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コーギーとお昼寝

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逢いに行く人

金曜日の夜、定時に事務所を出ると小さい車にありったけの荷物を積んで走り出せば救援物資を積んだ車で賑わっていた。
高速を飛ばして二時間弱、辿り着いたのは可愛い兄貴分の住む寮の一室。寮に向かう道も完全に真っ暗闇で、持って来た太陽光電池で動くランタンをつけて歩き出す。
いつものようにチャイムを鳴らそうとしたら動かなかったので「入るぞ」と声をかければ遠くから「どうぞー」と声がかかる。
「君津、遅くなったけど見舞いに来たぞ」
家主は香り付きのロウソクの匂いが漂う薄暗い部屋で足をぐるぐる巻きにしてベッドに寝ころんでいた。
「別に文句はねえよ、そっちだって仕事あんだろ。道の様子どうだった?」
「高速は動いてるけど国道は駄目だな。特に山のほうは全滅。物流どうなってるか分からんから食料とか電気類あるだけ持ってきた」
「助かる、まだ電気復旧してねえのにもうロウソクねえんだよ」
「体はどの程度動く?」
「右足が重めの捻挫、一応湿布貼ってるけど痛みが全然引かない。あと右足の骨も折れてる」
「それで痛み止めと湿布要求してきたのか」
途切れ途切れに寄越してきた連絡にあった要求の品をカバンから引っぱり出し、張り替えるぞとその足を覗き込んだ。
貼ってあった湿布をはがせば右足首は赤く腫れあがり、内出血も伴っているのか患部はグロテスクな色合いだ。
湿布を張り直して、骨折したらしい箇所にはありあわせの金属棒で添え木がしてあった。
「とりあえずパンと牛乳食って痛み止め飲んで寝ちまえ」
「まだ9時すぎだろ」
「真っ暗でやる事ないのに起きててもしょうがないだろ、私は本社と戸畑さんにお前の状況報告しないとならないしな」
ここネット繋がるかね?とスマホを起動させてみるが調子はあまりよろしくない。本当にダメだったら災害時用のフリーWi-Fi捕まえるしかなさそうだ。
「俺がやる、自分の状況は自分が一番わかるしな」
「……仕事中毒め。お前自前のパソコンかスマホ使えるか?」
「充電切れた。事務所の電気使うのも気が引けるからどっちも充電してない」
「だと思ったよ、車に発電機積んどいたからベランダ貸してくれれば2~3日は持つだろ」
ちょっと取ってくるわと立ち上がれば「なあ、」と君津が声を上げた。
「ありがとうな」
「当然だろ、お前と私はセットで君津製鉄所なんだから」




東京と君津。がんばっぺ、千葉。

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