まだ寝静まる朝6時前、ふと思い立って外に出てみることにした。
私服に着替えてランニングシューズを履き、ワイヤレスイヤホンでこの街を代表する歌手の曲を流し、走って海を見てきますとスタッフにメッセージを送る。
(みんなに心配させちゃいけないもんね)
ホテルを出てみるとまだ日の出前の薄暗い町は人も少なくて走りやすい。
目的地までの道順はあえて確認していない。
道案内の看板を見つつとりあえずこっちかなーなんていう適当な直観で知らない街をあてどなく走るのだ。
朝いちばんの路面電車がちんちんと軽快な音を鳴らしながら走っているのは我孫子では見ない景色だ。
(写真撮っとこ)
姉ちゃんとの話のタネに撮った路面電車はナポリ推しだった。なんでナポリなんだろ?
よく見るとこの通りもナポリ通りだ。ナポリとなんかあるのかな。
やがて大きな川にかかる橋を越え、フェリーターミナルの文字が見える。
フェリーターミナルなら近くに公園とかあるだろうし最終目的地はそこにしようか。
でもちょっと遠回りして向かってみよう。
電停に止まっていた路面電車を追いかけるように走れば、そこは町の中心的繁華街だ。
この時間はコンビニぐらいしか空いてないのが残念だけど雰囲気は朝でもなんとなくわかる。
(あ、このまま路面電車を追いかければフェリーターミナルだけど曲がればお城見れるんだ?)
せっかくだしお城も見に行こう。 ち
ょっと寄り道がてら寄り道してみるが、お城の入り口は空いてなかった。まだ6時半過ぎだものねえ。 と
りあえずこの太い通りを走ってみれば、テレビで見たことある銅像や立派な建物が目についた。
しかもここ、国道だけあって歩道も太くて走りやすい。
そうこうしてると交差点でフェリーターミナルの文字が出てきた。
最後のひとっ走りと走ってみれば海の匂いが近づいてくる。
(あ、見えた)
海の向こうに桜島がそそり立つ。
ブレイブルーパスが頻繁に霧島で合宿するのはこの景色が気に入ってるからだ、と言うのも分かる気がする。
フェリーターミナルの中に入ると20分後にはフェリーが出て、海の上から桜島と朝日が見られるという。
(んー……戻りが大変そうだし良いか)
結局ターミナル内のコンビニでお茶とおにぎりを買い、海辺の公園に足湯があるというのでそこで食べることにした。
冬の朝の足湯が汗ばんだ足裏を流し、温泉水で濡らしたハンカチで首や胸元を軽く拭う。
(ああ、日が昇る)
ゆっくり桜島の向こう側から朝日が昇ってくる。
スマホから流している曲が朝日の染まる錦江湾と桜島のBGMみたいだ。
姉ちゃんやスピアーズやDロックスにもこの景色を見せてあげたくなって、俺はその景色を写真に収めた。
------
緑ロケちゃんと鹿児島の朝。
ギリギリまで固有地名を出さないチャレンジしてました()
鹿児島中央から天文館・国道10号の西郷さん像経由で走るルートを想像しつつ、長渕剛の桜島を聞いてました。