ツイッターで日頃仲良くして頂いているしきみんとさんちのジュビロ磐田さんをお借りしてのお話。
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「お鍋誘ってくれてありがとうねー」
「少し多めに貰ったから誘っただけなんだけどね……」
姉さんとエスパルスさんがきゃいきゃいと隣り合って語らうのを俺はぼんやりと眺めていた。
特に大した理由がある訳ではない。ただ東大阪から鹿肉が500グラムも届いたので2人では食べ切れないからと言う事で姉さんが暇そうな数人に声をかけたらエスパルスさんが来ただけに過ぎない。
並んで肩を寄せ合いながらああだこうだと話している姿は、睦まじい。それに姉さんも何だかんだで楽しそうに見えた。
(……でも、羨ましいなあ)
同じ血の繋がった姉弟でも、ずっと一緒にいられる訳じゃない。オフシーズンは1週間くらいしか重ならないし、俺の試合のある季節は終盤戦の追い込みに追われている。
もしかしたら俺よりエスパルスさんの方が姉さんと一緒にいるような気がするのだ。
「ジュビロ、もう鍋煮えたんじゃない?」
「あ、ほんとだ」
土鍋がぐつぐつと音を立てていることに気付き、鍋のふたを開ける。
ほどよく火の通った鹿肉の色、くたくたになった野菜たちの艶、カツオと昆布だしのかおり。
「美味しそうだねぇ」
「それは良かった」
野菜と肉に箸を伸ばせば、二人が幸せそうに頬を緩ませた。
あんまり二人が幸せそうなので無音カメラを起動して写真を撮っておく。
(お礼にライナーズさんに写真送っとこ)
もちろん姉さんの部分はカットしておくけれど、客観的に見てエスパルスさんは可愛い女の子なので十二分にお礼になるはずだ。
『鹿肉、ありがとうございました』
簡単なメッセージと一緒にエスパルスさんの写真を添付しておく。
「そう言えば!クリスマスイブ一緒にお買い物行こうよ!御殿場のアウトレットでバーゲンやってるんだって!」
「クリスマスイブっていつだっけ?」
「24日の日曜日ですよ」
するりと答えられたのはその日が年内の最終戦だからだ。
ラグビーのシーズンは8月ごろに始まって1月いっぱいまで続くので、年の瀬ギリギリまで試合が続くのだ。
(まあ姉さんが年内最終戦のこと覚えてるか分かんないけどなあ)
ただでさえ年末年始は忙しいのに姉さんだって次シーズンに向けての準備に追われてるはずだから、来てもらえるのかも分からない。
いちおう結果は把握してくれているみたいだけれど、試合に来てくれるのは数年に一度だ。
「あー、その日はヤマハスタジアム行くつもりだから」
姉さんの口からこぼれたセリフに、箸が止まった。
「最終戦はもう終わってるよ?」
「サッカーじゃなくてラグビーの方、年内の最終戦が24日で……って、ジュビロ?!」
「はっ」
一瞬意識が止まってた。
姉さんが年内最後の試合に来てくれる喜びがでかすぎた。
「弟君ほんとに好きなんだねえ」
「そりゃあ俺の姉さんは世界一イケメンなので……」
「そんな当然の顔で褒めないで……」
「ねえ弟君、試合って何時から何時まで?」
「1時キックオフなんで終わるのは3時前ぐらいだと思いますけど」
「じゃあ午前中!午前中デートしよう!一緒に応援するから!」
とりあえず姉さんのために最終戦は勝たないといけないな、という気持ちになる。エスパルスさんが来るのはあれだけどまあいい。
「……午前中はエスパルス、午後はジュビロね」
「やった!」
「姉さんのために3トライ以上決めてきますね!」
クリスマスイブが俄然楽しみになって来たぞ!
おまけ:ライナーズさんからの返事
東大阪:なあ、あの写真の黄色い髪のお姉さんめっちゃ可愛すぎひん?
磐田:あの人は姉の友人ですけど
東大阪:お前の周り美人多すぎやんけ
磐田:姉さんが世界一美人でカッコいいのは事実ですが手を出すなら今から東大阪まで殴り込みに行くのも辞さない方針ですけど
東大阪:そう言う過激派思想やめーや