「和歌山、もう麦茶ねえから帰り買って来て」
麦茶の作り置きを作ってくれている海南が俺にそんなことを頼んでくる。
「もう無くなったかぁ、仕方ないけどこの時期は減りが早いよね。タブレットはまだ残ってたよね?」
「あー……もう三分の一ぐらいだな」
買い置きの塩分補給用タブレットが詰まった箱を確認しながら「じゃあぼちぼちまとめ買いしなきゃねえ」とつぶやいた。
いくら人間でないと言えど倒れれば何が起きるか分からないので、夏の熱中症・脱水対策は欠かせないから麦茶と塩分補給タブレットは必須だ。
コロナで車の需要回復しはじめてからにわかに鉄鋼需要が戻り始めてきたのは嬉しいが、どんどん気温が上がっていくせいでどっちも消費が激しくなって来た。
(八幡さんに会社で助成出してって言って見ようかなあ……無理だろうけど)
そんな無意味なことを思いつつ朝ごはんのおにぎりと梅干しを咀嚼し、空いた手で今日買って帰るものをスマホにメモしておく。
「ごちそうさま、今日夕方までだから7時には帰るよ。海南は今日在宅勤務日でしょ?」
「おう。ちなみに明日夜まで不在だから夕飯の買い出しも頼む」
「はあい。じゃ、」
海南のほっぺに行ってきますのキスをすると「ご安全に」と返すのだ。
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和歌山と海南。夫夫なのですぐいちゃつく。