タイトルの時点でお察しいただきたいひどい奴です。
このお話は他のお話とは全く別世界線なので、このお話に出てくる設定は本編と異なります。
付き合ってて男性妊娠な八幡釜石だよ。性的な要素はないよ。
*おめでとうございます
そもそも、神様がこの世に生まれるには二つの方法がある。
一つ目は大きな神様の身体の一部から分離したり、自然から突然生まれたりする。
二つ目は人間と同じように誰かとまぐわうことで生まれる。
「それたぶん妊娠だわ」
「は?」
此花のコメントにとりあえず意味が分からないという顔をするしかない。
昭和12年11月の出雲の一角、神々の集いに参加した者たちに貸し与えられる宿泊施設の片隅で呆然としていると此花が追い打ちをかけてくる。
「まがりなりにも神のうちだし性別は関係ないんだろうな、たぶんその胎んなかにいるのが今度姫路に出来る製鉄所だと思う」
「……そうなのか?」
「時期的にそうだろ、製鐵所とその付喪神はほぼ同時に生まれ落ちるしな」
驚きつつも自分の腹を見返すが全くそういう感じはしない。
「まあ、人間と同じように孕んだってことは相手がいるってことだし……八幡に伝えとかないと後がめんどいぞ」
*報告
釜石「という訳で他の神々にも確認してもらったら、間違いなく妊娠してるらしい」
八幡「……頑張った甲斐がありましたねえ」
室蘭「なにそのうっとりした目」
八幡「抱くたび抱くたび早く孕んでくれないかと思ってましたから」
釜石「八幡の目が怖い」
室蘭「わかる」
*妊娠中のはなし1
釜石の胎が会うたびに膨らんでいくのが分かる。
妊娠報告から数か月、東京で久しぶりに会った釜石は微かに腹が膨らみだしていた。
「……室蘭、」
「なに?」
「あの胎に私と釜石の子がいるんだと思うとぞくぞくしませんか」
「その前にうち(日鐵)の最新鋭製鉄所でもあるけどね」
*妊娠中のはなし2
八幡「思ったんですけどね、」
釜石「おう」
八幡「そのお腹が膨らんだ状態でまぐわったりってできるんですかね?」
釜石「お前はいったい何を言っとるんじゃ……?」
八幡「いえ、なんかその膨らんだお腹の状態で抱いたらめちゃくちゃ興奮するなあと思いまして」
釜石「止めてくれ」
八幡「抱かせてくださいよ」
釜石「腕を掴んで押し倒そうとするな!やめろ!」
八幡「負担はかけませんから!」
釜石「ならお前が孕め!」
八幡「分かりました次は私が孕むんでちょっといいですかね?!」
*生まれた日
五月晴れの姫路の海を眺めながら、微かに息を吐いた。
宿泊先の宿ででひっそりと産んだその赤子はか細い声を上げて泣いていた。
「釜石、八幡が呼んでー……ってもう生まれたの?!」
「ちょうどさっきな、悪いが動けそうにないから八幡を呼んでくれ」
「分かった!」
室蘭がバタバタと走り出して、剃刀で腹を繋いでいた臍の緒を切る。
(ようこそ、この世界へ)
*数十年後のネタ晴らし
室蘭「……という訳で広畑と大分は釜石が産んだ子なんだよ」
広畑「そうだったのか」