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コーギーとお昼寝

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あねとおとうと

『今晩鍋やるから好きな鍋つゆと具材買ってこい(すき焼きは不可)』というメールが届き、ビニール袋を片手に姉の家を訪れる。
「ねーちゃーん、いるー?」
「おう、何のつゆ持って来た?」
「とりあえずピリ辛味噌味にした、あと酒もあるよ」
「よくやった。コンロ準備してあるからつゆあっためといて野菜だけ寄越せ。全部切る」
「鍋用のカット済み野菜買った」
「お前いつの間にそんな気の使い方覚えたんだ、褒めて遣わそう」
ちゃぶ台の上にはカセットコンロと土鍋が並んでいてつゆを鍋にそそいで火をつけてから野菜と肉を放り込んでふたをする。
冷蔵庫から出てきたのは貰い物だという赤ワインのハーフボトルとコーラ。
それをグラスに半分づつ注いで手渡してくる。
「なにこれ」
「職員に教えて貰った、赤ワインとコーラ混ぜて飲むと美味いんだと」
「それつまり俺を毒見係にしてない?」
「そうとも言うな」
まあいいけどさ、と思いながら一口飲んでみる。
赤ワインのベリー系の匂いをコーラの炭酸が混じり合い、まあ不味くはないけど特別美味いとも思わない。というかワインが辛いからコーラとぶつかってるのかなこれ。
「不味くはないけど、もっと甘い赤ワインでやった方が良い。コーラ足していい?」
「了解」
そう言いつつもワインのハーフボトルが空になった頃にはいい感じに鍋が煮えてきたので、買ってきたワンカップで乾杯しながら鍋に箸を伸ばす。
ピリ辛味噌という売り文句のわりにはちょっと辛味が薄いというので七味を足し、日本酒で肉の油を洗い流し、そしてまた野菜に箸を伸ばす。
鍋と日本酒の組み合わせはいいよね。飽きない。
「最近一人鍋とかいうけど、最低2~3人はいないと鍋やってもつまんないよな」
「それは分かる。でも和歌山呼ぶと海南がついてくるから煙草吸えないしね」
「鹿島は地理的に論外だし、西宮は向こうの都合があるし、神戸は呼ぶとめんどくさいしで、結局お前と鍋するのが一番気楽なんだよなあ」
「西宮と神戸呼ぶんだ」
「前に一度女三人で飲んだら、神戸が食いもんの好き嫌い多くて選ぶのめんどくさいし西宮はちょうど葺合がいなくなってまだ間もない時期だったからきっつい酒がばがば飲んで葺合葺合って泣くしで地獄だった」
完全に死んだ目だった。
うん、まあそうなるよね気持ちは察する。
「しかも神戸って日本酒飲めないだろ?」
「あー、なんか醸造酒飲むとすぐ気持ち悪くなるとか言ってたね」
「酔っぱらった西宮が神戸に日本酒飲ませて潰した挙句気持ち悪いとか言ってベランダで吐いた」
「家のなかじゃなくて良かったね、としか言えないんだけどそれ」
「ついでに言うと翌朝も吐くから上から土かぶせてごまかした」
「すごい苦情きそう」
「それ以降あの二人と仕事以外で食事するときは酒抜きなんだよな、仕事なら飲む量セーブするからいいんだけどもうあんな大惨事やだ」
「なんかもうその話で色々理解したわ」
「結局一番気楽なのは弟って訳だ。……ぼちぼち〆にするか」
鍋に〆のうどんを入れてから再び火をつけると、食後酒にと林檎のシードルを持ってきて笑うのだった。





此花と尼崎の話。
そういえばちゃんと尼崎を出していなかったので姉と弟のぐだぐだ話を。

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