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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

名残

試合や練習のないときは東花園の駅にいる。
駅員として難波行き列車を見送ると赤・黄色・臙脂の三台の自販機が目に入る。
黄色はサンゴリアスの、臙脂はうちのマスコットが印刷された自販機で、もう5年くらいはこの並びだ。
「……レッドスパークスの自販機、まだ残しといてくれとるんやな」
この春にこの世を去ると告げて以降とんと音沙汰のない長身の男を思い出す。
まあ契約の都合とかで撤去されていないだけかもしれないが、こうしてまだあの名前がここにあることを喜ばしく思う。
レッドスパークスに久しぶりに連絡を取ってみようか、という気分になる。
携帯で自販機の写真を撮って『お前のとこの自販機は元気よ』という短いメッセージを添えて送りつける。
ついでにあったかい缶コーヒーでも買って、ぼんやり高架駅からの景色を眺めつつちびちびとコーヒーを飲む。
缶コーヒーを三分の二も飲んだころ、携帯がメッセージの到着を知らせてくる。
もちろん送り主はレッドスパークスだ。
『私も元気ですよ』
短いメッセージとともに自撮りが届く。
少し痩せたような気がするが表情の明るさは最後に会ったときと変わらない。
『ちと痩せたな、でも元気そうでええわ』
お前がここを去った後もこの自販機が名残りのように残り続けることを祈る。


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ライナーズとレッドスパークス。
東花園駅の自販機にまだスパーキーがいると聞いた感動で書いた……

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ラリエットに祈りを

「釜石、今年も誕生日おめでとうございます」
久しぶりにうちの玄関前までやってきた八幡は小さな紙袋を手にしていて、その言葉でもう12月なのだと思いだした。
12月1日は日本で最初の洋式高炉から銑鉄が生まれ、鉄の記念日とされている。
そしてその流れを引いているわしの誕生日として周りから祝われている。
「お前さん仕事はいいのか?」
「仙台からちょっと足を延ばしただけですから」
「……片道3時間はちょっと足を延ばしたって距離じゃなかろう」
「まあここにも一時間くらいしかいられないんですけどね、すぐ東京戻らないといけないんで」
「じゃあ後で新花巻まで送ってやる、そのほうが時間気にしないで済むじゃろ」
人事部の職員が午後から行くというのでそれに便乗させてもらおう。
いちおう瞬間移動という特殊能力はあれど必要以上に使えないのが面倒くさいですねえと八幡はぼやく。
「茶ぐらい飲んでけ、お前さんにここは寒かろう」
「じゃあ、お邪魔します」
暖房を効かせた部屋の一番上等な座布団に座らせ、熱いお茶で身体を温める。
「思ったより雪じゃなくてよかったです」
「まだ氷点下行ってないしな、でも内陸のほうはもう降り始めたんで冬タイヤに変えたぞ」
「もうそんな時期ですね、うちのにも確認させないと」
思い出したかのようにお茶を飲みつつ戸畑に短いメッセージを送ってから、やおら携帯とお茶を座卓に戻した。
「さて、これが今年の誕生日祝いです」
紙袋から出してきたのは長い金属製チェーンで先端に青く輝く宝石が埋められており、今年は宝飾品かとつぶやいた。
「たまには反物以外のものも良いかと思いまして、洋装の時にでもつけてくださいよ」
「……どういう風に使うのか全然分からん」
「ラリエットっていうネックレスの親せきみたいなやつですよ、紐状だから首以外にも巻けるんで手首でも足首でも好きに巻いてください。ループタイ代わりにもなりますし」
確かに長いひものような形状で巻こうと思えばどこにでも巻けそうだ。
着物には合わないだろうが、スーツなら合いそうな気がする。まあつける機会年に一度ぐらいだろうがな。
「まあ、ありがたく貰っておくがよくこんなもん見つけてきたな」
「あなたが持ってないものをあげなくちゃ意味がないじゃないですか。それにどうしてもタンザナイトが良かったんです」
「この石か?」「ええ」
この青い石はタンザナイトというのか、と思いながらその青い石を見つめる。角度を変えると青紫にも輝きを変えるその石は確かに美しい。
(……産業用鉱物はまだしも宝石類になるとさっぱり分からんな)
知らないことは色々あるものだ。
「地球でただ一か所しか見つけられない特別な石であり、つけた人を守る守り石ですしね」
その愛情ゆえの熱のこもった言葉に小さなため息がこぼれる。


「……お前さん本当にわしのこと好きだな?」

その言葉に「当然でしょう」と八幡は当たり前のように答えた。

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釜石と八幡。
昨日やった診断でラリエットに「遠くから幸せを願う」意味を込めて釜石に贈る八幡にときめきを感じたのでそれをぶち込みつつの、何度目かの鉄の記念日ネタでした。

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水島ちゃんのちょっと悲しかった話

二人そろって夜勤が入った土曜日の朝、家に戻ると水島がちょっと落ち込んでいた。
「……水島?」
「録画してた所さんの奴なんだけどさ、」
水島が口に出したのは金曜の夜に放送された番組の話だった。
確かテレビの取材が入ったのでウキウキで取材を受けて、業界紙の記事にもなったアレの事だろう。
「思ったより放送時間短かった……出演者のサインより一時間ぐらい流してもらうよう頼んでもらえばよかった……」
水島の凹みポイントは察せられた。
結構気合い入れて取材対応してたのに思ったより短いというのが凹みポイントらしい。
「番組の1コーナーだもの、ある程度は仕方ないわよ」
「どうせなら番組の半分ぐらい使って欲しかったなって……」
「それに水島、1時間番組だってCM挟むから実質50分ぐらいしかないんだし、ね?」
「実質50分のうちの30分ならほぼ半分が私だった……?」
ちょっと水島が気力を取り戻してくれた。
「あったかいもの食べて一緒に寝たらもう一度見返しましょうよ、水島の一番カッコいいところ流してくれてるかもしれない訳だし」
「そうだよね!福山のおっぱい枕で寝たら元気戻るよね!」
「うんうん、そうと決めたらごはんにしましょ」
シレッと一緒に寝ることが決まってしまったがそこは大目に見てあげよう。
朝ごはんに購入したパンと牛乳を温めに台所へいざなうと、水島も後ろからひょこひょこついてくる。
(まあ、そんな水島が可愛いから半世紀も一緒にいる訳だしね)
空腹と睡眠欲が落ち着いたら一緒にカッコいい水島を見届けよう、そんな気持ちで甘いホットミルクを作るのだ。


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福山と水島。

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らぐぶら。(国代表級ラグビーチーム擬人化)

*基本設定
ノーザイドボーイズと同じ世界観で、15人制男子代表は協会の代理としてノーザイドボーイズ組に出演予定。
正式タイトルはらぐびーぶらざーず。
代表が複数いるため人間のような名前を使って呼び分けられている。
7人15人代表のみが実兄弟で、他は別協会所属のため親戚のようなもの。
むろん国外にも代表チームの擬人化がいるが特に出す予定はない。
ロゴやチームの愛称にちなんだ外見的特徴を持ち、日本代表の場合は桜にちなんだ特徴が外見に現れる。これは外国代表も同一。

・15人制男子日本代表/ブレイブブロッサムズ(勇桜いさお)
髪の毛が枝垂れ桜になっている長髪の青年。
しっかり者の長男として周りの面倒を自主的に見ている。
ノーサイドボーイズ組のまとめ役も兼ねており、協会の担当者として出てくることもある。
サンウルブズのことは自分の子供同然の存在として積極的に面倒を見ていた。

・7人制女子代表/サクラセブンス(桜七さくな)
キャピキャピ系長女。
髪の毛が桜の枝と同じ役割をしており、八重桜の咲いた髪を編み込みにしている。
長女ではあるが少しマイペースで、周りの諍いを鎮めてくれる調停役。
太陽ウィメンズ組のまとめ役もする。
兄のことは嫌いじゃないけど特別好きでもない。
七桜と一緒に五輪出るの楽しい!

・7人制男子代表/セブンスジャパン(日七人/ひなと)
兄の影に隠れがちな次男。
黒髪をスポーツ刈りにしてるせいで左耳の付け根から直で八重桜が咲いている。
普段から兄に知名度で負けてるという感覚があり、ひねくれたところがある。
日々の中で兄と対立しがちで口を尖らせることも多いが、姉にだけは心を開いており姉と共に五輪の時期になると元気を出す。

・15人制女子代表/サクラフィフティーン(桜十五さとこ)
姉よりもまだ小柄な成長期女子。
枝垂れ桜の髪を長めに伸ばしてポニーテールにしている。
いまは七桜よりも小さいがこれからまだ背が伸びると信じているヤンチャ盛り。兄弟からの期待も熱い。

・タグラグビー(しっぽ)
桜色の毛並みをした子猫で、四兄弟と一緒に暮らしている。
尻尾を抜いてもすぐ生える謎機能がある。
代表チームがないせいか人間の姿では無い。

・車いすラグビー日本代表(ウィル)
車いすメガネおにーさん。
黒髪黒眼だが瞳の中に赤い丸が潜んでいる。
こんな名前だが本人は日本生まれ日本育ち。
握力はそんなにないが車いすを漕ぐのはめちゃくちゃ早い。体育館内の競技のため色が白め。

・デフラグビー(嵐)
静かにニコニコしてるタイプに見えて実はすごく饒舌。本人の手話が自動翻訳されて周りの脳に直接届けられる不思議機能がある。
桜色を帯びた黒髪をタツノオトシゴに似せたオールバックにしている。
野武士とちょっとばかり縁があり、仲がいい。

・13人制ラグビー(サム)
浪人風の流し髪と和装の細身の青年。
勇桜や桜七との血縁関係はなく、お互いに基本無関心。独立独歩。

・タッチラグビー
性別不詳美人。
四兄弟からは練習競技と思われているのが気に入らない。

・ビーチラグビー(若)
こんがりよく焼けた肌の茶髪お兄さん。
このメンツで唯一寒さに弱い(夏がオンシーズンのため)生粋の夏男。
元々15人制の選手が考案したので四兄弟とはそれなりにいい関係を築いている。
ちなみに名前は考案者の若狭さんの名前をとっている。

・ブラインドラグビー
作中最年少。グラサン性別不詳。

*以下海外15人制ラグビー代表チーム擬人化
・オールブラックス
頭に白銀のシダ(シルバーファーン)がアホ毛のように生えてる黒髪黒眼の青年。
・スプリングボクス
スプリングボックの角を持つ金髪緑の目をしたムキムキお兄さん。
・ロスプーマス
ジャガーの耳と尻尾を持つ青い瞳のお兄さん。
・イーグルス
鷲の翼を持つ堂々たるイケメン。割と色んなスポーツの経験がある。
・メイプルリーフス
メイプルシロップの匂いがするお兄さん。
・フライングフィジアンズ
蛍光ピンクのピアスをした黒髪黒眼に濃い茶色の肌をしたお兄さん。ご陽気。

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海風に乗せて声援を

夕食のサンマを焼いているとスティーラーズが「電話終わったで」と告げる。
「どうだった?」
「まあ多少気落ちするもんはあったっぽいな、でもまあしゃーないって感じやったわ」
七輪で焼いたサンマの匂いが晩秋の風に乗って鼻腔をくすぐる。
「シーウェイブス、さんまの具合はどうじゃ?」
「もう少しですかね」
「スティーラーズも寒くないか?」
「いや、平気ですわ」
釜石さんが「ならもう少しで米も炊けるから」と言って台所に戻る。
今日はスティーラーズと釜石さんと自分という取り合わせで夕飯をご馳走になるついでにポルトガル戦の中継を見ることになった。
「なんか今日は色々あったわ」
「本当にな、取材もあったし明日の試合準備もあるのになあ」
苦笑いをしながらサンマの焼ける香ばしい匂いを嗅いでいるとお腹が空いてくる。
「今日の試合のスタメン、お前のとこからだと誰が出るんだった?」
「スタメンやろ?りょーへーさんだけやな。ぐーくんとイシちゃんベンチやから。リーチさんの復帰で話題全部持ってかれたよなあ」
「そりゃーあの人は別格だしな」
ひっくり返した感じからしてもう頃合いだろうか。
大皿にサンマを盛り付けると「美味そ」とスティーラーズが呟いた。
ちゃぶ台には副菜の野菜たちに豚汁の鍋、そして炊き立てごはんの詰まった炊飯器。
「ちと狭くてすまんな」
釜石さんが苦笑いしつつ小さめのどんぶりに白米を盛ってくれる。
「いや、昔みたいでこれはこれで俺は嫌いやないですけどね」
「ならいいんだが。まだキックオフまで時間もあるからこの間の敗戦を振り返りながら今日の試合の事でも考えるか?」
「さすがにそれは飯が不味くなるんでちょっと」
「じゃあポルトガルの試合を見よう、あんまりポルトガルラグビーって知らんし」
「ほんならそうしましょ。いただきます」
「「いただきます」」
応援の活力を得るためサンマに箸を延ばす。
数時間後、潮風に乗せてはるか遠くのポルトガルへ思いを届けるために。



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シーウェイブスとスティーラーズと釜石おじじ。
ポルトガル戦は日本時間きょう26時キックオフ!明日予定がある人は無理せず寝よう!
あと日曜日(14日正午)は二人の試合もあるのでよろしくね。

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