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コーギーとお昼寝

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しもつまものがたり?その4






夏が終わり、秋がやってきた。
そして一つ、変化したことがある。
「しもつまー!遊びに来たよ!」
つくばさんがうちに遊びに来るようになったことである。

しもつまものがたり?その4

特に家の場所を教えなかったことに意味はないけど、プールに行ったときについでに家がプールの近くであることを教えたらこれだ。
「別に構いませんけど邪魔しないでくださいね」
針でカリカリとガラスに線をつける。
「しもつまは何してるの?」
「グラスリッツェンです。」
「なにそれ?」
「3,40年ほど前にスイスで生まれたガラス工芸です。簡単に言えばガラスの表面に針で線を入れたりしてるようなものです。」
「へー、ところで触って大丈夫?」
「いいですけどガラスの粒子で目がダメにならないよう注意したほうが良いですよ」
今回彫りこんだ模様は桜と水。
個人的に凄く好きなモチーフは彫りこむ時が凄く楽しい。
「花が流れてる絵なんだね、なんか下妻らしい」
「・・・・・具体的にどこら辺かは聞きませんけど、褒めてもらえて恐縮です。」
「いや、だってさ~水って意外と抽象的なモチーフだし、表現も結構難しいと思うんだ。」
「まったくもってその通りなのがちょっと悔しいですけど。」
「でも、下妻のこのデザインは凄く好き。」
微笑が太陽のように優しい。
この人は本当に綺麗だけど、どうしてこうも僕に執着(というかお気に入り)するのか分からない。


世界は不完全なくせに、完全の近い物があって、不完全であっても美しい。


「・・・・・・・つづき彫らせてもらえません?」
「あ、そうだったね。出来たらそれ貰っていい?」
「別に構いませんけど・・・・・・・」
「じゃあここで待ってるよ、もうちょっとで出来るみたいだし。」
1LDKの小さい部屋にある3人がけソファーで寝転ぶのはいつものことで、もはや慣れっこだ。
「ところで、お昼ご飯どうしましょうか?」
「あ、じゃあ焼きそばがいいな。最近食べてないな~と思って。」
「じゃあ終わったら買いに行きます?」
「うん!」
もし、この人の奥にあるものがもう少し垣間見えたら願いに答えてもいいのかもしれない。
ふと桜を彫りながら思う。







                       おわり

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しもつまものがたり?その3






「暑い・・・・・・いくら地球の中心軸が傾いたゆえの現象といっても暑い!」
それはとあるじめじめと暑い夏のこと。
「まあ、もうすぐ夏ですからねぇ」
「冷房・・・・・・は壊れてるんだっけ」
冷房を壊した原因はつくばさん自身であることを何も言わないことにした。
「そうですね、水風呂でも入ります?」
「まだ洗ってないし、ぬるっとしてるし、いろいろな意味でやだ。」
多分ぼくが洗うと言っても拒否するに違いない。
そしてぼくは直感的につくばさんが求めているであろう答えを答えてあげた。
「じゃあ・・・・・ぼくと一緒にプールに行きます?」

しもつまものがたり?その3

ぼくにとってプールとはある巨大プールとなっている。
まだ小さいころに下館と行くことの多かった(まだあの頃は遊/湯館なんて施設は無かった)砂沼サンビーチ。
「ほえー・・・・・」
青いトランクス風の水着に同系色のビーチサンダルのぼくとズボンのような形の水着(これ何て言うんだろうか)のに素足スニーカーと言うある意味微妙ないでたちのつくばさん。
そんなぼくらが久しぶりに遊びにいくとちょうどお昼前と言うことで人が多い。
「今日もなんか人が多いですねぇ」
「こんなに大きいとこ来たの東京サ/マーラ/ンド連れて行ってもらって以来かも」
「そう言えばつくばさんちのほうに大きいプールの存在あんまり無いですもんね。」
「そうだね、そういえばさぁ砂沼って沼の名前なの?」
「あー、一応ため池です。」
「一応?」
「砂沼湖とも言うんで厳密にはよく分からないんですよね・・・・・・・・・。」
「なるほど。」

*                  *

「ふい~」
ぼくらが波のプールに入ると何故かカップルらしき姿が多い。
そのなかで出てきたこの謎の声。
(奇妙な取り合わせだ・・・・・・)
キャーキャーはしゃぐ人も多いし、ぼくらのようにただぼんやりしてるのも多い。
「いいねぇ、こういう時間も」
「そうですね。ってウボァァァァっ!?」
波が顔に直撃した。



そして浮き輪から落ちた。



そんなに深い所ではないのが幸いして底意地で浮き輪を引っつかむ。
「さっきの面白かったよー」
「・・・・・・・えっと、まず面白い面白くない以前の問題だと思うんですけど。」
「だってさー、面白くって、ねえ?」
あれですか、『好きな人ほどいじめたい』って奴ですか。
と言うか意味が分かりませんその理屈。
そもそもどこが面白かったんですかあああああああああああ!

*                   *

スライダーに流れるプール、水上リフト(こんなの昔あったっけ?)25mプール。
「はー、散々遊んでたねー」
「もう・・・・・・帰りたいです。」
「何でもう疲れてるの?25m勝負くらいで」
「25m10本を本気でクロールして疲れない人がいたら紹介しろ!」
思わず心からの本音が思いっきり漏れた
「あ。」
「はい?」
「ですます調、とれたじゃん。下妻もさー。」
そして赤くなるぼく。
「じゃあ、記念にお赤飯炊こうよ」
「炊きません!」
そしてプールに夕暮れが沈んでいった。





                    おわり

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ひたちなか、不思議な子。

「・・・・・・なんで俺が押し付けられるの?」
水戸、押し付けられそうなのがお前しかいなかったんだ。
と言うわけで頼む。
「日立におしつけろよ」
お前に頼まれた結城専用ハードディスクの復元が難航してて出られないんだと。
「お久しぶりであります、水戸殿。」
「あ、ああ・・・・・・久しぶりだな。ひたちなか。」
「兄様はここにいませんよ?」
「あ、いやさ・・・・・・今日はお前に用事があってな。書類とお前の自己紹介。」
「了解いたしました。」
そういってひたちなかが方向を向きなおし、敬礼をして言い出したのはこれ。
「我輩はひたちなか、水戸藩随一の商港であります。」
・・・・・・って、それだけかい!
「それ以上に必要なものはないと思われるゆえ、職務に戻ろうと思います。」
「あー、まあそれぐらいでいいよ。あ、書類ここにおいて置くな」
「ご足労ありがとうございます、水戸殿。」
「・・・・・・水戸、何でここに?」
「なんだ、日立か。とりあえず泥とほこりのままで入ったら玄関カオスになるから外で落としてこい。」
「別に、ほこりくらい・・・・・・後でごまかせる。」
「いやごまかせねーよ!」
「兄様、掃除機です。」
「・・・・・・ありがとう。」
「つまりお前らは掃除機で服を掃除すると。」
「まあ、そういうこと・・・・・・だね。」
掃除機のフィルター駄目になるぞ、とオカンのごとく突っ込んで服用ブラシでほこり取りをする姿はどう見ても夫婦です、本当にありがとうございます。私はもうおなか一杯で

「どこがだよ!」



                   おわり

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はじめまして、日立です。






「ひーたーちー!」
街の郊外にあるおんぼろ家屋。
雨漏りしないこと以外よいと思えることがない家屋の中に、いた。
「・・・・・・水戸。めし、たのむ」
泥まみれの地面につっぷすちょっとおっさん化してきた奴。
それが日立である。

はじめまして、日立です。

「や、ちょっと何でそんな急に!」
「冷蔵庫修理・・・・・・熱中、してた。」
「つまり飯を食い損ねたんですね分かります。」
基本的に水戸は日立とつくばに頭が上がらない。(皆の収入的な意味で)
なのでたびたびこういう無茶に応じざる得ないのが現状なのである。
ほれ、水戸飯買いに行ってきな。
「うぇーい・・・・・」
「・・・・・・水戸、頼んだ。」
起き上がる気力もないのか床に突っ伏したままの日立。
とりあえずそれは人として駄目だと思うので座りなおそうか。
そして返ってきた一言は

「むり」

*                             *

「日立ー、飯買って来たぞー」
「・・・・・・さんきゅ」
「とりあえずシャケおにぎりと牛乳と弁当買ってきたんだが」
「あ・・・・・・」
よろりよろりとミイラのごとく立ち上がる日立。
そして舞い上がる砂と泥。
これも予想してか濡れタオルを日立に放り投げる。(良い子は真似してはいけません)
ぐじぐじと顔を拭き、飯を恐ろしい勢いで食べていくと水戸から質問が飛んでくるのです。
「なあ、冷蔵庫修理ってあれだよな。俺がこの間二日で直しとけって言ったおんぼろ。」
「・・・・・・そう。」
「さすが日立だな、そこはほめて使わそう。」
「佐竹様に、褒められる方が・・・・・・いい。」
「わっちは褒められるうちに褒めてもらった方が良いと思うんだがねぇ」
ひょっこりとやってきたのは一匹のペルシャ猫、伊勢甚ジャ/スコ・今のイ/オンです。
「伊勢甚、ひっさしぶりー!」
「久しいねぇ、水戸。日立。」
「・・・・・・久しぶり、家出した?」
普段は下妻の家で暮らしていて、そんな頻繁には来ませんが暇を良くもてあます猫ゆえに来ることもあるのです。
「違うさ、水戸の阿呆ガラスからの伝言だよ。」
「・・・・・・阿呆ガラス呼び、だめ。」
「わっちからすれば阿呆ガラスは阿呆ガラスにありんす。後伝言『さっさと帰って仕事しろ』だとさ。」
「あ・・・・・・ごめん、日立俺帰るわ。」
そう言うと走って帰っていく水戸。
ため息をつきながら先に言葉を発したのは伊勢甚だった。
「肝心なところで役に立たんね、それならよっぽどお前の方が有用にありんす。」
「・・・・・・伊勢甚、水戸の仕事は水戸がやるもの。僕は・・・・・・無用。」
「日立、お前水戸に惚れてるでありんしょ?三叉にはお見通しさ。」
「なんで、そう思うの?」
「その顔さ。」
僅かにほてった顔。
「お前は水戸の時だけ異様に仕事が速いじゃないか。・・・・・・じゃ、わっちは帰るさ。」
そういって消えていった伊勢甚はやけに楽しげに見え、ほてったままの日立は2度目のため息をついた。





                 おわり

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しもつまものがたり?その2






「しもつまー世間一般で言うゴールデンウィークですね。」
「休み無いですけど」
こんばんは、僕です。

しもつまものがたり?その2

「え、そうなの?!」
「・・・・・・ゴールデンウィークはほぼ仕事で埋まってます。」
「空いてる日って・・・・・・ない、ですか?」
何故か丁寧語で聞かれる。
まさかずっとオフだと思っていたんだろうか、むしろ研究職の方が少ないような・・・・・・?
「土日は普通に休みです。」
「ですよねー」
にっこにこで納得するつくばさん。
何かあるな、と感じ取ったけど言わぬが花。
「あのさ、土日一緒にデズニーいかない?」
そう言うことか、と今度は僕が納得。
「連休中の土日って凄く込むシーズンじゃ・・・・・・?」
「そこはねー、東京が色々融通利かしてくれてホテル一泊券とか色々くれたんだよー」
それはきっと(あくまでも想像だが)東京さんをこずいて奪い取ったの間違いのような気がしなくも無い。
だけどこれもきっと言わぬが花。
「まあ、良いですけど・・・・・・」
立ち上がり、僕の手を引っ掴んでこう言い放った。

「じゃあ、行こうか?」

一瞬の思考停止の後に出てきた言葉は一つ。
「・・・・・・え?」

*                          *

「荷物、いつの間にここに運んだんですか?」
「え?今朝だけど。」
ホテルに着くと僕の荷物とつくばさんの荷物。
用意周到すぎて怒りを超えて呆れた。
「まあ、あそぼっか?」
遊ぶ気満々で僕の手を捕まえて走り出そうとするセヴンティーン。
金曜の夜で疲れてるはずなのにこれ。
神様、これが若さですね分かります。
思わず僕は若さへの憧れ(?)からか呆れからかため息をつく。
「・・・・・・体を酷使しない奴にしてくださいね。」
「大丈夫だよ、パレード行くだけ。」
そして僕らは外へと走り出した。






                       おわり

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