「結城さん、ちょっっとよろしいですか」
「どうかしましたか?」
「……結城紬は僕らの共有財産ですよね?」
髄分と真剣なまなざしでそんなことを聞くのでごく普通に答える。
「ええ、だってそういう約束ですし一部の工程は小山で行っていますしねえ」
「なのに何故あなたは結城紬の歌なんて作っちゃうんですか!」
「だって知名度上がらなきゃ意味ないでしょう?」
「そうですけど」
「大丈夫ですよ、いい曲に仕上がってますから」
そうやって微笑んでみる。
「……もうどうにでもなれ」
彼は何も言えないような顔をして静かにうなだれるだけだった。