「高知ってもっとあったかいイメージだったのにな……」
思ったよりも肌寒い空気に思わずため息が漏れる。
グラウンド整備を手伝ってくれた学生さんに挨拶を済ませ、カメラの準備をしていると「何ばしよると?」という声がする。
聞き覚えのある福岡訛りの主はブルースくんだ。
「キャンプテンズランの中継準備を」
「試合じゃ無うて?」
「ええ、試合中継はアプリでやりますけどねそれとは別に」
「変わった事ばしよるな」
ブルース君がぼそっとそんなことを言う。
「グリーンロケッツに比べればマシですよ」
「あん人も変わった事しよるけど……」
「あ、そこにある延長コードこっちに伸ばしてもらえます?」
ブルース君は何となく腑に落ちないという顔をしつつ、延長コードをこちらへと伸ばして渡してくれる。
「ちなみにブルースくんは何してるんです?」
「試合前にグラウンドをくまなく見るのがおいの習慣なもんで」
「君も大概変わってる気がします」
「そげん事はない、って思うとるんですけどね……」
首を傾げつつも再び彼はグラウンドの様子を見て回る作業に戻っていく。
陽が高くなるにつれ、肌寒かった風が少しづつ温まっていく。
南国土佐の春の日に開幕のホイッスルが鳴るまであとすこし。
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シャイニングアークスとブルース。