ある日の鹿島さんち。
アントラーズユニの鹿島がとてもいい笑顔で立っていた。
「あれ、鹿島何もってんの?」
「塩だよ」
「うん、塩の壺だってことぐらいは俺も分かってる」
「とりあえず水戸と鳥栖方面に塩撒こうと思って」
だからどいて?という鹿島の目は黒く淀んでいた。
怒りをはらんだその眼は、絶対に近づきたくない目だった。
「水戸をJ1に昇格させないぞー、ついでに鳥栖も降格しちまえー」
「プレシーズンマッチの引き分けの事?」
「あれは屈辱だよねー、ふざけてるよねー」
鬼は外ー、と言いながら塩をまく。
その掛け声だと豆まきだ。
「……昨日の鹿島の負けは多分誰も悪くない」
「知ってる」
そう言いながらも鹿島の塩をまく手は止まっていなかった。
お雛様の日に塩をまく鹿島でした。