「さく姉本当にこれくれるの?!」
「……周南が好きそうだと思って買ったものだから」
桜島―僕の一番上の姉に当たる人―が、大阪で買って来たというパステルブルーのサマードレスに歓声を上げるとほんのわずかに口角を下げて満足だとほほ笑んだ。
久し振りにこちらまで遊びに来てくれただけで十分なのに、その上お土産まで持ってきてくれるなんて本当にありがたい限りだ。
「今度デートするときに着よ「でも買ってあげた私へのお礼にはならない」
間髪を入れずに告げられた言葉の意図は、今ここで着て見せろということ。
このドレスを今ここ出来ることがお土産を買って来たお礼になるということだ。
「……着替えてくるね」
「ん」
洗面所に移って先ほどまで着ていたロングTシャツとジーンズを脱いで、サマードレスに着替える。
そろそろムダ毛も全部剃らなきゃなあなんて考えるけど今日はめんどくさいからいいや。
薄化粧を落として同系色の青を基調にしたメイクに変えれば準備完了だ。
(ついでに写真も呉に送っておこう)
自撮りを加工無しで送れば後で返事が来るはずだ。
「出来たよー」
リビングの戸を開けて見れば、姉の表情の満足度がさらに上がる。
「今日も可愛く出来たでしょ」
「120点満点」
桜島と周南習作。