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コーギーとお昼寝

市町村・鉄道・企業・スポーツチーム擬人化よみものサイト、オンラインブクマはご遠慮ください。

五輪の宴に騒ぎながら

「始まっちゃったんだな、オリンピック」
テレビをつけてそのことへの気づきで思わずため息をついた。
熊谷への転居を控え、毎日のように荷物の整理に追われていたせいで少し世俗の流れを忘れていたような気がする。
開会式も見ていないし五輪をめぐるゴタゴタに少しばかり嫌気もさしていたが、日本人の金メダルの報道を受けてみればめでたい気持ちにもなる。
福岡堅樹の諦めた夢舞台は華やかで輝かしく、誰もが自らを削り一番美しい色のメダルを目指している。
ヨシさんも出るあの景色をせめて見届けたい気持ちになって、スマホで7人制ラグビーの予定を確認する。
「……男子の予選プールは26日か」
放送時間をもとに視聴予約を入れて、小さく息を吐く。
見にいこう。彼が届くことのなかった場所の風景を。




ワイルドナイツさんと五輪

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夏の古傷

長く生きていれば古傷の一つや二つ出来るのは当たり前の事だが、それが夏という季節そのものに結びついてしまっているせいだろうか。
夏になるとどうしても喪った人々のことを思い出してしまう。
白菊の花を喪われた命へと手向けては、少しでも古傷の疼きの慰めとする。
「こんにちわ」
「おう、シーウェイブス。どうした?」
「いい鰹が安く買えたので良かったら一緒に、と」
抱えてきたスチロール箱にはなかなかの大きさの鰹がまるごと一匹。
ひとりで食うには持て余しそうだ。
「今年は豊漁でずいぶんと値下がりしてるみたいで」
「はー、こりゃいい鰹だな。わしも貰うか」
二人がかりで鰹をさばいて刺身にし、幾ばくか漬けと煮物にしておくことにした。これで当座は酒の肴に困らないだろう。
それでも調理し切れなかった分はシーウェイブスが真空パックの機械を持ってるのでそれで保存が効くようにしてくれたので、ゆっくり食えばいい。
そうして出来上がった鰹には市販の薬味やしょうゆを添え、焼いたなすときゅうりの漬物に残り物のご飯を並べれば立派な一食だ。
(あの頃は願っても食えなかった食事だな)
困窮の時代にあっても人に望まれ、生きてきた。
その望まれたこと自体が重荷となり様々な痛み苦しみと混ざって古傷となってしまったけれど、それでもこうして生き延びて居なければ見られなかった景色を一つ一つ覚えておこう。
古傷の一つ一つには人間の祈りと願いが込められている。
「「いただきます」」
働いて食べて命をつなぐ。その営みを見守ることが己の使命ならば。



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釜石とシーウェイブスさんのはなし

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きみのブルース

「うちの人たちの事、よく頼みますヨ」
レットスパークスは移籍の書類にサインをしながらそう呟いた。
「当然やろ、引退まで面倒見るけん安心せぇ」
自分に言えるのはこれが精いっぱいだった。
今回移籍してくるメンバーの中にはレッドスパークスにとって最後の新人となった子も含まれていて、本当ならばもっと長く一緒にいられただろうと思うと切なさがこみあげてくる。
「ほんとですヨ」
最後の書類にサインが入ると、その隅に小さな雫が落ちた。
「……分かっててモ、寂しいですネ」
最後まで見届けてやりたかった。もっと自分とともに走ってほしかった。
そんな選手たちを手放す痛みは想像に難くない。

「お前の痛みはおいも背負うちゃる、だけん、今は思う存分泣けばよか」

書類を隅において、その顔を覆い隠すように抱きしめる。
痛くて辛い音で出来たブルースなど誰も聞くべきじゃない。


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ブルースとレッドスパークス

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七夕飾り

今年も見事な梅雨空のなか、事務所の玄関に七夕の竹が飾られている。
毎年戸畑が事務所でも季節の色どりがあれば気分も違うだろうと飾っているが、今年はずいぶんと短冊が多く飾られているように見える。
「おはようございます」
短冊を吊るしていた戸畑に「今年も立派なもんだな」と声をかける。
「あるとないとじゃ多少気分も違いますしね。小倉さんもどうですか、短冊」
「短冊なぁ」
わざわざ天のお星さんに祈るような願い後事も特段思い付かず、小さくあごをかく。
職員たちのように恋人だの給料だのを祈っても届くはずがないことも分かっているので余計にだ。
「気が向いたらでいいですよ」
「じゃあ気が向いたら、な」
今日の目的は本部事務所内でのオンライン会議だ。そっちがまずは優先である。
会議が終わったら戸畑と飯に行ってもいいかもしれない。そんなことを考えながら慣れた足取りでいつもの会議室へと赴いた。

-数時間後
会議が終わって玄関へ戻る途中、短冊の詰まった箱が目についた。
行きがけに目についた七夕飾りに何か書かないかと戸畑に言われたことを思い出し、ふとあることを思いついた。
数枚の短冊をもらっていつものペンでいくつかの願い事を書き込むと「小倉さん」と声がかかる。
「この後お昼どうですか、いいうどん屋さん見つけたんです」
「……戸畑って粉もん好きだよな。まあいいか、俺も行く」
「あ、短冊書いたんですね」
「これ飾ってからでいいか?」
「もちろん」
最初の短冊にはコロナの早期終息を祈った短冊は見えやすいところに。
二枚目の短冊には景気回復と業界の好景気の到来を祈る短冊は数の少ないところに。
そして最後の短冊は、一番高くて空からよく見える場所に。
「なんでそれだけ一番上に?」
「神様によく届くように、だな」
最後の短冊は俺の周りにいる奴ら(八幡を除く)の幸福を祈る短冊だ。
あれこそが一番の願いであり、届いて欲しい祈りなのだ。
「そういや今日行くうどん屋は何が旨いんだ?」
「肉うどんがいいんですよね、小倉さんお好きじゃないですか」
この娘の幸いはどこにあるのか。それは天の星に祈るしかない。



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小倉と戸畑

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女の子たちのアフターマッチ

周りの空気が緩むのに気づくと二か月にわたった太陽生命ウィメンズが終わったのだな、と思う。
「フェニックス、お疲れ」
「くまちゃんおつー!きょーのあたしってばすごかったっしょー?」
私の事をくまちゃんと呼ぶ東京山九フェニックスは何の衒いもなく汗まみれの身体で私にハグしてくるので、仕方なく私もハグで応じる。
「おつかれさま」
「あー、けーちんもおつかれー!」
スポーツドリンクを持ってきてくれたKTMにもハグをしようとして、眼前にスポーツドリンクを突き付けられる。
「フィジカルディスタンス、ね?」
「けーちんノリわるーい」
そう言いつつも渡されたボトルを受け取って一気飲みするあたり、現実的というかなんというか。
私もついでに貰っておくと「お疲れさまでした」と足元から声がした。
「ブルーエンジェルス」
「アルカスさん、KTMさん、本日もいい試合を見せていただきありがとうございました」
小学生ほどの見た目でありながらやけにかしこまった挨拶をしてくるので「こちらこそ」としか言えない。
「ながとっちとの試合激アツだったわー!優勝できたしほんとありがとね!」
「こちらこそ。でも総合優勝したのはながとなのでフェニックスさんがしたのは鈴鹿大会優勝ですよ」
ストレートにすごい事ぶち込んでくるよなあこの子。
何とも言えない気持ちになりつつ遠くからまた一人小さい子が駆け寄ってくるのを追いかけてるのは……パールズだ。
「みんないる!!!!!!すごい!!!!!」
オパールのように輝く目できらきらとこちらを見つめてくれる小さな女の子。
たぶん、人間の子ではないのは察しがつくけどどちらさんとこの子だろう……。
「どちらさまですか?」
ブルーエンジェルスがストレートに突っ込んでくる。
「ナナイロプリズムふくおか!ちはるさんにつれてきてもらったの!」
そのチーム名で、そういえば今日のゲストが今いるチームだったなという事を思い出す。
「ね、あそぼ!」
ラグビーボールをどこかから取り出して、らんらんとした瞳でこちらを見てくる。
その瞬間にみんな乗り気になったのが分かる。
「いいね!」
「帰るまで時間もそんなにないのに?」
「それに私たち試合後よ?あんまりきついのは出来ないんじゃないかしら?」
「円陣パスぐらいなら出来るっしょ!人数的にもちょうど良くない?」
気付くと足が全員グラウンドに向かってしまう。
くたくたになるまでラグビーした後にもこうやって遊んでしまうのは、どうしようもないラグビー馬鹿だからだろう。




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アルカス+KTM+フェニックス+ブルーエンジェルス+ナナイロプリズム。
現状実装組の女の子たちでわいわいさせてないなと気づいてしまったので……

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