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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

おいしいふくおか

ブラックラグビーが久しぶりに福岡に来たので、福岡空港まで迎えに来ての第一声は「小腹空いた」だった。
「久しぶりとかじゃなくて腹減ったかい」
「仕方ないだろう、どうにも小腹が空いててな」
「じゃあうどんでも行くか?」
「ラーメンでなく?」
「朝から豚骨行けるんならラーメンでもええけど」
そう言ってみるとえー?と言いたげな微妙に引いてる顔をしてくる。
なら最初からラーメンなどと言うなよと思うが、特に思いつくものが無かったのかもしれない。
「じゃあ、めんたいフランスとコーヒーで」
「せっかくなら発祥の店連れて行ったるわ」

*****

博多の中心部にある人気のパン屋でめんたいフランスをかじると、満足そうににっこりと笑った。
「……これが元祖の味か」
「ここの明太フランス本当に美味いよな」
ちなみに俺は米粉のあんぱんを牛乳といっている。
「いつも来ると思うが、福岡は美味い飯が多いがそこまで案内して呉れる友人がいると言うことは有り難い事だな」
ブラックラムズが感慨深くそう告げてくる。
まあ、気持ちは分かる。
「長く生きてると友人知人に置いていかれるもんなあ」
「ヴォルテクスなど長生きの桁が違うから尚の事然う感じるのでは無いか?」
「桁が違うって程ではないけどな。ブルースみたいについこないだ産まれたようなやつが先立ってくのを見ると哀しくはなるなあ」
「長生きと言う物は難しいな。置いていかれるのも嫌だが、長生きしなければ観られなかった景色もある」
「本当になあ」
ブラックラムズが柚子胡椒フランスに手を伸ばし「こう言うものも長生きで出逢える味よな」と呟いた。



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キューデンヴォルテクスとブラックラムズ。まあまあ長生きコンビが飯を食うだけ。

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今日はあなたと乾杯を

待ち合わせ場所で待つシーウェイブスさんはちょっとお疲れ気味のようだった。
(やっぱり今年も僕が釜石に行くべきだったかな……でもまあ今年は磐田まで来るって言ったのシーウェイブスさんの方だしなあ)
そんな事を考えているとふいにシーウェイブスさんと視線がかち合った。
「レヴズ、何でそんなとこで突っ立ってるんだ?」
「おひさしぶりです!荷物持ちますよ!」
「気にしなくていいさ。ただちょっと長距離移動で腹が減っててなぁ、近くの美味い飯屋連れてってくれないか?」
何てことない顔でシーウェイブスさんが僕にそう問いかけてくる。
長距離移動の直後でも後輩に気を遣うシーウェイブスさんに「食べたいものありますか?」と聞けば、ちょっとシーウェイブスさんが宙を見た。
「うなぎかな。ほら、この辺うなぎ有名だろ?」
この近くの美味しいうなぎ屋さんを脳内からひねり出し「僕奢ります!」と声を上げると「気にせんでええぞ」と返された。

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この辺りで一番うまいと評判の浜名湖うなぎを扱う店の座敷に腰を下ろす。
「うな重の上は行くとして……あとどうする?」
「肝焼き・う巻き・骨せんべいでビールいきませんか?この静岡麦酒を飲んでほしくて」
「昼からビールなんて良いのか?」
「僕きょうはお休みで、今月の給料も出たばかりで余裕あるんです。車は代行に頼みますよ」
そう告げるとうーんと悩んでから「……お言葉に甘えさせてもらうか」とつぶやいた。
さっそく注文してみると骨せんべいとお漬物とグラスビールがさっと出てきた。
「じゃあ、13年目のともだちマッチに」
「この善き後輩からの13年物の親愛に」

「「乾杯!」」

グイッと飲み干したビールはいつもより甘く爽やかな味がした。

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レヴズとシーウェイブス。
今年のともだちマッチが磐田開催なんですけど、たぶん磐田開催って初だよね?と思いつつ。

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神在りし国へ

ワイルドナイツからお菓子を貰った。
「なにこれ」
「どじょうすくいまんじゅう」
ひょっとこ顔のまんじゅうを受け取り、お茶でも飲もうと冷蔵庫の麦茶を取り出す。
ついでにワイルドナイツの分の麦茶も出してあげた。
「島根行ったんだっけ?」
「うん、スポンサーへのあいさつでね。ついでに出雲大社も行ってきた」
「完全に遊びに行ってない?」
「遊びじゃなくて仕事だから」
何割か遊びで行ってそうな気がするのは気のせいだろうか? まあ別に怒られるのはワイルドナイツ自身だし、私の知った事じゃないが。
「サンゴリアスさんとかの分も買ったの?」
「あー、向こうは練習始まっちゃったしぼちぼち節制始めるだろうから渡さないと思うなあ。特に顔合わせの予定も無いし」
「まあそんなもんだよねえ。男子はポストシーズンだし」
まんじゅうの二個目に手を伸ばしていると「そうやって呑気に食えるのはシーズン終ってるとこの特権だよね」とぼやく。
女子ラグビーはもう大きい試合もないから多少気を抜けるのだ。
「羨ましいよ」
「私はワイルドナイツみたいに仕事であっちこっち行ける方が羨ましいけどね」
「プロチーム化すれば?」
「まだ当座は良いよ」




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アルカスとワイルドナイツ。
野武士ちゃんとこのアンバサダーの人が仕事で島根に行ってたらしいので。

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離別と成長痛

「ヒートくん、引っ越すって本当なの?」
なんの脈絡もなくうちにやって来たパールズが真剣な目でそう俺に聞いてくるので、ちょっと困った気分になってしまう。
まるで浮気を咎められる気分で「うん」と答えると「……なんで」とパールズが泣きそうな顔をして答える。
「栃木は新幹線も大きめのスタジアムもあるし、集客的に関東への移転は大きいっていう判断があったから」
出来るだけ冷静にそう答えてみるけれど、俺だってこの街にはそれなりの愛着がある。
でも俺が上に行くためにはそれが良いという話になったのだ。だからこれは大きくなるために俺が背負うべき痛みだ。
「……行かないでよ、栃木なんか」
パールズが俺の手首を掴んでそんな言葉をこぼすと、その瞳に透き通った粒が滴り落ちる。
「ごめんね」
「私はずっとここでヒートとラグビーの話してたかった!なのに勝手に引っ越すとか言わないでよ!だいたい関東なんてもういっぱいスポーツチームあるんだから出て行って集客で勝てるわけ?!ならここで2人でラグビーやってお客さん集めたってよかったのに!」
まだ幼く純真なパールズの口からこぼれ落ちる言葉のまっすぐないばらがザクザクと俺の胸に刺さってきて、どうしようもない気持ちになる。
「俺は三重を捨てるつもりは無いし、パールズも捨てない。それだけは信じて」
「ほんとに?」「うん」
この離別に痛むこころは俺が育つための糧だ。
いつか日本を、世界を取るために背負うために俺は愛するこの街を離れるのだ。



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ヒートさんとパールズちゃん。
ちょっとヒートさんが宇都宮移転すると聞いて混乱してます。いやなんで?!?!?!?!

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熊谷駅で

熊谷駅に一歩降り立つとまだ夏の気配がそこらじゅうに残っていた。
「あっつ」
電車内が涼しかった分外の暑さが身に染みてくるのだ。
スタジアム行きのシャトルバスの乗り口を探して歩いていると、見覚えのある男女が自販機の前で揉めてるのが見えた。
「……スティーラーズ?」
「あ、キューデンさんや。いま小銭あったりします?」
「あるけどなに?」
「いや飲みもん買おうと思ったらちょうど100円玉だけ無うて」
「ほんなら100円玉2枚あれば足りる?」
それくらいならという気持ちで100円玉を渡すと「助かります」と答えてくれる。
残りの小銭でジュースを2本買って、そのうちの1本を女性へと手渡すと勢いよく半分近く飲み干した。
「九州電力さんのとこの子よね?」
「はい。えっと……」
「神戸製鋼よ、今回は助かったわ。あなたもラグビー見に来たの?」
「ええ。うちの選手が試合前のイベント呼ばれたんでその手伝いですね」
本当はまだ行ったことのない熊谷のスタジアムに行って試合を見に行きたかっただけである事は伏せておく。
「そこは私も同じよ。会場着いたらお礼に何か奢らせて貰える?」
「別に200円くらい気にせんでも良いんですけどね」
「年上の気遣いは素直に受け取るものよ。まさか明治より前に生まれたって事はないでしょ?」
「……ほんなら、試合の話しながら行きましょ」
今回は遠方での1人観戦。付き合ってくれる人がいるに越した事はないのだ。



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キューデン先輩とこべるこ親子。マスコットさんが熊谷行ってたのを見て思いついたネタでした。

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