食べる?」
「食べる」
のろのろと食卓に腰を下ろすと麦茶と焼きそばが目の前に置かれた。
「ああ、そう言えば今日久しぶりに此花に会ったよ」
その言葉で今日は和歌山が大阪へ行く日だったことを思い出した。
半月ほど前に新日鉄住金の社名変更が世間に知らされてから和歌山と此花が顔を合わせるのは今日が初めてだった。
「そうか、」
「……なにも無かったけど、発表直後だったら俺ぶん殴られてたかもね」
「ぶん殴られたらちゃんと傷冷やしといてやるから安心しろよ」
「うん、」
「此花の事をかわりにどやしてやってもいい」
腐っても和歌山は俺の大事な男なのだ、それを傷つけられて大人しくいられるほど俺は丸い性格はしていない。
「俺は一緒にいてやるから」
もしもこの身に死後があるのなら、地獄でデートしてやろう。



和歌山と海南が男夫婦してる話。

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