はあーっと深い溜息を洩らした俺と後輩はもう一度大画面に目を向けた。
日本代表応援に盛り上がるパブリックビューイング会場は人が早くも減り始め、日本代表の寂しいスコアが映し出されている。
「そんな都合よく奇跡は降りてこないかあ」
サンゴリアスが深いため息とともにぬるくなったハイネケンを飲み干し、地面に置いた。
俺の方も残っていたハイネケンを飲みながら可愛い後輩をなぐさめた。
「でも前哨戦だしね。実際福岡なんて怪我とは言え10分と経たずに引っ込めたじゃない」
「まあそうですけどね」
「本番は9月20日、そうでしょ?」
俺がそう告げれば、ああそうかと呟く。
「もう10日ちょっとなんですねえ」
「そうだよ、俺たちの府中にワールドカップが来るんだから。まずはそっちを精一杯応援しなきゃ。年明けにはリーグ戦、夏にはオリンピックだよ?」
「ほんと、そう考えるとバタバタですよね」
今夜のビールはほろ苦い結末を迎えた。
けれど、これから先の大舞台できっとうまいビールが飲めるはずなのだ。
「だから、走り抜こう」
俺たちの本番へ。
ブレイブルーパスとサンゴリアス。