世間が五輪に騒ぐ夏のさなかでも容赦なく仕事はやってくる。
親からのお使いで東京各所を回りまわってようやく一息付けたのは、日も暮れ始めた5時過ぎ。
少し食べてから帰ろうと最寄り駅である上野駅へと歩いていくとけたたましく携帯電話が鳴り響いた。
『うわああああああああああああん!!!!!!!!』
「イーグルス、その様子だとセブンスのほうで何かあったか?」
可愛い弟分は今回の五輪の応援には人一倍気合が入っていた。
なんせキャプテンがサンゴリアスの所から自分の所に来てくれた男で、その足の速さは注目を浴びていた。
『セブンス見てないんですか?!』
「今日は一日出歩いていたものだからろくろく飯も食えてない状況でな」
『ちひとくんのオリンピックがさっき終わりました』
あまりの落ち込み方に見かねて、歩きながら慰めの言葉を考える。
「……15人制代表の暗黒時代よりはマシだろう」
『15人制は五輪種目じゃないじゃないですか』
「次の五輪があるだろう、元気を出せ」
『そのタイミングだともう世代交代してますよ!うちの選手が世界一になるところ見たかったのに!!!!!』
「其れを言うならうちのボークコリンももうそろそろ年齢的に危ういことになるんだがな」
『まあそうですけどねー……』
落ち込み気味のイーグルスに何か一つ手土産でも買っていこうか、という気持ちになる。
後輩に甘すぎると言われそうだが、可愛いものは可愛いので致し方ない。
「このあと町田まで赴こう、其れでセブンスの試合を見て反省会をしつつ甘味でも食らうのはどうだ?」
『来るんですか?』
「可愛い後輩の嘆きを慰めるのも先輩の仕事だからな、ちょうど上野に居るからみはしのあんみつでも持って行こう」
この後輩は下戸だから酒よりも食い物のほうが良いだろう。
甘いものも嫌いではないはずだし、あんこにコーヒーと言うのも悪い組み合わせではない。
『……白玉あんみつを』
「分かった。移動の合間に我も今日の試合には全部目を通しておく故冷えた飲み物でも準備しておいてくれるか?」
その頃の熊谷
アルカス「男子ふがいない結果に終わったわねー」
ワイルドナイツ「一勝も出来ずに終わったのは残念だけど松井はほぼ全試合でトライもぎ取ってるし十分でしょ、女子はいつからだっけ?」
アルカス「29日だからー……明後日か。明後日の10時半」
ワイルドナイツ「その時もまたアイス持ってきてね」
アルカス「いや私はあんたんちの大画面テレビでセブンス見たいからアイス持ってきてるだけで、別にアイスあげに来てるわけじゃないんだけど」
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ブラックラムズとイーグルス