枕元に置いておいた携帯電話に『お疲れさん』という短いメッセージが届いた。
送り主は案の定というか、スティーラーズからで一緒に呑んでいたらしいヴェルブリッツの写真も添付されている。
『そっちこそお疲れさまだろ、あと日本選手権決勝進出おめでとう』
『おう、そっちはまだ残留決めてないんか?』
『次の試合に持ち越しだな』
『そっか』
短い文字のやり取りを繰り返していると声が聞きたいと思う。
あの柔らかな神戸訛りで名前を呼ばれるのは好きだし、多少なりとも惚れた相手の声を聴くのは心地が良いことだった。
『電話してええ?』
いいぞ、と短い返信を送ればすぐに電話がかかってきた。
通話ボタンを押せば「もしもし」と柔らかい響きがした。
「おう」
「……なあ、俺の試合は見たん?」
「試合が終わってからネットで結果は確認した。疲れたろう」
「疲れへん試合はないやろ。80分走って叫んでしとったら誰でも疲れる」
「それもそうか」
試合とその後の打ち上げも終わってのタイミングだから疲れも多少は抜けたろうが、ぼちぼち眠りにつきたい頃合いだろうに電話を寄越してくるのはそれだけ恋しいような気持があるからなのだろう。
シーズン中はタイミングが合わないと会える機会もないから、寂しいのだ。
「ほんと疲れたわ」
「そりゃそうだろう、もう寝たほうが良い」
「……ん」
これはたぶん俺の方から言わないと切らない奴だな、と察してしまう。
「おつかれさん、きょうはしっかり寝ろよ。おやすみ、コベルコスティーラーズ」
「おやすみ」
そうして電話越しの相手は喋らなくなり、しばらくすると電話越しに寝息が響いてきた。
一晩かけて釜石へと帰るバスの揺れと電話越しに聞える寝息を子守歌に俺はそっと目を閉じた。
ただのV7いちゃいちゃ。
決勝もどうなるのか楽しみですね