たゆたうような眠りから目覚めた午後3時、下校ラッシュの時刻にはまだ早い盛駅は静けさに包まれていた。
それでも下校時刻になれば高校生たちの声が響き渡ってなかなか賑やかなことになるが、時刻が時刻なのでまだそんな気配はない。
「起きた?」
寝起きに温かな緑茶を差し出してきたのは気仙沼だ。
ほこほこと湯気を立てたそれをありがたく受け取って寝覚めの一杯とする。
「おう、ありがとうな。」
ずずっと茶を啜れば寝起きの身体に程よく沁みわたる。
気仙沼は茶を淹れるのが上手だ。
淹れ方を教えたのは自分であったはずなのに、駅員たちから『大船渡さんより気仙沼さんの方が上手いですよね』と評価を下されるくらいには気仙沼の淹れるお茶は美味しかった。
教えられるだけのものをひとつ残らずすべて丁寧に吸収しきった末に今のような立派な青年になったのだから成長と言うものは恐ろしいものだと思う。
「兄弟の淹れるお茶はいつも美味いよ」
「ありがとう」
湯呑を綺麗に空にしてから「ごちそうさん」と気仙沼に告げれば「どういたしまして」と返された。
なんてことない気仙沼と大船渡の話。不定期にこの2路線への萌えが再燃します。
いずれ乗りに行かなきゃなーとは持ってるのですが茨城から岩手は遠すぎるので絶賛放置中です。ごめん。