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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

アークロイヤルとアメリカンスピリット

「煙草切らしたんで一本分けてもらえません?」
八幡が俺にそう聞くので一本渡すとマッチで火をつけて微かに甘い煙を纏う。
「……相変わらず君津は甘いの好きですよね」
「別にいいだろ」
アークロイヤルのバニラフレーバーを纏った八幡はまるで南国の植物に似てひどく蠱惑的に輝いていた。




ついったでフォロワさんに「八幡君津下さい」と言われて書いたもの。
今回君津が吸ってるのはアークロイヤルです、アメリカンスピリットは八幡が愛飲してる銘柄。

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製鉄所組煙草の銘柄まとめ

割と何てことないメモ。

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ナイトウォーカー2

「起きたか?」
目の前に広がるのは毎日見ている天井と、釜石の姿だ。
しかし自分の知っている釜石の姿よりも明らかに若く14,5の青年であり、、着物も自分が知っている釜石よりも少し華やかに朱色の羽織をしている。
(ああ、これは夢か)
きっと自分が生まれた頃の、官営の2文字を背負っていた頃の自分の夢だ。
「……はい」
「おはよう、官営八幡製鉄所」
初めて出会う自分の仲間に向ける慈しみの目は穏やかで温かな色彩を帯びている。
こうして振り返ってみると彼の眼はこんなにも温かだったのかと思う。
今では随分とあいまいになった出会いの日の記憶をこうして見返してみて気づくこともあるのだなあと思った。
「火入れの日にお目覚めとはなええタイミングで起きるもんじゃ。
……ああそうじゃ、自己紹介せんといけんな。わしは田中鉱山釜石製鉄所、これから1年お前さんの面倒を見ることになる。」
「かまいし」
「おう」
ころりとその名前を呼んでみれば返事が返ってくる。
当たり前だけれどそれが何故だか嬉しく感じられたことをいまも覚えている。
ゆっくりと起き上がって辺りを見渡せば西洋式の家具一式が揃えられているのを見て、この頃の私たちは本館の隅に西洋式の部屋を一つ割り当てられていてそこで生活を共にしていた事を思い出した。
「着替えてあいさつ回りじゃな、着替え取ってくるから待っとれ」

****

基本的な知識は受肉をした時には与えられていたものの、その知識のほとんどは日本のものでお雇い外国人の話すドイツ語や西洋式の習慣は新たに覚えなおす必要があった。
書籍や技師たちの会話を聞いて独逸語を学ぶのと同時進行で釜石から製鉄所としての知識を与えられる勉強漬けの日々。
覚えなければならない事の多さに目まいがしそうになる事も多かったが文句をいう訳にはいかなかった。
自分が背負っているのはこの国の礎となる鉄で、まして神様の端くれとして10月には出雲へ行く身なのだから文句など言うものではないと思っていた。
11月には東京から人を呼んでの作業開始式が行われることもあって学びには熱が入った。
「お前さんは勉強熱心じゃな」
「だって、そうしないと駄目なんでしょう?」
「ほうじゃがもう9時前じゃ、子どもは寝とけ」
「ねむくないです」
ぷいっと視線を逸らして本に視線を向けなおせば、後ろから本を取っていく。
釜石は少しだけ怒ったような声で「勉強せえとは言ったが睡眠と食事を怠れとは言うとらん」と私に言う。
「……分かりました」
諦めて机を離れてそのまま私は眠りについた。


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ナイトウォーカー1

夜の八幡の街をただ何の意味もなく歩くのが好きだ。
洞海湾をぐるりと回るルートは眠れないときの定番の散歩コースで、幼いころから繰り返し歩いていたはずの道を私は飽きることなく歩き回っていた。
真っ赤な若戸大橋のたもとまで来ればそこから折り返して帰ることもあれば、時には親切な車の運転手に乗せてもらって戸畑へ渡って歩いて八幡に戻ることもある。
きっとこうして夜の街を彷徨うのはあの人のせいなのだ。

『眠れんときは散歩するとええぞ、安眠の妖精を探しにな』

どうしても眠れない夜に私の手を掴んで一緒に歩いてくれた人の面影を、私はいつも歩きながら思い出す。
洞海湾を歩いてなぞりながらいつも思い出すのはあの人の黒い髪と瞳だけだった。

****

夜の散歩を終えて自宅に帰り着いた時には日付はもう変わっていて、そのまま先月買い替えたばかりのシングルベッドに横たわる。
独身寮の一番日当たりのいい角部屋は付喪神が住むには貧相な部屋のように思えるが特段文句はないので何も言わないでいる。
眼を閉じてみればウィリー・ウィンキー―子どもの頃に教えられた眠りを呼ぶ妖精の名前だ―の足音が聞こえてくる。
おやすみなさいと呟けばそのまま体は眠りへと落ちていった。





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八幡の過去話です。たぶん7話くらいで完結予定。

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お茶の時間

たゆたうような眠りから目覚めた午後3時、下校ラッシュの時刻にはまだ早い盛駅は静けさに包まれていた。
それでも下校時刻になれば高校生たちの声が響き渡ってなかなか賑やかなことになるが、時刻が時刻なのでまだそんな気配はない。
「起きた?」
寝起きに温かな緑茶を差し出してきたのは気仙沼だ。
ほこほこと湯気を立てたそれをありがたく受け取って寝覚めの一杯とする。
「おう、ありがとうな。」
ずずっと茶を啜れば寝起きの身体に程よく沁みわたる。
気仙沼は茶を淹れるのが上手だ。
淹れ方を教えたのは自分であったはずなのに、駅員たちから『大船渡さんより気仙沼さんの方が上手いですよね』と評価を下されるくらいには気仙沼の淹れるお茶は美味しかった。
教えられるだけのものをひとつ残らずすべて丁寧に吸収しきった末に今のような立派な青年になったのだから成長と言うものは恐ろしいものだと思う。
「兄弟の淹れるお茶はいつも美味いよ」
「ありがとう」
湯呑を綺麗に空にしてから「ごちそうさん」と気仙沼に告げれば「どういたしまして」と返された。





なんてことない気仙沼と大船渡の話。不定期にこの2路線への萌えが再燃します。
いずれ乗りに行かなきゃなーとは持ってるのですが茨城から岩手は遠すぎるので絶賛放置中です。ごめん。

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