ぼんやりと眺めていたのは、かつての誇りだった場所。
数日前まで、商都・土浦の代表格だった場所。
「こんなところで何してんだよ」
「常磐……」
「かすみがうらたちが心配してんぞ、ここ数日家から出てきてないって」
「別に、飢え死にしかけたら阿見がご飯持ってくるし……」
「お前それなんていうか知ってるか、自殺行為っつーんだぞ。米食え米」
押し付けられたコンビニお握りは冷たいので押し返そうとしたら、思ったよりも力が出なかった。
さよなら、ウララかつて、土浦は巨大商業都市だった。
県南を代表する茨城であり、江戸から続く醤油産地であり、水運の要。
こんなに変わったのはいつからだっただろう。
昭和の中ごろに差し掛かり、国主導で学園都市・つくばが生まれた。
市でお金を出してつくばに向かう道を作り、研究所や大学が都内から移転して人の流れが生まれた。
そしてつくばは大きな成長と発展を遂げた。
彼は筑波町の血を引き、新しい街へと生まれ変わる。
その時に県南は二つ柱となり、お互い共存共栄できると信じていた。
しかしつくばに人も金もすべて吸い取られた。
気づけば何もなくなっていた。
かつての栄光を残す古い建物と駅前のウララだけが残っていた。
「おーい」
「……あ」
「一瞬死んだのかと思った」
「町が息絶えるのは、人が消えた時だよ」
もうすぐ消えてしまうのだろうかと不安になる。
最後に残されたウララは、ついに昨日閉店してしまった。
この街に残されていくのは空っぽの箱ばかり。
「町が息絶えたら、鉄道も死ぬよ」
商都土浦はもうここには無い。
あるのはただ空っぽの箱ばかり。
ウララ閉店と聞いて土浦駅の駅弁やさんの廃業の続き土浦の衰退が……と思う私です。