忍者ブログ

コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

初恋をした日の話

まだ南陽と呼ばれていた時の周南と出会った時、既に周南は女物の服を着て女の子のように振る舞っていた。
最初一目見た時は女の子だと思っていたが、あちらには女の服を着て女のように振る舞う末っ子がいると噂には聞いていたのでこの子がそうなのだと気付いたときは正直少しショックなくらいだった。
「僕が南陽製造所だよ、よろしくね」
花が咲いたような笑顔と共にその手を伸ばす彼(と呼ぶべきなのか未だ判別できない)はまるでテレビで見るアイドルのようであった。
しかしこの美少女が男の子であるという事実に眩暈を感じると同時に、その可愛らしさや美しさにドキドキしたのも事実でひどく心が高鳴った。
完全なる一目惚れだった。
「呉、挨拶」
見惚れていた自分に兄がそうつつくので「呉製鉄所です」と告げると、白く細いながらも仕事をするものらしい骨っぽさのある手を差し出してきて僕らは握手をした。

***

結婚しようか、と言う話になったのはそれからわりあいすぐの話だった。
「……えっ?」
「だって、僕らもうすぐ同じ会社になるし僕も呉とならきっと楽しく生きていけると思ったから」
実にけろりとした顔でそう言ってくるので、バクバクする心臓をぎゅっと抑えた。
こんな事がずっと続いたら死んでしまう!そんな気持ちの方が大きかった。


「呉、僕ら二人でどこまでも続く青い海の果てを見にいこう」

この新会社を発案したのは八幡さんだけれど、ともに青い海の果てを目指すことを選んだのは兄さんと桜島さんで、それについていくだけだと思っていた。
けれど、本当は違うのだ。兄さんや桜島さんをあの青い海の果てに連れて行くのは自分の役割で、その相棒になるのが今この目の前にいる南陽なのだと分かったとき選ぶ答えは一つしかなかった。



「この長い航海を南陽が支えてくれるなら、どこまでも」


呉と周南の馴れ初め。前半はお蔵入りにしたお話からだけどもしかしたらまた引っぱり出すかもしれない。

拍手

PR

コメント

お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

バーコード

カウンター

忍者アナライズ