「あーあーあー!やってらんない!」
ふてくされ気味のサンゴリアスが三本目の焼酎に手を出そうとするので、せめてお湯で割らせようと大きな湯飲みに湯冷ましを入れて差し出した。
「明日仕事でしょ」
「成人の日だから休みですぅー」
湯冷ましに麦焼酎をダバッと入れて飲み始めると、今日のことめちゃくちゃ気にしてるな……と苦笑いになる。
開幕戦での府中ダービー、しかもNHKの中継付きと言う滅多にない好待遇の試合で負けたのがよほど気にくわないのだろう。
「でも松島のまた抜きパスなんて芸術的で面白かったじゃん」
「そうだけどさー、せっかくなら勝ちたかったじゃん」
「……まあその気持ちは分からないでもないかな」
チューリップから揚げをサンゴリアスの口に放り込んでやれば美味いと小さく呟いて咀嚼した。
勝った側の俺が何言っても聞いてくれないだろうなあ、と思いながら俺の方も明日に残らない程度にのんびり酒を飲む。
「でも今日は満員御礼でいい試合だったじゃん」
「そっちはリーチコールすごかったもんね」
サンゴリアスは皮肉めかしてそう言うが俺としては「しょうがないよ、リーチだし」としか言いようがない。
「いつまでもいつまでも、あの満員のスタジアムで試合ができるよう努力しないとね」
そう思うでしょ?と問えば、サンゴリアスも静かに頷くのだった。
ブレイブルーパスとサンゴリアス。