*ひたちなかと国営ひた.ち海浜公.園のおはなし。
*個人的解釈(と言う名の妄想)が多大に含まれます
*軍事・政治系の話に対して寛容になれない人はバックプリーズ。あと折りたたみます
国営ひたち海浜公園にはネモフィラが咲いている。
丘一面を青く染め上げるその花は空に交じり合うように咲いていた。
「ひたちなかは覚えてないでしょうけど、この花の花言葉教えたの覚えてる?」
「・・・・・いや」
「まあそうでしょうね、子供のときだったから」
白く透き通るような淡い色合いの海浜公園は丘の上で空を指差した。
「ひたちなか、御覧なさいよ。
この空の青と海の青。先の大戦の名残なんて何一つ残されて無いでしょう?これがヒントよ」
彼女の言う先の大戦がの名残が何かはすぐに想像がついた。
まだ自分が生まれる前、勝田市と那珂湊市があったころの彼女の名前は『水戸射爆場』だった。
戦前と戦時下では旧日本軍、戦後は米軍がここを利用した。
米軍からの返還後ここは巨大な公園になり、その受け皿になるために自分が生まれた。
だけど、花言葉は思い出せなかった。
「・・・・・分からない」
「やっぱり!あなた植物の名前全然覚えられないんだもの。きっと勝田に似たのね。
那珂湊はぽんぽん覚えていくのに勝田は言っても言っても忘れてく。変なトコだけ父親譲りだわ」
「父親のことは全然記憶に無いけどね」
「余計な混ぜっ返ししなくてもいいわよ、・・・・・・答えは『私はあなたを許す』よ」
ああ、言われてみれば教えられた記憶がある。
植えられている植物の名前と花言葉と開花時期を全部教えられ、ここを手伝うたびにいつも記憶をフル活用して案内をしていた。
「私ね、いつかここで米軍さんたちと思い出話がしたいの。
彼らにはひどい目にあったし恨んでいるけれど、言ってしまえばこの国を守る自衛隊の手伝いをしてる訳でしょう?
あなたも自衛隊を抱える街だから分かってると思うけれど、自衛隊だけではこの国の防衛は到底成り立たないそうだから私はいつかどこかのタイミングで彼らを許さなければならないし、それに
憎しみで世界は救えない。
私が許せば彼らも反省してくれるんじゃないのかなって、思ってるのよ。夢物語かも知れないけど、そう思ってる」
「・・・・・・いつか叶うんじゃない?」
ここはかつて、たくさんの血を流した場所だった。
土浦も勝田も昔は軍人がたくさんいた。
そのことを覚えてはいないけれど、平和であってほしいと思っている。それは嘘じゃない。
許すこととひたちなかさんの話。
海浜公園さんは完全に出来心ですが、この話以外出番はなさそうです。