コーギーとお昼寝

ふらふらとやって来たままソファーに倒れ込んだ日野さんと、ああ重かったと呟くダイハツさんを呆然と見つめていた。
「あの、これは……」
「日野がエネルギー切れ起こしてぶっ倒れたんだよ、ここんとこバタバタしてたから」
「とりあえず日野は寝かしとくとして俺なんかした方がいい？」
「あ、じゃあ、ダイハツさん買い出し頼んでいいですか？うちの冷蔵庫二人分しか食材ないので……」
「トヨタ、運転頼むわ。俺この辺知らねーし」
「なんか買うもんある？」
「とりあえず野菜とお肉を適当に買ってきていただければ、あとケチャップとコショウと卵お願いしていいですか？」
「りょーかい。あと俺鉄板ナポリタン食いたい」
「わかりました、それなら調理用生クリームも追加で」
買い出しに行く二人を尻目に、まずは冷蔵庫の常備菜でおにぎりとみそ汁を作る。
みそ汁の方は使い残った葱と白菜、乾燥わかめを粉末だしとお湯で煮込み、野菜に火が通るのを待つ。
ご飯は無洗米をそのまま高速炊飯で20分。
ついでにトヨタさんご要望の鉄板ナポリタンの準備もしよう。
乾燥フェットチーネ(平たく薄い麺)を塩水で5分、その間に玉ねぎとベーコンを刻んでおく。
「ただいまー」
「あ、ダイハツさんすいません。トヨタさんは？」
「名古屋ご要望の卵と生クリームがないって言ってどっか行った、とりあえず適当に野菜と肉買ってきたけどいいのか？」
「はい、ちょっと手伝って貰っていいですか？」
人使い荒いなー……まあどうせ起きたら日野がものすごい勢いで食うだろうししょうがないな」
「すいません、とりあえず人参細かくしてもらっていいですか？」
野菜を洗い始めたダイハツさんを横目にみそ汁を仕上げ、ベーコンと玉ねぎと人参をフライパンで炒めて茹で上がったフェットチーネも加えてさらに炒める。
そのうちトヨタさんの足音がする。
「名古屋、ケチャップこれで良いか？」
「大丈夫です。ついでに卵溶いて貰っても？」
「了解」
「……親子なのか夫婦なのかよくわかんないな」
ダイハツさんの言葉は嬉しいような恥ずかしいような気持になるけどスルーだ。
よく炒められたパスタを塩コショウとケチャップで味付けした後、大皿に盛ってフライパンを一度すすぐ。軽くすすぐだけで焦げ付かないフッ素加工はほんとに素晴らしいと思う。
トヨタさんが混ぜてくれた卵に生クリームを追加して卵をふわふわになるように炒める。
「名古屋、コメも炊いたのか？」
「冷蔵庫の中のきんぴらや梅干しでおにぎり作れるようにしてあるんです、トヨタさんのおにぎり食べたかったので」
「ならしょうがねーな」
そういって早速おにぎりを握り始めるのを見てダイハツさんが「すごい操縦力だな」と呟く。
「トヨタさん台所仕事はさっぱりできないのにおにぎり作るだけは上手なんですよね、釜石さんのも美味しいんですけどトヨタさんのが一番好きなんです」
「おうおう惚気ご苦労さん」
トヨタさんご希望のナポリタンの上にふわふわのスクランブルエッグを上にたっぷりかけ、大皿にはトヨタさんのおにぎりが大量に盛られる。
その間に豚と野菜の辛みそ炒め、焼きなす、鶏のピカタ、牛肉のすき焼き風卵とじ、ダイハツさんお手製のコールスローサラダが仕上げられていく。
「……美味しそう」
「おう、日野起きたか」
まだ寝起き顔の日野さんがひょっこりと台所を覗き込む。
たぶんこの大量の料理の半分は日野さんの胃袋に収まるのだろうなあ、と思いながら料理を大皿に盛っていくのであった。



ちなみに料理ははらぺこ日野くんが4分の3以上平らげました。